【財務分析】日本M&Aセンターは10期連続増収増益へ 業績絶好調で株価上昇中

【財務分析】日本M&Aセンターは10期連続増収増益へ 業績絶好調で株価上昇中

中堅中小企業のM&A(合併・買収)仲介を事業とする日本M&Aセンター。事業承継ニーズの高まりを背景に、増収増益を続けています。営業利益率は驚異の40%台。年間平均給与は国内トップクラスの1413万7000円です。会社の現状と今後について、財務諸表を中心に分析を行います。


損益計算書(PL):10期連続増収増益へ

日本M&Aセンターの2019年3月期の売上高は284億6300万円で前期比15.6%増。営業利益は125億3300万円で同8.0%増で、9期連続増収増益となりました。

営業利益率は前期比3.1pt減ではあるものの、44.0%と高い水準を確保しています。

なお、日本M&Aセンターは2002年に現在の社名に変更して以来、2010年3月期を除いて毎年増収増益を続けており、2020年3月期には10期連続増収増益をほぼ確実としています。

粗利率が60%台、営業利益率が40%台と高い水準を誇る同社ですが、これは設備投資や在庫などの必要のないM&A(企業の合併・買収)の仲介業務を主たる事業としているからです。

売上原価の主な内訳は「案件紹介料・外注費」と「コンサルタントおよび営業サポートメンバーの人件費・交通費」で、社員の年間平均給与は1413万7000円(2019年3月31日現在)と上場企業屈指の高さとなっています。

販管費の主な内訳は「広告宣伝費」「地代家賃」で、上記以外のスタッフ職の人件費を含みます。

セグメント分析:中堅中小企業のM&A仲介が主

日本M&Aセンターは有価証券報告書上は「M&Aの仲介事業」という単一セグメントですが、決算報告説明資料には「M&A仲介事業」と「その他事業」の2つで整理されています。

  • M&A仲介事業:国内の中堅中小企業の案件が中心
  • その他:各地域を代表する会計事務所が運営する地域M&Aセンター(865拠点)の会費収入

M&A仲介事業は、売上高279億6500万円、売上総利益236億3600万円。その他事業はそれぞれ4億9700万円、3億3200万円であり、M&A仲介事業が規模も利益率も圧倒的です。

出典:2019年3月期 決算説明資料

M&A仲介事業は、上場企業および中堅中小企業は日本M&Aセンターが対応します。

このうち、中堅企業の成長戦略型M&Aについては、PEファンド投資を行う日本投資ファンド(日本政策投資銀行との合弁)が連携することもあります。

従業員10人未満の零細企業や個人経営のM&A仲介は、「バトンズ」というオンラインマッチングサイトで対応しています。

出典:2019年3月期 決算説明資料

貸借対照表(BS):財務面の安全性は高い

長期、短期ともに財務面の安全性は高いです。会社の財務体質の長期的な安全性を測る株主資本比率は76.3%と非常に高い水準です。

短期的な支払能力を測る流動比率は、一般的には200%超で安全水域と言われていますが、269.0%となっています。

キャッシュフロー計算書(CF):売掛金の増加で営業CF減

9期連続増収増益を果たした日本M&Aセンターですが、営業CFは69億1400万円で前期比29.5%減となり、これに伴い売上を通じて現金を稼ぐ力を測る営業CFマージンも24.3%も前期比15.6ptも下がっています。

営業CFが減った要因は、売上債権がマイナス17億3370万円となったことです。商品を売り上げても、売掛金として貸借対照表に計上されている限りは代金は未回収となっており、当期中における売掛金の増加額が営業CFのマイナスとして調整されています。

投資CFはマイナス6億500万円で、マイナス額は同92.5%減。定期預金の払戻による収入が62億円あった一方で、定期預金の預入による支出が52億円、投資有価証券の取得による支出が15億7200万円ありました。

財務CFはマイナス45億5000万円で、マイナス額は同33.1%増。配当金の支払額36億9800万円の影響が最も大きく、長期預金の預入と長期借入金の返済でも、それぞれ10億円の支出がありました。

資本効率:上場企業でトップクラスの高さ

当期純利益は順調に右肩上がりで、2020年3月期も91億円と前期を上回る見込みです。

2019年3月期のROE(自己資本利益率)は36.0%、ROA(総資産利益率)は28.7%で、前期より下回ったものの上場企業でトップクラスの高い水準を誇っています。

まとめ

2019年3月期の第2四半期決算を受けて、株価は2900円台から3500円台へと急上昇。売上高は前年同期比で23.1%増、営業利益は32.3%増と好調な業績を受けたものでしょう。

2016年3月期以降、配当金額は12.25円から23.00円まで増え、配当性向も上昇中です。

出典:2020年3月期 第2四半期決算資料

四半期の経常利益も最高額を21.9%更新しており、業績絶好調と言えるでしょう。

この勢いは、団塊の世代〔1947年~49年生まれ(現72~74歳)〕の引退と事業承継を追い風としたものと見られますが、このトレンドは永遠に続くものではありません。

とはいえ、会社は国内のみならず「世界No.1のM&A総合企業」を目指しており、新たにどの分野で業績を伸ばしていくのか注目です。

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