「待遇は会社より“職種”に依存する」 富士通社員が口コミで就活生に明かした内情

「待遇は会社より“職種”に依存する」 富士通社員が口コミで就活生に明かした内情

「就社より就職」と言われて久しいですが、有名大学から脇目も振らず有名企業に入社した人は「大企業に入ったら一生安泰」というありがちな思い込みを抱いています。しかし仕事のきつさもリストラのリスクも、部署や職種によって大きく変わります。自分できちんと情報収集を行い、自分の判断で動けるようにしましょう。


今回、企業クチコミサイトの「キャリコネ」からピックアップするのは、富士通の20代男性テストエンジニアが2015年度時点の会社の状況について、2018年2月に投稿した書き込みです。

在籍していたハードウェア部門が縮小傾向であり、今後の成長に不安を感じた結果、退職しました。他メーカーでの人員削減や部門売却のニュースを目にすることが増え、いつ自分たちの会社で同じことが起きてもおかしくないなと感じた。

富士通は2015年度(2016年2月)、パソコン事業と携帯電話事業をそれぞれ分社化しました。この狙いについて、会社は当初、成長力を強化するために独立ビジネス化するとしていました。しかし、後にそれぞれの事業を他社に売却するに至っています。

パソコンと携帯電話を売却した富士通

富士通のパソコン事業は、国内メーカーの東芝、VAIO(パソコン事業から撤退したソニーから事業譲渡)との3社による統合を模索していましたが、2016年4月に破談しました。

その後、富士通から分社化した「富士通クライアントコンピューティング」は、2017年11月に中国のレノボ・グループに売却されて傘下に入っています(レノボの保有株式は51%、富士通は44%)。

携帯電話事業は「富士通コネクテッドテクノロジーズ」として分社化しましたが、2018年3月に投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループに株式の7割が売却されました(富士通の保有株式は30%)。「らくらく」「arrows」といった従来のブランドは維持されるものの、今後は別のメーカー系への売却も考えられます。

今回の口コミを書き込んだ富士通社員は、おそらくパソコンや携帯電話のハードウェアに関わるテストエンジニアとして業務に携わっていたのでしょう。しかし事業の雲行きが怪しいのを見て、分社化の前後に自ら転職活動に動いたようです。

書き込みに「他メーカーでの人員削減や部門売却のニュースを目にすることが増え」とあるように、東芝は2012年に携帯電話事業から撤退、ソニーも2014年にパソコン事業からの撤退を発表するなど、消費者向けのハードウェア事業をやめる会社が増えていました。

入社当時は、大企業に入れたからには将来安泰と考えたのかもしれません。しかし2008年にiPhoneが日本に上陸した時点で、従来のPC/携帯ビジネスが大きく変わることを予想できた人であれば、もっと早く危機を察知できたかもしれません。

覚悟して入ったが「予想を超えてホワイト」

前出の男性と同年代で、現在は研究開発に携わる富士通社員の書き込みもありました。この社員は、同じ大企業に入れたとしても、部署や職種によって働く環境やキャリアが大きく変わると指摘します。

就活生には肝に命じて欲しいのだが、待遇は会社よりも職種に依存する。福利厚生狙いで超人気企業に入ったけど、社内の配属戦争が激戦であり、希望の配属先に行けず、思ってたのと全然違う労働環境になってしまい、転職するという人はよくいる。

前出の男性も、最初からハードウェアのテストエンジニアを志望していたかどうかは分かりません。しかし、消費者向けハードウェアの製造分野がアジア諸国との激しいコスト競争にさらされており、技術面でも追い上げられているという「事業環境のトレンド」を知っていれば、いくら富士通とはいえ、その厳しさは予想できたはずでしょう。

一方、研究開発職のこの男性は、入社前にネットの情報を見て、富士通の職場環境について「とても激務」という印象をもっていたようですが、好きなことを仕事にするために「覚悟して入社した」のだそうです。

しかし実際には、配属された研究開発職は「予想を遥かに超えてホワイト」な職場だったとのこと。もちろん、これからどんな変化があるか分かりませんが、激務でも働く覚悟があれば「福利厚生狙いで超人気企業に入った」人よりも、環境の変化には強いに違いありません。

この記事の執筆者

ネットのお悩み相談をウォッチするコラムニスト。


関連記事

中途採用に「SPI試験」は必要?「仕事に無関係な知識」で採否を決めるのか

経験と実績を活かして新しい職場で働いてみたいと臨んだ人が、職務とは関係のない学力試験を受けさせられたら……。バカにされたと感じてもおかしくないのではないでしょうか。「SPIはとんでもないのを排除するだけで、半数以上の人は通過する」と言う人がいる一方で、9割はできないと合格しないという口コミもあります。


経営者のみなさん、気象警報が出たら「早期帰宅」を即決しませんか?

大型台風に翻弄されたここ数ヶ月。公共交通機関は事前に「計画運休」を発表し、自宅勤務を認める会社は一気に増えました。それでもいまだに、未消化の有給休暇を山ほど残している社員に対し、定時出社を呼びかける会社もあります。その謎は、日本のサラリーマンにしか分からないことなのかもしれません。


転職活動に適した時期はいつ? 年末年始が「大きな狙い目」になる理由

「いつか転職できれば」と漠然と考えていても、物事は進みません。転職のタイミングを具体的に考えてみてはいかがでしょうか。ビッグウェーブに乗るには、2020年の初旬が大きな好機になりそう。不況になってからではなく、好況・人手不足の「売り手市場」に転職するメリットも多いものです。


ゾンビ企業から転職したいけど「辞めたい」と切り出せない! どうしたらいい?

「転職したい」と思っても、社長や上司が怖かったり、同僚に迷惑がかかるのではと心配になったりして、退職を言い出しにくいケースは少なからずあるでしょう。しかし、よりよい労働環境とキャリアを勝ち取るには、自分自身で一歩進み出すしかありません。退職の足を引っ張るブラック企業の「傾向と対策」をまとめてみました。


「正社員」なら絶対に辞めない方がいいの? 求人内容と違って耐えられないのに

「正社員=安定」というイメージにつけこんで、悪条件の「名ばかり正社員」として雇うブラック企業があります。そういう会社に当たったら、ただちに退職を考えるべきですが、「フリーターの方がマシ」と衝動的な行動を取らない方がよさそうです。


wiget_w300
wiget_w300
wiget_w300