ネットのQ&Aサイトに、こんな相談が載っていました。質問者の女性は、銀行員の妻。自身もかつて銀行勤めをしていたそうですが、職場結婚だったのでしょう。しかし、結婚を機に辞めてしまいました。
相談内容は、夫が「銀行を辞めたい」とよく言っている件について。「仕事がきつすぎる」「仕事に面白みを感じられない」と漏らすので、「銀行で楽しんで仕事をする方法」はないものか、と尋ねています。
「足を引っ張られたり、手柄を横取りされたり」
仕事に面白みを感じられない理由として、夫は「出世競争が激しい」弊害を挙げています。
上司のミスは後輩のせい、後輩の手柄は上司のもの。協力しあって仕事を進めるのではなく、足を引っ張られたり手柄を横取りされたりすることが、たびたび生じています。
しかし夫は、銀行を辞めて他でやっていく覚悟がまだないよう。「辞めたい」とは口で言っていても、本当は当分辞める気はないんだろうな、と思っているそうです。そこで質問者さんは、このような疑問を投げかけています。
「夫も仕事にやりがいや面白さを見出すことができれば、モヤモヤせず毎日過ごせると思うのですが……。銀行勤めの方は、何をやりがいに仕事をしているのでしょうか」
とはいえ、自分自身が「仕事は厳しい上に面白みもなかったため」銀行を辞めたと言っているのですから、奥さんも実態はよく知っているのでしょう。この質問には、銀行経験者の回答者さんが「銀行勤務に楽しみはありません」と答えています。
「私が知る限り、(銀行勤めは)日本一過酷な仕事です。エリートとは人に勝つために生きてきた方々です。それが唯一の彼らの銀行で生きる道です。銀行は最悪の競争社会です」
「銀行が終わる」という大特集が組まれる時代
競争自体は、どの業界にもあります。しかし、それが「最悪」と言われるのは、顧客への価値の提供や仕事そのものの競争ではなく、権力争いなど「身内の論理」が最優先されているからでしょう。
そういえば「AERA」2018年1月22号が、「銀行が終わる」という衝撃的なタイトルの大特集を組み、「将来に希望が持てない」と流出する若手銀行員などを取材していました。
記事によれば、「専門性がなく年収が高すぎる」40歳過ぎの銀行員は、転職市場で不人気なんだとか。メガバンクからベンチャーに転じた30歳男性は、こんな理由で退職したそうです。
「年収が1000万円を超えるとそれに執着して身動きができなくなるから」
質問者さんの夫は、いまいくつなのでしょうか。「当分は辞めないだろう」と考えていると、手遅れになってしまいます。
なお、AERAの記事の男性は決して行内競争を苦にしたわけではなく、昇格試験にも合格していました。しかし、非効率な業務や意思決定の遅さに業を煮やし、「こんなビジネスをやっていては、時代についていけない」と感じたのだそうです。
夫が転職を言い出したら「優しく受け入れてあげる」と妻
退職する若手行員の苦言は、企業口コミサイト「キャリコネ」にも多く見られます。三菱UFJ銀行を退職した20代の男性は、実際に働いてみて「銀行の限界を感じた」そうです。
「テクノロジーの進化や時代が変化していく中、銀行員が多い印象を受けた。このまま銀行員を続けることが人材として価値があるのか。10年後以降を考えると、価値が見出せなかった。他の専門性を身につけるため転職した・・・」
みずほ銀行を退職した20代男性は、実際に足の引っ張り合いに遭遇したと明かしています。まさに、質問者さんの夫に降り掛かっているストレスそのものです。
「在職中、『あの人が厳しいのはお前を羨ましがっているから、立場を守るため潰そうとしている』と耳にした。真偽は確かではないものの、思い当たる節がいくつかあった。本来私を守るはずの立場の人間がそういうことを考えているのか、と想像するだけで嫌気がさした・・・」
三井住友銀行の20代男性は、上司の責任を押し付けられて「地方に転勤になった」ために、退職に踏み切ったといいます。
「同期と後輩の自殺も退職を考え始めた理由の一つ。回収業務で客に自殺未遂されたのも理由の一つ・・・」
結局、やりがいを持って銀行で働いている人からの回答はありませんでした。質問者さんは「何だか悲しい結果になりました」と嘆き、諦めたようにこう締めくくっています。
「みんな、給料とネームバリューで働いているのかな。夫が転職を言い出したら、優しく受け入れてあげようと思います」

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