内定辞退の「罪悪感」が消えなくて苦しい! 採用担当者がすごくいい人ばかりで

内定辞退の「罪悪感」が消えなくて苦しい! 採用担当者がすごくいい人ばかりで

バブル期以来の「売り手市場」で複数企業の内々定を獲得した人も多いでしょう。内定式または入社までに辞退をしなければなりませんが、昨年の辞退経験者は3人に2人という調査結果もあります。そんな中、内定辞退への「罪悪感」に苦しむ殊勝な大学生から、ネットに相談がありました。


リクルート「就職みらい研究所」の調査によると、2019年卒の大学生で、就職の内定取得者のうち1社でも内定を辞退した人は67.8%と過去最高となっています。「無い内定」という言葉が流行した就職氷河期とは大違いの「売り手市場」といえるでしょう。

Q&Aサイトにも、大学生から「内定を辞退したいがメールでよいか?」「会社から呼び出しを受けたけれど、応じなければならないのか?」「損害賠償を請求されるおそれはないのか?」といった相談が相次いでいます。

回答者は「全く問題ない」というけれど

そんな中、ネットには、内定をくれた会社に内定辞退の電話をした後に「罪悪感が消えません」という大学生からの相談がありました。

「罪悪感で苦しいです。経験者の方、どうやって乗り越えましたか」

質問者さんは、その会社に入るべきかどうか悩み続け、内定をもらってから辞退するまで1か月ちょっと空いてしまったのだそうです。内定者懇談会の前日になって「入社するつもりがないのに、きれいな会場で高そうな料理をいただくのは悪い」と思い、ようやく断りの連絡をいれました。

会社の人が質問者さんを優しく気遣ってくれたのも、自己嫌悪を誘いました。

「採用者の方々がみんなすごくいい人ばかりで、自分がすごく悪いことをしてしまった気分です」

相手のことを思いやる殊勝な大学生のようですが、この質問には回答者さんが「全く問題ない」と声をかけます。

「もし無理して入社して、数ヶ月で辞めてた場合、それだけの投資があなたにされたことになり、企業にとっては大打撃になります。内定辞退ってのは、企業からすれば、そう〔数ヶ月で退職に〕ならなくてよかったくらいポジティブに捉えることが多いので、あなたが罪悪感を感じる必要はまったくありません」

将来、取引先や転職先としてお世話になるかも

さらに回答者さんは「企業側は、はっきりいってそこまで深刻に考えてないから」「考えすぎ」と慰めます。

しかし、リクナビによる「内定辞退率」データ提供問題もあったように、最近は企業側もかなり気にしていると思われます。内定をくれたのが「かなり規模の小さい会社」だったこともあり、質問者さんは気に病んでいます。

確かに大きな会社であれば、1人くらいドタキャンがあってもあまり気にしないでしょう。2017年11月14日付けの中日新聞の記事にも「130人ほどに内定を出したが、7割以上が辞退した」という、あるアミューズメント会社のコメントが載っていました。

法的には、入社予定日の2週間前までに辞退の連絡を入れれば問題ないとされていますが、それでも規模の小さな会社が待望の新入社員を迎えようとワクワクしているところに、内定辞退の連絡が入ったら、かなり落胆するのは不思議ではありません。

しかし罪悪感を伝えれば、きっと会社も理解してくれることでしょう。将来、取引先や転職先としてお世話になる日が来るかもしれません。

「大量退職」を前提にしている会社もある

ネットには「内定辞退はメールでOK」という意見も多いですが、やはり先方の会社の思いを汲んで行動することは、社会人として大切なことです。

「謝罪に来い!」という理不尽な脅しに応じる必要はありませんが、この質問者さんのような優しい気持ちをいつまでも忘れずにいたいものです。

会社の中にも、「大量退職」を前提に大量採用をしているところがあり、就活生側も冷徹な見極めが必要です。企業口コミサイト「キャリコネ」では、ある会社のコールセンタースタッフが、こう嘆いています。

基本的に、新卒社員は3年以内に退職する前提で大量採用しているように感じます。よって給料も、そして退職金すら非常に安いです。逆に中途社員は管理ポジションにつける前提のため、給料も前職を考慮されているようです。要職は中途社員が押さえてしまうため、新卒社員がそのポジションにたどり着くのは至難でしょう。

この記事の執筆者

ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。


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