ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、機械メーカーに勤務する男性。技術職として働いて来ましたが、このたび異動を命じられたようです。
新たな配属先は営業部門。入社から丸2年が経とうとしており、仕事を覚え始めた時期の辞令に、質問者さんはショックを受けています。
「機械メーカーで開発していきたかったのに……、これからって時に外された。もう辞めても良いですか?」
回答者は否定「異動を受け入れるべき」
この質問には「あなたが決めればいいです」と突き放すコメントもありましたが、ある回答者さんは、悔しい気持ちも分かるけれど異動命令に従った方がよいといいます。
「給料下げてでも技術者となるという決意がない限り、異動を受け入れるべきです。人間、やりたいこととできることが違うことも多々あるし、自身の持つ可能性は無限です」
確かに、営業で資質を花開かせる可能性も否定できません。しかし本人は「正直辞めたい」と言っています。
入社2年目といえば、まだ初任給に毛が生えたようなもの。仮に転職で多少給与が下がってもたかが知れているし、一時的に若干減ったところで長い目で見れば大した違いはないと思うのですが……。
とりあえず今は我慢して、営業を続けてはどうかとコメントする回答者もいました。
「働きながら、転職サイトの登録、人材紹介の利用などにより、転職活動をこっそりやってみてはいかがでしょうか?これが現実的対応かと」
「第二新卒採用市場」は活性化している
働きながら転職活動をするということは、技術職への復帰を勧めているのでしょうか。もしそうなのであれば、我慢して営業に行くことはなく、ただちに転職活動を始めた方がよい気もします。
「新卒2年目で転職というのは、相当な学歴、企業ブランド、離職理由などがなければ相当厳しいのが現実的」
というコメントもありますが、人手不足の中、「第二新卒採用市場」はかなり活性化しています。たった数年の社会人経験で何ができるという意見もありますが、やはりまっさらな新卒とは違い、考え方がしっかりしている人が増えるものです。
採用する側も、いちど別の会社の採用フィルターに通っていることは安心材料になりますし、なにしろ、実際に働いてみて、「自分はこの仕事を続けてみたい」という考えを定めている点は、学生とは決定的な違いになります。やる気の本気度が違います。
もちろん「自分にはこの仕事は合わない、やりたくない」という若者を、「その程度の経験で生意気だ」と見る年長者もいるでしょう。しかし、「就社から就職へ」などと指摘されて久しい現在、自分のキャリアくらい自分の好きに決めてもいいのではないでしょうか。
「会社に骨を埋めろ」という常識は終わった
会社が質問者さんをなぜ異動させようと思ったのかは分かりません。もしかすると今後の業績悪化が予想され、生産よりも需要の掘り起こしが課題となったのかもしれません。
昭和の時代であれば、サラリーマンたるものの、生活の保障と引き換えに、会社の言うことに何でも従うのが常識でした。しかしいまや、大企業でも生き残りをかけて、ためらいなくリストラを行う時代。社員だけが忠誠を誓わされるのは不公平です。
質問者さんが「その会社に骨を埋める」つもりがないかぎり、退職して別の会社で、自分が希望する仕事に就きたいと考えるのは正当な権利です。
新卒で技術職に配属されたということは、おそらく大学の工学部卒などの学歴を買われたか、学歴以外の資質を認められたのでしょう。であれば、転職先でも同様の評価を受けられる可能性があるのではないでしょうか。
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