ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは「転職に適した時期ってありますか? 例えば何月くらいがいいとか」と尋ねています。
この質問に早速答えた回答者さんが、人材紹介会社の転職エージェントから聞いた話として、こんな情報を寄せています。
「求人が増えるのは、年3回ほどあると聞いたことがあります。
・1回目は、ゴールデンウィーク明けから夏くらいまで。
・2回目は、9月ごろから年末まで。
・3回目は、年始から4月入社に向けて、です」
退職者発生後の「穴埋め採用」が狙い目
なるほど。しかし、よく見てみると、この3回で年間のほぼすべての時期をカバーできそうですよね!? 結局は「いい求人があったらいつでも」という風にも読めます。
とはいえ実際の求人広告の掲載件数は、季節によって変動しています。全国求人情報協会の公開データを見てみましょう。2018年の「正社員」の求人広告掲載件数は、5~6月と11~12月に山が2つありました。
2019年は年初から前年を大きく上回り、4月と6月は突出していたものの、8月には前年とあまり変わらない水準にまで減っています。これが前年と同じように11~12月に増加に転じるサイクルになるかどうかが注目されます。
また、2019年は1~3月の求人が落ち込みませんでした。理由のひとつは「欠員を埋める募集」が行われたためと見られています。
退職を考える人の多くの人が「どうせ辞めるなら冬のボーナスをもらってから」と考えています。そうすると会社は、12月の支給後に退職者が発生した場合、新年度に向けて穴埋めをしなければなりません。
したがって、年明けから2月初旬は、特に魅力的な求人が期待できるのです。また、定年退職者を含め、年度いっぱいで社員が辞めることが決まっている会社でも、新年度にかけて普段は出さない大型求人を出します。中堅からベテランにもチャンスがあります。
さらには今年は、新卒採用の競争激化で採用計画を達成できなかった会社が少なく出ることが予想されます。そういう会社は既卒や第二新卒で採用数を補充しようとするわけですから、若手にも当然チャンスが増えるわけです。
「売り手市場」での転職はいいことだらけ
有効求人倍率(季節調整値。除くパート)は2019年4月に1.54%とピークを迎え、ここ数ヶ月はやや低下しているものの高水準を維持しています。
求人倍率が高い「売り手市場」で転職活動をすると、何がよいのか。ひとつめは、企業は不景気の時期よりも採用のハードルを下げるので、より採用されやすくなることです。
ふたつめは、人材獲得の競争が激化するので、給与などの待遇も、不景気の時期より高くなる可能性がアップするためです。場合によっては入社後何十年も影響する待遇ですから、この時期に転職した方が有利になる可能性が高いのです。
「東証一部に上場する大手の有名企業だから」と新卒で入社してみたら、将来性が全く感じられず、組織もドンヨリとして、ゆでガエルになりそう。「こんなはずじゃなかったよ…」と思っている人もいるのではないでしょうか。
そういう人にとって現在は願ってもない、身震いするほど条件の揃った絶好の転職タイミングではないかと思います。いまは転職を考えていない人でも、転職サイトへの登録や、転職エージェントへの相談を始めてみてもいいかもしれません。
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。