ネットのQ&Aサイトに、こんな質問が載っていました。質問者さんは、20代前半の女性。4月から新卒入社2年目を迎えますが、早くも退職を決意しており、できれば今年中の転職を考えているそうです。
退職理由は分かりませんが「資格を取って新しい仕事がしたい」と考え、具体的な資格も決めているようです。資格の中身にもよりますが、確かに専門性のある仕事の方が給与アップの可能性が高まりそうです。
「資格の難易度」などにもよるけれど
目指している資格の試験は10月中旬に実施されるので、それまでは勉強に専念したいところ。その一方で、年内の転職を確実にするためには、9月ころから活動を始めなければならないのではないか――。質問者さんは、そう考えています。
となると、今年の秋から「資格取得」と「転職活動」を同時並行で行わなければならないスケジュールになってしまいます。これをどうやって乗り切ればいいのか。
「転職と資格取得の同時進行は可能でしょうか? 未経験で全く想像がつかないため、ご教授お願い致します」
ただ、同時進行が可能かどうかは、個人差がかなりあるでしょう。また、回答者さんは、資格の難易度にもよるとコメントしています。
「資格のレベル、事前準備等によって変わるので何とも言えないですね。例えば、国家資格で合格率5%前後の難関資格にトライするなら同時進行は難しいかと思います。逆に合格率30%くらいの資格であるなら同時進行くらいは出来るのではないかと」
10月半ばに実施される国家試験といえば、いわゆる「宅建」(宅地建物取引士資格試験)が思い浮かびます。毎年3万人前後が合格しますが、合格率は15~18%程度。超難関ではありませんが、決して誰もが取れるものではありません。
経験者「資格取得で自信がついた」
キャリコネ「転職ガイド」には、28歳の女性会社員が医療事務の資格を取って、印刷会社の事務から転職を果たしたケースが紹介されていました。未経験の仕事ですが、20万円の年収アップを成功させています。
勤め先でリストラが始まり、社内の雰囲気が悪化したことから「このまま勤務していても仕方ないな」と思っていたころ、友人に「一緒に何か資格を取らない?」と誘われたそうです。

資格取得で自信をつけて、未経験の世界にチャレンジ! | 転職ガイド | 転職・就職に役立つ情報サイト キャリコネ
ひと言でいうと、社内の雰囲気が悪化したことですね。従業員50名ほどの中小印刷会社に勤めていたのですが、もともと印刷業界自体が斜陽傾向にあることもあって、賃金カットやリストラなどが始まったんです。社内の人間関係もギスギスしたものになり、「このまま勤務していても仕方ないな」と思うようになりました。 | 転職ガイド | キャリコネ
そこで、以前から興味のあった医療事務の勉強を開始。3~4か月ほどでメディカルクラークの資格試験(医療事務技能審査試験)に合格し、「未経験OK」の求人を中心に、総合病院から個人運営のクリニックまで毎週5~10社にエントリーしました。
書類選考で40社以上落とされたものの、2か月目の終わりに内定を出してくれたところに正社員として入社を決め、年収もアップしたとのこと。この女性によれば、ポイントは次の2つだということです。
「まず資格を取得して自信をつけ、それから転職活動に専念する方がおすすめ」
「でも、資格取得したら転職できるとは考えないほうがいい。募集ポジションとの総合的なマッチング具合の方が大切」
「予備調査の転職活動」で手応えを確かめる方法も
資格が取得できなければ、それをベースにした転職活動もできません。「自信がつく」という効果もあるので、まずは資格の勉強に専念をした方がいいのかもしれませんね。
ただ、この女性も言っているように、資格を取れば転職できるというものではありません。
ネットには「転職したければ資格を取れば?」という書き込みが多く見られますが、やはり机上の勉強と実務の間には、大きな差があります。
とはいえ、「ここで働きたいです。でも未経験だし、本を読んだことも勉強したこともないので知識はありません」というのでは、採用に二の足を踏まれてしまうのも当然です。
前職の経験がどう活かせるのかを考えながら、「新しい仕事で活躍できそう」という印象を相手に与えることが大事です。まずは予備調査のための転職活動を少ししてみて、何が足りないのかを確かめてから資格を選ぶという方法もあるでしょう。
企業口コミサイト「キャリコネ」には、ある不動産会社に勤める20代男性社員からの書き込みがありました。
宅建資格を所持していれば、一年目から月に30万円貰える。報酬は悪くはない。しかし、実質働いている時間を考えると、妥当な額かそれ以下だと思う。やったらやっただけもらえるというシンプルな方針で、人によっては若いうちから高年収を得られるが…
ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。