ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは43歳の男性。某大企業に勤めていましたが、業績不振で退職しました。
預貯金や退職金などで生活しながら、転職活動をしていましたが、書類選考は通ることがあるものの、なかなか採用されないと悩んでいます。
「40代の転職って大変ですねっ、、!! 何か良いアドバイスありましたら頂けませんでしょうかっ、、!?」
回答者は冷ややか「給料が高かったのは会社の力」
ユニークな文体の質問者さんですが、管理職経験はなし。いちど内定をもらって働き始めた会社では、試用期間中に問題あり、ということで本採用には至らなかったといいます。
転職先選びの優先順位は「会社までの距離・時間」と「給与が前職と同程度であること」とのことですが、これには回答者から厳しい声が飛んでいます。
「あなたの期待する良いアドバイスなんてないと思います。私は採用する立場ですが、あなたのような人はまず雇いません」
「その優先順位にあてはまる会社の数自体が少なくありませんか?一度考え方を見直してみるといいかもしれませんね」
「誰が大手でパソコン打ってただけのオジサンを欲しがりますか? 自分を客観的に見たほうがいい。嫌味でも何でもない、本当のことだ」
近年、人手不足で悩む企業が多い中、リストラによる希望退職を募集する大企業が続出しています。景気がよいうちにリストラをすることは、退職者にとってもよいとされています。再就職が比較的容易になり、退職金の上乗せなども期待されるからです。
しかし、実際に辞めるとなると、「元大企業」のブランドがあっても期待通りの転職先ができるとは限らないのかもしれません。ダメ出しが多いのは、「給与が前職と同程度」を優先度の上位に挙げていること。ある回答者さんは、その理由をこう説明します。
「給料が高かったのは会社の力であって、あなたの能力のおかげではありません。仮にあきらめて安い給料で入社したとしても、『こんな給料でやってられるか』という態度で仕事する人がほとんど。だから始めから雇わない」
折り返しは40代半ば「汗を流して働く職場を選べ」
考えてみれば、転職について相談するなら「いままで自分はこういう経験や実績があって、いまはこういうことができます。どこかいい転職先はないですか?」というのが筋です。
しかし質問者さんは、「元大企業社員」という経歴と、「通勤時間」および「前職並みの給与」しか条件に挙げていないのですから、気楽なサラリーマンと呆れられてもおかしくありません。大企業にぶら下がって、何も身につけていないと判断されることでしょう。
「大企業の万年係長は天国」と言われますが、それは定年まで逃げ切れた場合の話。出世もしたくない、能力も磨きたくないでは、いざ会社が傾いたときに路頭に迷ってしまいます。これこそ「大企業のパラドックス」というやつです。
「事務職や総合職のようなものを希望でしょうか? 43でね…無理とは言いませんが、(採用は)いつになるかわからんぐらい可能性低いよ。本気で今後正社員として勤めたいなら、まず、プライドを捨てて、もっと違う、要は汗を流して働く職場を選ぶことをアドバイスします」
22歳から70歳まで働く前提で計算すると、折り返し地点は46歳。誇れる経歴がないのであれば、いまから第二の人生を歩み出すつもりで、新しいスキルを身に着けて働く覚悟が必要かもしれません。人生まだまだ、先は長いのですから……。
ある外資系IT企業の30代社員は、自らの給与について「もらいすぎの部分がある」と告白。「ある意味、入った者勝ち」と喜ぶ一方で「同じ能力、同じ業務内容で、他企業に出た場合、同程度の給料は絶対にもらえない」リスクも感じているようです。
新人には非常に旨味のある企業ではあるが、将来的に世間で通じる人間には育たない環境。切られない限りは生涯年収は高いかもしれないが、切られた場合は生涯年収が一気に一般人より下がると思われる。
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。