出戻り社員は「一番下からやり直し」が当然? 退職で「全てリセット」されるのか

出戻り社員は「一番下からやり直し」が当然? 退職で「全てリセット」されるのか

ネット上には「いちど退職した会社に戻りたいんだけど、できるだろうか?」という相談が多く見られます。日本企業には、それだけ「出戻り」に対する抵抗感があるということでしょう。かつては「裏切り者」とさえ見られていました。


ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、退職した社員が元の会社に再就職する「出戻り社員」に対し、なぜか暴言ともいえるような厳しい言葉を投げつけています。

「辞める前に社歴を何年か積んでいたとしても、それは辞めてしまえば全てリセットされている」という考え。会社から「役職付きで帰ってきて欲しい」とでも請われない限りは「その組織の中で一番下からやり直しですよね」と尋ねています。

「それが嫌なら出戻ってくるな」と暴言

「新卒入社の新人に『おっさん、お前朝一番早く会社にきて俺の机掃除しとけよ』って感じでタメ口きかれて(…)それが嫌なら出戻ってくるなということだし」

質問者さんはこうも言っていますが、もはや相談というより年長者にケンカを売っているようにも見えます。これに対し、回答者からは当然ながら激しい疑問や反発が寄せられました。ある回答者さんは言葉遣いに対し、こう憤っています。

「貴方の会社はそんなにレベル低いの? 自分は上の立場ですが、新入社員にも古参にも全員敬語で話しますよ。当然出戻りだろうが関係ない」

そもそも相手が誰であろうと「お前」と呼ぶ時点でパワハラになる時代です。他の回答者からも「そんなわけないじゃん」などと感情的な言葉が飛ぶ中、「おじさんです」と自称しながらユーモアたっぷりに考え違いを正す回答者が現れました。

「いつもながらの鋭い問題指摘、感心いたします。さて、質問の件ですが、中途入社社員はその経歴等に応じてランク付けされますので、必ずしも一番下からではありません」

キャリア採用ともいわれる中途入社社員は、過去の実績や経験からうかがえる現時点での「仕事の能力」を問われます。そういう人がすべて新人以下の扱いを受けるなら、有能な経験者は誰も転職してこないでしょう。それは「出戻り」でも同じことです。

退職者の出戻りを歓迎する企業増える

別の回答者さんも「そんなわけないじゃん。じゃあキャリア採用の人間は新卒以下なんですか? あなたなんかよりも優秀な人間でも」と疑問を呈していますが、実は質問者さんのような「偏見」は、意外にも世の中に溢れているともいえます。

これまでの日本企業は「メンバーシップ雇用」といわれ、スキルのまったくない若者を「仲間」として受け入れ、定年まで勤め上げることが大事なこととされてきました。そのような会社では仕事の能力よりも、同じ会社に在籍している「社歴」の長さを重視する考え方が根強いです。

しかし転職が当たり前になっている現在、この考え方はかなり古臭い考え方にも思えます。質問を投げかけた人は、もしかすると中高年者を批判する若者世代ではなく、古い組織観にどっぷり浸かった中年世代なのかもしれません。

実際、過去には退職者を裏切り者扱いしてきたような大企業でも、「出戻り」を制度化して積極的に受け入れるところが出ています。特に結婚や出産・育児を機に自己都合退職した女性を「ウェルカムバック制度」という名前で再雇用している会社は増えています。

出戻り側にも「謙虚な態度」が必要

人手不足の中、仮に出産や育児で仕事にブランクがあったとしても、退職者には教育コストがかからないという「即戦力」という強みがあります。「人間関係」もある程度できているので、組織トラブルにつながる不確定要素も減ります。

とはいえ、嫌なことがあっても粘り強く会社に貢献してきたという意識の強い人からすれば、いちどは辞めて帰ってきた人に対して、感情的なわだかまりがあっても仕方ないでしょう。前出のユーモアおじさんも、こうアドバイスしています。

「ただし、出戻り社員は、出戻り前の社歴を笠に着ることは謹んで、謙虚な態度で臨むことが求められます」

企業口コミサイト「キャリコネ」には、現役社員・OBOGが会社の内情を書き込んでいます。ある小売チェーンで働く30代男性社員は、自社の女性の働きやすさについてこう記しています。

女性社員が多いこともあり、産休や育児、介護等による時短勤務が認められている。退職者を受け入れる「カムバック採用制度」などもあり、自分に合ったワークライフバランスを選択しやすいと思う。

この記事の執筆者

ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。


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