【財務分析】ホームセンター業界売上1位のDCM 増税後の客数減をどう乗り切るか

【財務分析】ホームセンター業界売上1位のDCM 増税後の客数減をどう乗り切るか

M&Aを繰り返して業界売上1位の座を掴んだDCMホールディングス。2020年2月期の第3四半期決算は減収減益に終わり、消費増税前の駆け込み需要の反動で客数の前年比割れが続いています。株価は今年に入って上昇の兆しを見せていますが、今後はどうなるのか。財務諸表などを基に会社の現状と課題を整理します。


損益計算書(PL):売上利益ともに過去最高

DCMホールディングスの2019年2月期決算は、売上高が前期比0.5%増の4458億円、営業利益が同7.7%増の220億円でそれぞれ過去最高となり、ホームセンター業界売上高1位の座を保ちました。(売上規模順にDCMホールディングス、カインズ、コメリ 、コーナン商事、ナフコ)

コスト面では、売上原価を前期比0.5%増の2944億円、販売費及び一般管理費を同0.6%減の1303億円まで抑えた結果、営業利益率が同0.3pt増の4.7%にやや改善しました。

有価証券報告書では「定番商品の商品構成の見直しや、DCMブランドの売上構成比の上昇をすすめたことなどにより、持分法適用関連会社(株)ケーヨーの商品供給を除いた粗利益率は前期比0.3pt増の33.5%へ改善」と説明しています。

また、西日本豪雨等で8億円の損失が発生しましたが、保険金収入により差し引き1億円の損失に抑え、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比8.3%増の122億円を達成しました。

これらの結果、期首時点の売上高目標4470億円は未達でしたが、営業利益210億円、営業利益率4.7%、当期純利益118億円の目標を達成しています。

なお、直近の2020年2月期第3四半期の業績は、天候不順や前年の災害需要の反動減により、売上高が3316億円(前期比98.2%)、営業利益が178億円(同97.1%)となりました。しかし、四半期純利益は116億円(同102.1%)と過去最高益を達成しています。

セグメント分析:主力はハウスキーピング部門

DCMホールディングスは持株会社であり、ホームセンター事業は以下の5つの連結子会社が671店舗を展開しています(すべて国内。2019年2月期末現在)。

  • DCMホーマック:北海道・東北・関東地方に291店舗を展開
  • DCMカーマ:中部・北陸地方に168店舗を展開
  • DCMダイキ:四国・近畿・中国・九州地方に157店舗を展開
  • DCMサンワ:北海道・青森県・秋田県に33店舗を展開
  • DCMくろがねや:東京都・神奈川県・山梨県に22店舗を展開

事業部門と主な取扱商品は、以下の6つとその他です。

  • 園芸・エクステリア:園芸用品、大型機械、農業・業務資材、植物、エクステリア、屋外資材、住宅設備他
  • ホームインプルーブメント:作業用品、金物、工具、塗料、補修、木材、建築資材他
  • ホームレジャー・ペット:カー用品、スポーツ、玩具、自転車、レジャー、ペット用品他
  • ハウスキーピング:日用消耗品、文具、ダイニング・キッチン、バス・トイレタリー、ヘルスケア・ビューティケア、食品他
  • ホームファニシング:インテリア、寝具、家具収納他
  • ホームエレクトロニクス:家庭電器、冷暖房、電材・照明、AV情報機器他
  • その他:テナント植物、テナントペット、灯油、工事費、サービス料他

出典:2019年2月期 決算説明資料

売上構成比が最も高いのはハウスキーピング部門で24.3%を占めています。次いでホームインプルーブ部門が20.5%、園芸・エクステリア部門が15.7%、ホームレジャー・ペット部門が14.8%、ホームエレクトロニクス部門が9.0%、ホームファ二シング部門が6.1%、その他が7.5%です。

前期比で売上を落とす部門が多い中、建材などを扱うホームインプルーブ部門が前期比3.3%増、電材や照明などを扱うホームエレクトロニクス部門が同1.7%増となっています。2019年2月期有価証券報告書では「相次いだ地震・台風により復旧需要があった一方で、酷暑・暖冬により季節商品が苦戦した」と説明しています。

また、粗利益率が高いプライベートブランド商品(PB)の比率を年々高めており、2015年2月期の9.3%から2019年2月期には18.9%に達しています。 

貸借対照表(BS):固定比率が100%超で競合より高め

2019年2月期末の資産合計は前期比3.1%増の4157億円となりました。流動資産は同13.0%増の1385億円、固定資産は同1.2%減の2772億円となっています。

