なぜ転職成功者は「会社に不満がない」のに辞めるのか? 理想的な退職のタイミングを考える

なぜ転職成功者は「会社に不満がない」のに辞めるのか? 理想的な退職のタイミングを考える

会社の辞め時は「不満が溜まって我慢しきれなくなった」タイミングしかないと考えていないでしょうか。転職をキャリアアップの機会にするには、この考え方は大いなる誤解かもしれません。採用担当者は「前の会社に居づらくなった人」よりも「前の会社で大きな成果を上げた大事な人」を採りたいはずです。


ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、今の会社に漠然と「居づらさ」を感じており、「転職したほうがいいのかな?と考えています」とのこと。具体的に何から始めればいいのか、教えて欲しいそうです。

転職を「要は逃げ」と突き放す回答者

この質問には、回答者さんからこんなアドバイスが書き込まれています。

「今すぐ今の会社を退職したいというほど急いでなければ、その前に転職サイトや人材紹介会社を調べることですね。特定の業種に強いとか、第二新卒に強いとか特色がありますから」

最近は、本当にいろんな転職サイトが乱立していて、どれが自分に合ったサービスなのか迷うことが多いものです。転職を成功させるためには、有名サイトだけではなくマイナーなものも含めて、目的に合わせて比較すべきという指摘は納得です。

質問者さんも、このコメントをベストアンサーに選んでいます。しかしもうひとつ、ベストに選ばれなかった回答にも、気になる内容が書かれていました。

「会社に居づらいという理由で転職するのは、あまりおすすめできません。要は逃げ、ですから。転職先の企業でも居づらくなったら、また転職するのでしょうか? 解決でもなんでもありませんよ? よくお考え下さい」

質問者さんは何から手を着けたらよいのか迷っていますが、その疑問には正面から答えていません。ただ、質問文にあるような理由で今の勤務先を辞めるのは、得策ではないと言っているわけです。

「不満がない会社」を辞めるバカはいない?

この回答者さんは、どこかの会社の管理職のようです。転職したいと言い出す人が現れたときに、どちらかというと引き止める役回りと思われます。

会社の立場を代弁する意見は、若い人にとってあまり信頼できないと感じるかもしれません。しかしこの耳の痛いコメントの意味を、あえて考えてみましょう。

違法行為をする「ブラック企業」から逃げ出すことを除けば、その会社がイヤになって辞めるのは、本当に適切なタイミングなのかということです。

え、イヤになって辞めるのは当然でしょ? 何の不満もない会社を辞めるバカはいないよ」

そう考える若い人は多いかもしれませんが、実はそんなことはありません。むしろ逆で、キャリアアップに成功している人は「居づらくなったから」というような理由で転職をしていません。

前の会社で何か大きな仕事を成し遂げて、社内でのポジションがひとつ上がったタイミングで、会社に何の不満もないのに、あえて転職する人も少なくないのです。その理由は「自分の仕事の腕をさらに磨き、活かせる職場を求めて」といったものです。

名残惜しく「円満退社」するのが理想的

そんな理由で転職を希望する人たちを、採用担当者が競って採用したい理由は何なのか。転職先の立場から見れば分かることです。

採用担当者は「前の会社に居づらくなった人」よりも「前の会社で大きな成果を上げた大事な人」を採りたいはずです。そういう人は、前職より高い給与を支払ってでも引き抜きたいと思うのです。

ステージがひとつ上がったタイミングを見計らって、あるいは上がった状態で1年ほど次の仕事をした段階で、「アピールできる成果(=お土産)」を持って転職を始めるのが、実は理想なのではないでしょうか。

また、会社に不満を持ったまま辞めた退職者と、その後もつながりたいと思う人はいません。本人も名残惜しく、残る人から惜しまれながら「円満退社」をすることが、実は一番理想的なのです。

とすると、質問者さんも「転職は逃げ」と言われないように、転職先にアピールする「お土産づくり」に頑張ってみては、というのも誤ったアドバイスではない気がします。

企業口コミサイト「キャリコネ」には現役社員・OBOGによる書き込みが残されています。とあるソフト会社では、30代の男性システムコンサルタントが、こんな理由で退職していました。

ちょうどプロジェクトが一区切りついたところで、良いオファーをいただいたため転職することにしました。それほどネガティブな理由はありません。しいて言うならば、組織上、上が詰まっていて、上位のポジションに付くことが非常に難しくなっている状況でしょうか。これはどこの会社も同じですが。そういった事情があり、比較的若い会社に転職することにしました。

この記事の執筆者

ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。


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