一流大学を卒業して「大企業で万年係長」という人生、どう思う?

一流大学を卒業して「大企業で万年係長」という人生、どう思う?

かつてアップルコンピュータのスティーブ・ジョブズは、当時ペプシコーラ社長のジョン・スカリーを「君はこのまま一生砂糖水を売り続けたいのか、それとも私と一緒に世界を変えたいのか」と口説いて引き抜いたそうです。しかし誰もが「世界を変えたい」と思うわけではないのかもしれません。


ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、「一流大学を出て大企業に就職→万年係長という人生に憧れますか?」と疑問を投げかけています。

東大や京大などの一流大学を出て、めでたく大企業に就職できたとしても、社内で出世できるのは「10人に1人いるか」どうかという厳しい競争世界。そこで出世できないまま、ずっと勤めていけるとしたら、「そんな人生に憧れますか?」という質問です。

反論する回答者「悲観する方がズレている」

質問者さんがどういう意図でこの質問をしたのかは、文面だけではよく分かりません。自分自身がすでにそういう立場になっている50代なのか、あるいは早くもそんなサラリーマン人生の先が見えてきた30代なのか。

質問の中で、大企業を「うだつが上がらなくてもクビにはならないということで、就職を希望する学生が殺到する」と書いているところを見ると、進路に迷う学生さんという可能性もあります。

ある回答者さんは「憧れません」と答えつつ、質問者さんのスタンスをこう諌めています。

「そもそも、現在の日本ではあなたが考える『大企業の万年係長』になるのも大変であり、収入的にも恵まれている方であるために、そうした状況を悲観する方がズレています。非正規雇用が多い若者には、正社員が目標であり、万年係長は目標にも成り得るのです」

そのうえで、仕事ができなくてもクビにならないことを理由に、「勉強だけできる人にとっては、日本の万年係長は非常にありがたいものです」と添えています。

大企業に入ったときには、自分も出世したいと希望に燃えていたのだから、万年係長に憧れていたわけではないのでしょう。しかし回答者さんの意見は、結局は「憧れるに足りる人生」と言っているようにも見えます。

「出世は時の運や、人の巡り合わせもある」

別の回答者さんも「それ(万年係長)に憧れを持っている人は少ない」としつつ、やはり肯定的にとらえているようです。

「ごく普通のサラリーマン(質問者様の言うところの、うだつの上がらないサラリーマン)にとっては、それなりのやりがいはあるにしても、仕事はあくまでも仕事であり、収入を得て、生活するためのものなんです。だから(雇用が)安定していれば、それに越したことはないんです」

「憧れというほどではないですが、それもあり」というコメントもありました。「出世は努力だけではなく時の運や人の巡り合わせもあるので、『万年係長』は目指すというよりは結果なのかな」と、分かりやすく表現しています。否定や疑いをもちつつ、最終的には肯定しているところは他の回答者と同じといえるでしょう。

回答者の中には、なんと実際に「万年係長」の生活を実践している回答者もいました。この人は「社会では一流とされる大学」を出て、「多くの方が名前を知っている大手の職場」に勤務しているのだそうです。

会社から駄目な社員という烙印を押されているのかは分かりませんが、部下10数人の、いわゆる「係長級」。年齢は50才前後で、定年まであと15年ほどもありますが、「これ以上の出世は多分ないでしょう」と感じています。

しかし自分では「一流大学を出て大企業に就職→万年係長」は最高の人生と考えて憧れ、「実践もしているつもり」といいます。

「幸せが見える日常」には違いないけれど

この「万年係長」の一日は、たとえばこんな感じです。

朝は8時に家を出て、夕方は18時頃に帰って来ます。夕食は先に帰って来た人が作ることになっているので、私か妻か娘の誰かが作り、19時頃皆で食事をとります。

それから、パソコン・映画・好きな読書などをして、11時には布団に入ります。もちろん、洗濯・掃除などの家事分担もします」

初夏や秋には庭でバーベキューや花火を楽しみ、夏には約2週間の夏休みを取って東京ディズニーリゾートのホテルミラコスタか、米ラスベガスに滞在するのがここ10年ほどの恒例だとか。

冬にも約1週間の冬休みがあり、スキーに行ったり、温泉旅館で雪を見ながらぼたん鍋をつついたり。長期休暇をとっても職場はあまり困らず、共働きのため貯金は毎年約500万円ずつ。株や投資信託の成績も順調で「定年後もあまり心配はなさそう」と明かしています。

一方で、出世していった仲間たちはどうかというと――。

「同期入社で出世していった仲間たちは、責任は増える一方で、いつまでも多忙で、家族との時間も持てず、長期休暇をとることも難しそうです。出世すればするほど、定年も延長し、トップまで行ってしまうと80歳頃まで仕事があります」

これを読んだ質問者さんは「この方の日常には幸せが見えます」「人間の人生という視野でみれば、とても優秀な方だと思われます」と高く評価しています。

もちろん、こういった生活を否定する人はいないでしょう。なぜなら、もしも自分が手に入れることができたなら、きっと手放しくたくないと思うからです。

「良心の呵責」を感じないのか

ただし問題になっているのは、逃げ切り世代の「万年係長」が優雅な生活を送る裏で、若い世代が今後の給料が上がる見込みもないまま、長時間労働を強いられているケースがあることです。

質問者さんとすれば、そんな「良心の呵責」が感じられないのが、気になるところではないでしょうか。

企業口コミサイト「キャリコネ」には、2012年の段階である大手電機会社の30代営業マンが「働かないおじさん」のリストラの必要を訴えていました。数年後、この会社では実際に大規模なリストラを行いましたが、そのとき上記の「万年係長」のような人物が会社に居残ることができたのかどうか気になります。

徹夜続きで提案し、10億単位のプロジェクトを受注しても、評価は同レベルの職種の人と大して変わらない。むしろ働かないおじさんたちの方が給与が高い。業績悪化のため、担当レベルだと残業時間が認められずサービス残業。業務量は減らされず、上はさぼっている。給与カットをしても意味はなく、業績回復のためには仕事をしていない人々のリストラをしないと無理。

この記事の執筆者

ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。


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