流動負債は前期比9.7%増の1055億円、固定負債は同1.4%減の1218億円。純資産合計は同2.7%増の1884億円に増えましたが、これは当期純利益122億円が貢献しています。

有利子負債残高は前期比同1.5%減の1464億円でした。

短期支払能力を測る流動比率は前期比3.9pt増の131.3%と改善。問題ないとされる120%以上を上回っています。

長期支払能力を測る固定比率は前期比5.9pt減の147.1%。固定比率は低いほどよく100%を超えると借入によって固定資産を購入していることになります。ホームセンター業界はその性格から固定比率が高い傾向がありますが、同業のコメリの108.4%、ナフコの98.8%と比較しても高く、健全性が劣ります。

長期的視点での財務安全性を測る株主資本比率は前期比0.2pt減の45.3%で、一般的に問題ないとされる30%を上回ってはいるものの、コメリの53.2%やナフコの62.3%と比較すると低水準です。

キャッシュフロー計算書(CF):優良企業型で問題なし

2019年2月期の営業CFはプラス251億円で前期より52億円増加しています。主な増加要因は仕入債務の増加74億円です。これに伴い、営業CFマージンも5.6%で前期比1.1pt改善しており、本業の営業が順調で現金を稼ぐ力が強くなっているといえるでしょう。

投資CFはマイナス98億円で、マイナス額は前期から67億円減少。新規出店やソフトウェアへの投資を行っています。これにより、自由に使える手元現金であるフリーCF(=営業CF+投資CF)はプラス153億円で前期から119億円増加しました。

財務CFはマイナス114億円で、マイナス額は前期から84億円増加。主な増加要因は「長期借入金の返済143億円、自己株式の取得51億円」です。

上記より「営業CFプラス、投資CFマイナス、財務CFマイナス」という優良企業型になっています。本業で十分なキャッシュを生み出し、その分で投資を行い借入金の返済もできている状態です。

投資分析:当期純利益の増加で資金効率改善

2019年2月期の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比8.3%増の122億円でした。これに伴い、ROE(自己資本利益率)は前期比0.4pt増の6.6%、ROA(総資産利益率)は同0.2pt増の3.0%といずれも改善しています。

ROEの水準は小売業平均の5.2%を上回っていますが、ROAの業界平均6.1%を下回っています。これは固定資産の大きさが影響していると見られます。

純資産や利益の増加に伴い、BPS(1株当たり純資産)は前期比6.1%増の1410円。EPS(1株当たり利益)は同12.2%増の90.1円といずれも上昇しています。

なお、DCMホールディングスは株主還元の一環として、2019年2月期中に自己株式の取得51億円を実施しています。しかし、株主へ利益をどれくらい還元しているかを示す配当性向は前期比2.5pt減の29.6%にとどまり、上場企業平均の30%をわずかに下回りました。

まとめ:「グループ5社の統合」は奏功するか

2019年は年初より乱高下を繰り返していたDCMホールディングスの株価は、12月27日発表の第3四半期決算(対会社経常利益進捗率77.0%)を受けて下落。しかし2020年に入って上昇の兆しをみせています。

ホームセンター業界は、9月の消費税増税前の駆け込み需要の反動で、10月以降は客数の減少(前年比)が続いています。

DCMホールディングスも例外ではなく、9月度の消費税増税前の駆け込み需要があった(既存店売上高は前期比8.9%増)一方で、10月度の増税後の需要減(同10.9%減)により売上高進捗率は75.0%にとどまっています。

直近3ヶ月(11~1月)の既存店・全店売上高ともに前年比割れが続いており、売上高の期首計画が未達になるおそれがあります。

出典:2020年1月度 月次売上伸び率(前年比)推移

一方で、粗利益率が高いPB商品構成比率を前期比2.6pt増の21.7%まで向上させ、業務効率化により販管費を同98.4%の962億円まで抑制している点は好材料です。

また、さらなる効率化を図るため、DCMホールディングスは2019年12月、グループ5社を2021年3月めどに統合するという大胆な改革を発表しました。これが期待通りの成果を遂げるのか、今後の動向に注目したいところです。

DCM グループ5社を2021年3月めどに統合Icon outbound

https://diamond-rm.net/management/46143/

DCMホールディングス(HD)は12月10日、DCMカーマ、DCMダイキ、DCMホーマック、DCMサンワ、DCMくろがねやの5社が、2021年3月をめどに統合すると発表した。

この記事の執筆者

海外大学院でファイナンスと会計を学んでいます。
企業の財務経理部での勤務経験を元に記事を作成します。