ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、職場の同僚の「ひとりごと」に悩まされています。
特に疲れていたり、考えごとがあって静かにして欲しいときなどは、「正直イラッとしてしまいます」。しかし知りたいのはやめさせる対策ではなく、その理由です。
「ひとりごとを言う人の気持ちがわかる方は、ぜひなぜなのか教えてください」
他人のアンテナに「ノイズ」を送る迷惑
ひとりきりの状況で「ひとりごと」を言うのは自由。しかし同じフロアに他の人がいても言うのは理解できない、というのが質問者さんの理屈です。あまりにも続くと「嫌がらせなのか?」とも感じてしまい、とても不愉快になるといいます。
「無意識とか、癖だとしたら、まぁ仕方ないような気もしますが、その場にいる人の関心を引こうとしているのであれば、正直ちょっとウザいかな……と思います。嫌がらせや八つ当たりなら論外ですね」
それにしても、他人のひとりごとは、なぜこんなにも不快に感じられるのでしょうか。ある回答者さんは、その心理をこう分析します。
「隣で携帯電話を使われるのと同じで、自分宛てじゃない話、つぶやきをされると本当に耳障りですよね」
外界で発生しつつある危険をいち早く察知するために、現代人は他人の声やしぐさに敏感に反応するアンテナを発達させてきました。
しかし、ひとりごとを言う人は、他人のアンテナにノイズを送っていることに気づかない。そんなノイズに無駄に反応させられた周囲は、発した人に腹を立てるのでしょう。それを「神経質すぎる」と批判することは、なかなか難しい世の中です。
本人いわく「自分で何を言ったか覚えてない」
この回答者さんは、ひとりごとの原因について「独り暮らしが長いと、そうなっちゃう人が多いみたい」と指摘しています。
「人に聞かれると恥ずかしいという気持ちがなくなるんでしょう。何度も近くの席の人から『ちょっとうるさいよー』なんて言われてるのにすぐに再発してしまうのは、本人に迷惑をかけているという自覚がないからかと」
この仮説を裏付ける証言が、別の回答者さんからも寄せられています。ひとりごとをよく言う友だちが「一人っ子」で、「話をする人がいなかった時にもよくひとりごとを言っていた」と聞いたのだそうです。
「無意識に口に出ている人は本当にいる」と断言する人もいました。「私がこれに当たります」と告白してます。
「他の人にひとりごとを指摘されても、自分で何を言ったか覚えていない。よくよく考えると、さっき心で考えてたことが口から出たんだ!と焦ります」
周囲は「無視するしかない」のか
結局、ひとりごとを言う人の気持ちは、基本的に「無意識」であって、嫌がらせなどの他意はないようです。
周囲としては、どうやって波風立てずに「気になるから、ひとりごとはやめて」とお願いしようかと気を揉んでしまいがちです。しかし本人が気付いていないのであれば、正面から注文を出しても問題ないのかもしれません。
とはいえ、完全に無意識であれば、いくら他人が指摘しても無駄となるでしょう。そのときは耳栓をするとか、イヤホンをするとかで自衛をするしかない。ひとりごとが気にならない人と、席替えをしてもらうことも考えられますが……。
中には「人の関心を引きたくてわざと口に出す人」もいるというから厄介です。
しかしそんな場合でも、「用事があるなら面と向かって」というのが周囲のホンネでしょう。どちらにしろ「ひとりごとは無視するのが一番」というアドバイスはうなずけます。
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。