ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、就職活動中の学生さん。とある大手商社の選考を受けるべきかどうか悩んでいます。
その商社は、先日亡くなった叔父が勤めていた会社。現在の社長や役員は叔父と同期入社で、人事担当者とも仲が良かったため、選考が有利になるかもしれないと聞かされたそうです。
コネ採用にも合理性はあるけれど
質問者さんは、自分には正直もったいないくらい良い話だとは思っていますし、有名商社の魅力もあります。しかし、自分の学歴では本来届かない会社ではないかという懸念があります。
入社後も、実力でのし上がってきた同期に対し、引け目を感じてしまう不安もあるそうです。そこで社会人の先輩たちに、こう質問しています。
「実際に社会に出たことがないので、コネ入社した後が全然想像できないです。入社した方がいいと思いますか?」
その昔、人材の採用はコネ(縁故)入社が普通でした。候補者の人となりがじっくり見られますし、なにより素姓の分からない人を採るより安心感があったはずです。
大手クライアントの子息が入社することで、取引関係が強固になるという効果もあります。実際、マスコミや広告代理店ではコネ入社が非常に多く見られます。
回答者は「チャレンジしてみたら?」と勧める
コネ入社だからといって一律に悪と見なす必要もないでしょう。公務員ならNGですが、民間企業が関係者を通じて、優秀な人材に「どうせ就職するならぜひ当社へ」とアプローチすることは、会社にとっても合理性のあるところです。
その一方で、大卒者が大量に生み出される中で、公平性が重視され、コネ入社の存在は裏に潜むように。「なぜあの人だけが?」というねたみを買うおそれもあります。回答者からも否定的な声があがっています。
「コネで入ったとして、実力でのし上がってきた同期に対してどうしても引き目を感じてしまうと思います。正しい分析ではないでしょうかね」
「大企業の総合職採用がコネで入社できる時代ではないですよ」と、選考に有利になるとは限らないとコメントする人がいる一方で、ある回答者さんは大手でも「コネ/紹介枠」を設けている会社が今もあるとし、採用決定ではないのだからチャレンジしてみたらと勧めています。
「(コネ枠は)入社までの話であって、入社後は昔のようにコネだから有利ではないと思いますので、気にしなくても良いのではないでしょうか」
社員紹介での「リファラル採用」も増えている
現在は売り手市場ということもあって、インターンシップやOBOG訪問など「一本釣り」による人材確保が増えています。自社の社員に社外の人材を採用候補者として紹介・推薦してもらう「リファラル採用」も盛んになっています。
いずれも「縁故採用」ではありませんが、学生を十把ひとからげではなく、関係者の紹介を受けて「顔が見える人材」として採用するという点では共通する要素があります。
信頼してくれた紹介者の手前、不正などはできません。せっかくの貴重なコネに甘えることなく、入社後は他人以上に頑張れば、「あの人はコネなのに真面目に働くね」と、かえって評価を高めることになるのかもしれません。
大手企業ではありませんが、企業口コミサイト「キャリコネ」には、社員による紹介の採用を積極的に行っている日本料理店で働く人からの書き込みがありました。
昼と夜どちらもまかない(お弁当)がありとても助かる! また、リファラル採用を推進していて、紹介し一定期間勤務すれば謝礼金をもらえる。アルバイトさんの知り合いの紹介での採用も増えてきている。
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