ネットのQ&Aサイトに、こんな相談が載っていました。質問者さんは来春に卒業を控えた大学4年生。すでに企業から採用内定を得て就職活動を終えていますが、このまま社会人になっていいものか迷っています。
その理由は「専門を活かした就職」がしたくなったから。大学の専攻は考古学で、大学院を修了した後に博物館などで働けたらいいなと考えています。実際に就活を終えてみると「学生をもう2年やっても全然問題ない」とも感じたそうです。
厳しい反対意見が続出「文系院卒の未来は地獄」
一方で、大学院への進学を迷う理由もあります。内定を出してくれたのが大きめの企業で、第一希望でなかったものの仕事内容には興味があるからです。それに専門を活かした仕事は募集が少なく、2年後には就職先がなくて、フリーターになるおそれがないともいえません。
そんなことを悩んでいるので、大学院の勉強にも力が入らないとか。しかしこの相談には、進学を勧めるアドバイスはひとつもありませんでした。ある回答者さんは、大学院に進学すると今の内定企業より条件の悪い会社しか入れないと断言します。
「貴方は『院卒修士だ。学芸員の資格も取得した。さぞかし社会は歓迎してくれるだろう』と期待をされていることでしょう。とても甘い考えですよ」
回答者さんによると、院卒の修士が高く売れるのは理系だけ。文系の場合には「間違いなく就職でつまずく」「いわゆる院卒プアーという事態」「とにかく文系院卒の未来は地獄です」と厳しい指摘が続きます。
質問者さんが今年の就活で「学生をもう2年やっても全然問題ない」と感じたのも、たまたま人手不足と好景気が組み合わさったおかげだったのかもしれません。
他の回答者さんも「就職の一手です」と言い切ります。熱心に勉強して知識もあり、指導教員から気に入られるような人であっても、「文系の研究者の道はそうそううまくいくものではありません」ということです。経験に裏打ちされているような、重い意見です。
修士だけでは「専門性が足りない」との声も
大学院を出て専門的な仕事に就きたいと考える人は、他にもたくさんいることでしょう。ある回答者さんは博物館での就職を考えると修士だけでは厳しいといいます。
「修士で学芸員の資格持ってても、競争相手は博士号をもってる方々なので。大学院を出て博物館で働くことをお考えであれば、博士課程まで視野に入れて進学することをお勧めします」
他にも、進学を決める基準の置き方について「論文を書きたいかどうかに尽きる」「本や論文を読むお勉強だけなら大学院に行かなくてもできる」という助言がありました。専門分野の勉強が好きという程度では、2年後の成果は危ぶまれます。
また、別の回答者さんは「検討している進学先で、卒業生(できれば全員)がなんの仕事に就いているのかを聞いてみてはいかがでしょうか」という客観的なアプローチを勧めています。そうすれば大学院の進学が、本当に自分が希望する道につながっているかどうかの判断材料になりえます。
「毎年博物館に、契約期間なしの契約で卒業生を送りこめる研究室は少ないと思いますが…」
もしかすると「内々定ブルー」の時期なのかも
反対意見の嵐でしたが、質問者さんは「はっきり言っていただいてありがとうございます」と御礼を述べ、「与えられた職場で頑張ろうと思います」と頭を切り替えています。もしかすると「内々定ブルー」にかかる時期だったのかもしれません。
企業口コミサイト「キャリコネ」には、大学院への進学を考えながら、ソフトバンクに就職した男性からの書き込みが残されていました。
もともと、3年前後で退社して大学院に行く予定でしたが、4年在籍しました。その間、経営管理、企画の経験を積めましたが、これは大きな経験になりました。しかし、一般職から部長クラス程度までは、日々オペレーションの改善程度しか出来ないと感じたので、自分の将来を考えると別の環境に移る方が正しいと判断し辞めました。
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。