ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が寄せられていました。質問者さんは「ボーナスも出ない会社はダメな会社ですか?」と尋ねています。これに回答者は「ダメな会社だと言えます」と断言。その理由を、こう説明しています。
「周りはボーナスを出す会社ばかりなんですよね? ということは、ボーナスを出さない会社は、社員に対し『いつ辞めてもいいよ』と言ってるのです。その会社の社長は、従業員がいるから仕事が回ってるのだということを理解していません」
「月収15万ボーナス4ヶ月分」でもいいのか
他のQ&Aにも、親から「ボーナスが出せない会社は信用できない」と言われ、就職をためらう人からの相談がありました。派遣や契約社員ではボーナスが出ないから、どうしても正社員になりたいという人もいるくらいです。
しかし、昭和の「所得倍増計画」の時代じゃあるまいし、会社はボーナスを出すのが当たり前という感覚も古い感じがします。欧米のように期末が終わってから業績に応じて支給する企業もありますし、スポーツ選手のような年俸制の人もいます。
周りがみんなもらっているから、うちの会社も支給すべきという考え方は、主体性がなさすぎじゃないでしょうか。別のQ&Aには「月収15万ボーナス最高4ヶ月分。月収20万ボーナスなし。みなさんならどっちに就職しますか?」という質問に、ボーナスなしを選ぶ回答が相次いでいます。
「後者です。前者は最低が書いてない。ゼロの可能性あります。或いは(入社)二年まではナシとか」
「ボーナスは法律で守られてないから、出なくなっても文句は言えません。もしゼロなら明らかに月収20万が年収として高くなります」
前者は月15万円×16か月で240万円。後者は月20万円×12か月で240万円。前者は月数が減って年収が下がるリスクがありますが、それでも「ボーナス」という甘い響きを優先して、そちらに入社する人はいるのでしょうか。
この好景気でも「ボーナス横ばい」の大企業
そもそも月15万円といえば、月に20日、1日8時間働いて、時給937.5円。実在するとしたら、ここのところ上昇している東京都の最低賃金1013円を下回る違法状態ということになります。
基本給を絞り込めば、生活するために長時間労働に追い込まれる社員も出てくるでしょう。そんな会社こそ、社員のことを考えていないのではないでしょうか。
頑張っても頑張らなくても変動しない「日本のボーナス」なんて、明らかに定期給与の一部。お盆とお正月の年2回、帰省のタイミングにあわせて、ムラのしきたりのように支給される現在のようなボーナスは、徐々に廃れていく可能性もあるでしょう。
労務行政研究所の調査によると、2019年年末の東証1部上場企業212社の「冬のボーナス」の平均額は74万7808円で、好景気といわれる中で前年比0.1%減です。
一方、ここ最近はサービス業を中心に、アルバイトや派遣スタッフの時給が急騰しています。正社員が「安定」と「ボーナス」にかじりついている間に、非正規雇用との格差が解消されつつあり、将来的に「同一労働同一賃金」が実現するのかもしれません。
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。