ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が寄せられていました。質問者さんは「本当に景気は回復しているのですか?」と疑問を投げかけています。
いわく、「私たち田舎では仕事がないか、派遣などしかありません」とのこと。景気が回復して求人が増えているなんて聞いても、信じられないというわけです。
「政府はウソばかり」は本当なのか
この質問に、ある回答者さんは「アベノミクスの効果で景気が回復してます」と答えますが、別の回答者さんは真正面から反論します。
「回復していません。政府自民党は、安倍をはじめウソばかり」
質問者さんと同様、景気回復を実感できていないようです。
しかし、景気の目安となる日経平均株価は、2012年10月の9000円から、7年後のいまは2万1000円にまであがっています。有効求人倍率はバブル期を上回る1.6倍を超えました。
質問者さんが「派遣などしか仕事がない」と嘆き、「派遣会社がはびこってれば、景気回復はないでしょうね」と言いますが、派遣の仕事すらなく、それもこれだけ時給が上がっていることを考えると、現在は圧倒的な人手不足といえるでしょう。
大卒内定率が過去最高を更新し、パート・アルバイトを含めて時給が上がっているわけですから、これで「景気回復はウソ」というのは無理があります。回答者の中にも自らの待遇には不満を漏らしつつ、景気回復を認める人もいます。
「大手企業ぐらいしか景気回復は感じられない」
「派遣でも年齢の若い子は、未経験でもウハウハです。しかし、そこからあぶれると景気の実感を感じないのは都会でも一緒です」
「栄枯盛衰」は世の常なのに
富める者が富めば貧しい者にも富が滴り落ちるという、いわゆる「トリクルダウン理論」で、自身が景気回復を実感できない理由を説明する回答者もいました。
「景気という物は、グラスのタワーと同じで、上のグラスが満たされて、溢れ出て、それが下のタワーに入り、それが溢れて・・・・となります。
あなたがどの位置に居るかで、実感が早期なのか遅いのかが決まります。私の処は、あと五十年かかるのかな?」
もしも「どの位置に居るか」で実感が決まるのであれば、他人のせいにする前に、自分でそこまで動くことはできないのでしょうか。
せめて、いざ「成長戦略」が花開いたときに、その恩恵を被れるよう、自分からあらかじめ成長分野に移っておくことが必要でしょう。
いつまでも衰退産業や衰退地域に居座りながら「景気回復はウソなんだ、悪いのは政府なんだ」と愚痴を漏らしていても、決して救われることはありません。
栄枯盛衰は、世の常です。最も恐ろしいのは、戦後の繊維、石炭、造船業界のように、ある時点では勝ち組に見えても、事業環境の大きな変化で「衰退産業」に陥り、身動きが取れなくなってしまうことではないでしょうか。
2018年1月4日付けビジネス・インサイダー日本版の記事によると、人材紹介会社のリクルートキャリアに登録した「銀行・信託銀行・政府系金融機関」の出身者は、2008年度下期を1とした場合、2017年度上期には5.82にまで増加。「信金・信組・農協・漁協」出身者の登録者数は、10倍近くになったそうです。
ハロワになければ「民間の転職サイト」で
「ロクな仕事がない」とお嘆きの方にオススメしたいのは、求人を探すにあたってハローワーク以外の手段を使ってみることです。その理由は、ハローワークに出ている求人には、残念ながら民間の転職サイトよりもブラック企業が多い可能性があるからです。
・大量採用・大量退職を前提とした「採用コストを掛けたくない会社」が存在する
・ハローワーク経由の採用に支給される「助成金目当ての会社」が存在する
・民間の情報サイトよりも「求人詐欺」に厳しく対処されていない
大手企業に勤めるハイスペックな人であれば、人材紹介会社に登録するのも手です。それ以外の人は、まずは民間の転職情報サイトで求人情報を検索してみてはいかがでしょうか。
これだけ人手不足の状態なのですから、普段よりも魅力的な求人が出ているはずです。これ以上よい景気を望んでいても、いつ実現するか分かりません。
場合によっては、地方から都市部への引っ越しが必要になるかもしれません。そのとき、いまの会社に不満を募らせながら「でも転職活動もめんどう」と言っているのであれば、単に目の前のチャンスを自ら見逃しているだけではないでしょうか。
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