ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは新卒入社1年目ですが、早くも転職したいと考えています。特に、事前に示された労働条件との食い違いが、ずっしりと心にのしかかっているのだそうです。
・年間休日120日→年間休日107日
・残業は多い月で40時間→平均的に40時間を超える
・残業代別途支給→全てサービス残業
そのうえで質問者さんは「弊社はブラックに入るのでしょうか?」「どこの会社もこんな感じ(休日・残業)になるのでしょうか?」「今転職するメリット・デメリットは?」という3つの質問を投げかけています。
残業代不払の時点で「ブラック確定」なのに
年間休日107日とは、日曜日(53日)+祝日(17日)に、隔週土曜日(26日)と、ゴールデンウィークやお盆、年末年始の休暇(11日)を加えた日数となります。これは労働基準法の範囲内ですので、ブラック企業とはいえません。
とはいえ、会社が事前に示した雇用契約書の労働条件を守っていない場合には、その時点で契約違反ですから「ブラック企業」確定でしょう。質問者さんが辞めたくなるのも無理がありません。
また、休日出勤や残業の約束違いは、本人が納得できていれば問題ないものの、「全てサービス残業」は明らかな違法行為。本人の納得感とは全く関係なく、間違いなく「ブラック企業」ですし、労働局に企業名を公表されるおそれすらあります。
しかし、この相談を見た人からは、なぜか会社を批判するようなコメントはありませんでした。ある回答者さんの判断は「ブラックとまで言えませんが、グレーではないでしょうか」という程度のもの。別の回答者さんも「よくあること」と述べています。
「どこの企業も実際に働いてみると、最初提示された条件と違うなんてことは、よくあることだと思います(特に民間企業)」
「私の知人は地方の公務員をしていますが、残業を月30~40時間しても、残業代はついていませんし、有休消化もできていないとのこと。公務員でさえ、大変なんだなと感じた今日この頃です」
「履歴書に傷がつく。最低でも3年」との声も
しかし、地方公務員ですら守れていないんだから、民間企業が無理なのは当たり前なんて理屈は通りません。世の中には労働法をきちんと守っている中堅・中小企業はたくさんあるのに、
「雇用契約や法律を守ってる職場なんてない」
という誤った情報が流れているのは、どういう訳なんでしょうか? そういうデマを流し、「法律なんて守ってたら会社が立ちいかなくなって、社員が路頭に迷ってしまう」と信じ込ませることで得をするのは、誰なんでしょうか。まったく呆れた話です。
転職についても、肯定的な意見はありませんでした。
「デメリットしかないでしょう」
「履歴書に傷がつく。1年という期間は転職には早いですね。最低でも3年」
「辞めちゃいなさい! そんで同じ理由で転職を繰り返すんです」
「ブラック企業の存続を支えている人たち」の正体は
ただし、唯一同じ新卒入社というHさんだけは「もう転職活動してるよ~」と明かしています。
おかしいと思いながら何年も働いていると、選択肢はどんどん狭まっていき、いつしかその会社にしがみつくしかなくなります。そして、そこから逃れたがる人たちに「あっちの水は苦いぞ」とか「どうせあのブドウは酸っぱくてまずいんだ」と囁きます。
そういう人たちが、ブラック企業の存続を支えているわけです。しかし、すでに会社を見切っている若い人たちは実際にいるわけですね。
絶対に「新卒一括採用」しかしない大企業を別とすれば、短期間でも社会に出た経験は、社会人経験のない新卒とは異なる価値と評価されます。それも、問題は会社側にあるわけですから。
まずは退職する前に「第二新卒」で求人を検索し、労働契約と法律をきちんと守ってくれる会社を探してみるべきではないでしょうか。そして転職を決める際には「法律はきちんと守ってくれますよね?」と念を押すことを忘れずに。
企業口コミサイト「キャリコネ」には、上場不動産会社で「他社に行っても通用しない」と罵倒されたものの、振り切って退職を決めた20代女性の書き込みが残されています。
他人やお客様を傷つけても数字を優先する姿勢、社内で騙しあいが日常茶飯事の人間関係、部下が努力して結果を出しても「上長の誰々さんのおかげで結果出せました」と必ず言って持ち上げないといけない雰囲気も、怒鳴る、物を殴る、「仕事ができない」「ほか行っても通用しない」「バカ」など人格否定をする、自然災害で電車が全線止まっても帰れない、過労で倒れてもそれを美徳とする社風がすべて問題だし私は合いませんでした。
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。