農協職員の自爆営業は「上納金」? 年90万円の自腹購入に「何のために働いているのか」

農協職員の自爆営業は「上納金」? 年90万円の自腹購入に「何のために働いているのか」

ネットのQ&Aサイトには、自社商品の「販売ノルマ」に苦しむJA(農協)職員からの切羽詰まった相談が寄せられています。中には「半年で200万円の貯金強要」「年間90万円の自爆」といった内容もあります。日本郵便やかんぽ生命保険の加重ノルマが問題になりましたが、JAが新たなターゲットとなるのも時間の問題でしょう。


ネットのQ&Aサイトに、こんな相談が載っていました。質問者さんは、農協の事務職員として働いています。ところが数か月おきに課せられる「販売ノルマ」をどう達成するかで、頭を悩ませているようです。

ノルマの内容は、部署関係なく「金融、保険、食品等」の販売で、現時点では「無理のない範囲で自爆(自費購入)しております」とのこと。しかし「あと数か月でノルマが来る」というプレッシャーと自爆営業への恐怖で、毎日が苦しいと明かしています。

回答者は一喝「そんな組織には将来性がない」

勤務先のJAは地元(出身地)ではないため、親戚や友人に頼んでノルマを消化することができません。質問者さんは「JAからの転職は難しいと聞くのですが、頑張っても難しいのでしょうか」と尋ね、「ずっと不安が消えず相談相手もいない」と切羽詰まった様子です。

この質問には、ある女性回答者さんが、従業員が自爆営業しないと売上目標を達成できない組織には「将来性がない」と厳しいコメントを寄せています。

「つまり、一般客にとって何ら魅力のない商品しか提供できていない訳ですから。魅力がないから、社員が買うしかない。だったら、多少給料が減ってもノルマのないところで働いた方が、実質収入も増えることになります」

これには質問者さんも「ただでさえ給料低いので、確かに自爆で生活できなくなるようなら辞めた方が良いですね」と応じています。

さらにこの回答者さんは、新卒入社したばかりの質問者さんに「事務の仕事をしたければ、事務系の資格(簿記2級など)を取れば、あなたの年齢なら転職は可能だと思いますよ」とアドバイスしました。

質問者さんは「幸い簿記2級持っています」と答え、「転職しようと決意した際は希望を持って頑張ろうと思います」と意欲を示しつつ、感謝を述べています。

自爆ノルマは「身分を保証する上納金」なのか

同じような相談は、他のQ&Aにも書かれています。この質問者さんは、あるJAに入って2年目の総務部員。通常業務のほかに貯金、共済の営業ノルマがあると訴えます。

「しかも、貯金は半年ごとに200万円貯金。共済(保険)も半年ごとにノルマがあります。特に共済に関しては、ノルマが達成できなければ、自爆もしくは退職を迫られます。私は、1年目は自爆。2年目は家族の協力でなんとか。でも、3年目で総務部にいたとすれば、もう限界です。なぜなら、お客様がいないし、推進しようもないから」

この質問には回答者さんが、こんなコメントをしています。

「(自爆営業が)変か?と聞かれたら、変とも言えますが。他の業種、数箇所でも見てきている私にしてみたら、ごく一般的にあることとも言えるので断言ができません

この状況を、他の職員たちはどう考えているのでしょうか。ブログ「(農協)JA総合ポイント制度の設計と経営改善の企画」の筆者は、「正しい自爆推進のやり方(本店職員向け)」というエントリーの中で、JAにおけるノルマをこう位置付けています。

「考え方を変えると『ある程度の量は自分で消化する』という選択肢を持っていれば、本業が楽な分、職員をしてて非常に楽です。このあたりは上納金制度とよく似ています。納めることで地位や身分が保証されるわけです

「職員に強要させるためのロジックは、『農協から給料をもらっていれば当然』の一言。JA側の考え方では、給与は労働の対価ではないのです」

他のJAでは「布団や健康食品」の自爆も

もちろん上記は公式の見解ではありませんが、これだけ数多く「自爆推進」の書き込みを見てしまうと、本当に全国のJAで広く行われているのかもと、信じたくなってしまいます。

口コミサイト「キャリコネ」にも、確かに現役社員やOBOGから同様の嘆きの声が見られます。その範囲は青森から沖縄まで極めて幅広く、内容も似通っています。

毎月、農業新聞やJAグループの発行している雑誌を取らねばならない。自分が所属してる部署、担当している業務(共済・金融・営農・経済事業)にかかわらず、全職員に共済の推進ノルマがあった。また、支店全体の目標に達しないことがあったりすると、その事務所の職員で自爆して補うようなことも見受けられた。(青森県のあるJA)

各職員に共済のノルマが設定されており、ノルマが達成できないと自爆しなければいけない。共済以外にも、布団や健康食品のノルマが季節ごとにあり、達成できないと自爆しました。(千葉県のあるJA)

共済(保険)のノルマが全職員に課されており、それの未達成で賞与額が削減される。結局共済のノルマ未達分を自分に共催をかける形で補てんする。(長野県のあるJA)

ノルマに対して対価が少ない。自社保険(共済)も扱っていてほぼ強制的に加入させられるのでその出費が痛い。平均月2万~3万程度ではないかと思われる。(三重県のあるJA)

共済ノルマは必ず毎年課せられる。無理な目標設定から若い職員の退職が多い。地域が高齢化になっていってもノルマは増えていく。お客様もそのことに対して不信感を抱いている。(福岡県のあるJA)

全職員に共済ノルマがあるのはおかしいのでは? 共済の部署でもない私からすれば、共済の種類、内容が全然分からず、聞かれても説明なんて出来ません。いまのところノルマを身内でまかなっている状態です。稼いでも、職場に搾取されている気がしていい気分じゃありません。(沖縄県のあるJA)

他のQ&Aサイトにも、JA勤務の男性が「この前、自爆した書類見てみましたが、年間で90万円ほど自爆していました。何のために働いているのかわからなくなりましたよ」と書き込んでいます。この慣習は、この先もずっと続くのでしょうか。

ちなみに日本農業新聞は、2019年4月1日に「新農協人へ 失敗恐れぬ変革者たれ」と題した論説を掲載しています。農協の現状に不満を持っている方々には、ぜひ目を通していただき、キャリコネに新しい情報を投稿してください。

総合事業を営む日本のJAは、世界の協同組合のお手本である。農家の営農と暮らしを支え、地域の課題解決に貢献する総合農協こそ最強の事業モデルだ。その確信を胸に刻もう。

まず協同組合の理念と今日的意義を学び、自分の言葉で語れるようになろう。大事なのは、考える力と伝える力だ。

この記事の執筆者

ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。


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