ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、未経験の2つの仕事の間でどちらに就くべきか悩んでいます。
ひとつめの仕事は、とある地方銀行のコンシェルジュ。1日実働6時間で、土日祝休みの完全週休2日制。もうひとつは、とある特別養護老人ホームの介護職員。1日実働8時間で、週休2日のシフト制だそうです。
回答者は時給の高い「銀行推し」ばかり
質問者さんは接客業務の経験があり、ヘルパー2級の資格も持っています。時給は、銀行が950円で、特養が907円。いずれもパートタイマーからですが、最終目標は「定年まで働きたい」と考えています。
両社から採用の内定をもらっているのかどうかは、質問文からは分かりませんが、そういう前提で考えるしかないでしょう。回答者からは、銀行を支持する意見が多く見られます。
「銀行がいいと思います」
「特養はきつそうだね?時給も安いし、実際、土日祝日休める保証は無いんじゃないですかね??」
「銀行を選択するべきである。特養は後悔する日が来るよ」
ある回答者さんは、自らの経験を踏まえて「特養は本当にきつい」と明かしたうえで、仕事の内容は知らないけれど、「特養やるなら銀行のコンシェルジュやったほうがいい」と強く勧めています。
しかし、銀行もひと昔前ならすべて正社員でしたが、現在はロビー係はもちろん、テラー(窓口)にも多くのパートタイマーが働いています。中にはパートにもノルマを課す銀行もあるようですので、片方だけの経験では判断しきれないところもあるでしょう。
コンシェルジュは「ただの受付」なのか
ここであらためて「銀行のコンシェルジュ」について確認してみましょう。あまり聞き慣れない仕事ですが、地方銀行のひとつである三重銀行のウェブサイトを見ると「総合世話係」という意味があるとされています。
「資産運用から個人ローンのご相談まで、個人のお客さまの取引全般に携わるスペシャリストです」
質問者さんのケースは1日実働6時間なので、店舗内での問い合わせ対応が中心と思われます。ただし三重銀行の場合は店頭での対応のほか、訪問もあるといいます。
「営業時間終了後にご自宅でご相談を承る」とも書かれており、オフィス外での残業があるのかもしれません。質問者さんの場合も、残業やノルマがないか確認した方がよさそうです。
一方で、コンシェルジュは「ただの受付だからラク」という人もいます。もしそうだとすれば、「色んなお客さんが来客するから人脈が広がる」「日商簿記やファイナンシャルプランナー等の資格が習得しやすい」といった深い経験までは期待できないでしょう。
「ロボットがやり出す」時代は遠くない?
こう見てみると、銀行のコンシェルジュは、特養の介護職とは全く異なる仕事内容で、比べるのも難しいくらいです。単純に時給で決めるべきではないでしょう。
「働く会社にどのような仕事かを説明などを受けて、質問者さんがしたい仕事に就くのが一番」というコメントもありました。質問者さんが「最終目標は定年まで」と望んでいることを踏まえ、介護の仕事も十分に選択肢に入ると助言する人もいます。
「どう考えても、この先の高齢者社会の規模は広がっていくでしょうから、介護の仕事はなくなることはないでしょう。でも、銀行だって潰れる世の中ですし、コンシェルジュはそのうちロボットがやり出すのでは?なんてのも冗談のようで、あり得るかもしれません」
すでにメガバンクでは計3万人の人員削減も決めており、地方からの撤退が進むことは確実です。地方銀行の再編や職場の消滅も起こるでしょう。さて、長い目で見て、どちらの業界に将来性があるといえるでしょうか。
企業口コミサイト「キャリコネ」には、ある地銀でカウンターセールスを担当している20代後半女性が、次のような書き込みを残していました。
マイナス金利の影響により収益が圧迫され、各支店資産運用販売のノルマが重くのしかかっている。顧客視点無視のセールスも実際にある。最近ではノルマは据え置きだが残業はほぼできないようになり、長く働くのは厳しい環境である。
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。