転職志望者必見!「ボーナスもらったら辞めてやる」と企む人が損しないためのアドバイス

転職志望者必見!「ボーナスもらったら辞めてやる」と企む人が損しないためのアドバイス

損をしないためには「就業規則」のチェックを!「2019年年末の冬のボーナス」の妥結水準調査によると、東証1部上場企業212社の平均は74万7808円で、前年同期比0.1%の微減となったそうです。小さくない金額ですから、会社を辞めたいときには、ぜひボーナスをもらって次の職場に移りたいものです。


年末に一時金が100万円! ボーナスが出ない会社で働く人には、うらやましい話でしょう。「ボーナスの出る会社に転職したい」と思うはずです。

でも、ボーナスの出る会社で働く人も、金額に不満があったり、ボーナス以外の理由で辞め時を探していたりする人がいます。

「ボーナスもらったら、もっといい会社に転職しよう!」

そう思っている人も多いのです。

しかし、早まってしまうと大損をすることがあります。思わぬ損を避けるためには、何をすればよいのでしょうか。それは自社の「就業規則」を必ずチェックすることです。

就業規則の「賞与」の項目を必ず確認

就業規則とは、従業員に共通する義務と権利が書かれた「職場のルール」のようなもの。そこには、どんなことが書かれているのでしょうか。厚生労働省の「モデル就業規則」で確認してみましょう。

第48条 賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。
 算定対象期間 ○月○日から○月○日まで
 支給日  ○月○日
2 前項の賞与の額は、会社の業績および労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

ボーナスは、就業規則にはたいがい「賞与」(しょうよ)と書かれています。会社には支払いの義務はなく、金額も会社が決められることを知っている人は多いと思います。それだけに、会社のさじ加減で変わってしまうものだと慎重に考えた方がいいでしょう。

例えば、「算定対象期間」に勤務していない日があった場合には、ボーナスは満額支払われない可能性があります。また「算定対象期間」に在籍していたとしても、「支給日」に在籍していなければ、まったく支給してもらえないおそれがあるということです。

「退職届」を出すタイミングにも注意

さらに注意すべきなのは、あなたの会社の就業規則が「モデル就業規則」とは同じではない可能性があるということです。例えば「支給日」の前に退職届が受理された場合には、ボーナスを支給しないと書いている会社もありえます。

つまり、退職届を出すタイミングが数日ずれただけで、何十万円ものボーナスをもらい損ねるおそれがあるのです。「そんなの不当だ!」と会社と争えば取り返せる可能性があるかもしれませんが、そのための手間とストレスを考えれば、あらかじめ調べた方が楽です。

そもそも、ボーナスは「会社の業績および労働者の勤務成績などを考慮して」といったあいまいな基準で査定されています。トラブルを避けるために、金額の内示があっても、支給日までは「辞めます」という意思を内緒にしておいた方がいいでしょう。

ただし、いまの会社で最大限もらうことにこだわりすぎるのも考えものです。転職を前提とすると、新しい会社にもボーナスの「算定対象期間」があるわけです。

業績のいい会社に転職するような場合には、思い切って早めに転職し、早めに活躍して、次の会社でたっぷりボーナスをもらった方がいい――。そういう「損切り」感覚が大きなチャンスをつかむかもしれません。

有休取ったらボーナス減らされた?

いまどきはもう少なくなったとは思いますが、以前は「有給休暇を取得したらボーナスを減らすぞ」と公言しているオーナー社長がいました。制度の趣旨を理解しない酷い話です。

もしもあなたのボーナスの金額が、有休取得を理由に減額されていたら、それは違法です。厚労省「モデル就業規則」にも、こんな解説が書かれています。

年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額や精皆勤手当、賞与の額の算定に際しての年次有給休暇取得日を欠勤として取扱う等の不利益な取扱いをしてはいけません(労基法附則第136条)。

ボーナスを日割して有休取得分を減額するような会社があれば、近くの労働基準監督署に証拠を添えて通報しましょう。減らされた分のボーナスを支給するよう指導してくれるはずです。なお、通報者の秘密はきちんと守られますので、ご心配なく。

うちの会社には就業規則がない?

ここまで読んできて「え、うちの会社には就業規則なんかないよ」「そんなもの見たことない」なんて人はいないでしょうか。モデル就業規則の解説には、こう書かれています。

常時10人以上の労働者を使用する事業場においては、これを作成しまたは変更する場合に、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。

就業規則は企業単位ではなく、事業所単位で作らなければなりません。「常時10人以上の労働者」が働いている職場で、就業規則が作られていない場合には違法となります(労働者は契約社員やパートタイマーも含みます。派遣社員は派遣元の従業員にカウントされます)。

また、作成された就業規則は、きちんと労働者に周知されていなければなりません。その方法は以下のようなものが考えられます。

・労働者一人ひとりへの配布
・職場の見やすい場所への掲示・備え付け
・電子媒体へ記録し、常時モニター画面等で確認できるようにする

どうしても見せてもらえない場合には、労働基準監督署に相談してみましょう。作成した就業規則は労基署に届けているはずですし、届けていなければ違法です。

「実はうちの就業規則にはこうなってるんだ」と後出しで言われないように、また、ウソで騙されないように、きちんと確認することをオススメします。

この記事の執筆者

ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。


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