【本決算】カテーテルのクリエートメディック 医療機器への需要見込み株価急反発

【本決算】カテーテルのクリエートメディック 医療機器への需要見込み株価急反発

シリコーン製のカテーテルを中心とした医療機器を製造・販売するクリエートメディック。中国など海外向けが堅調で、緩やかに増収営業増益の基調が続いています。医療関連への物色から新型肺炎による世界同時株安からも株価はいち早く反発しました。決算や財務から現状を分析しポイントを整理します。


損益計算書(PL):緩やかな増収増益基調

クリエートメディックの2019年12月期決算は売上高が前期比0.4%増の108億4400万円営業利益は同9.0%増の10億8300万円の増収増益でした。

売上原価は前期比2.4%減の56億1600万円で粗利率同1.5pt増48.2%と改善し、売上総利益は同3.6%増の52億2800万円となりました。販売費及び一般管理費は人件費や研究開発費の増加などにより前期比2.3%増41億4500万円となりましたが、粗利率の改善により営業利益率は同0.8pt増の10.0%と改善しています。

親会社株主に帰属する当期純利益は前期比7.7%増の7億2500万円でした

会社計画比では売上高が0.8%の未達でしたが、営業利益では8.3%、当期純利益では3.6%会社計画を上回って着地しました。

2020年12月期の業績予想は、売上高が111億4000万円(前期比2.7%増)、営業利益が10億9000万円(同0.6%増)、当期純利益が7億5000万円(同3.4%増)を見込んでいます。なお、為替の前提レートは1ドル108円40銭、1人民元15.20円です。

セグメント分析:国内外でカテーテル製品を販売

クリエートメディックは、医療用の細い管のカテーテル製造メーカーです。導尿に使用されるフォーリーカテーテルなどの泌尿器系製品や腸閉塞に使用されるイレウスチューブなどの消化器系製品などを中心に手掛けています。

同社のカテーテルは主にシリコーンを原料としています。シリコーンは、生体適合性に優れ、粘膜等への刺激が少なく、撥水性があるため血栓ができにくいなど、優れた特徴を持っています。

報告セグメントは単一セグメントですが、販売形態別に次のように分かれています。

  • 自社販売:自社ブランドによるカテーテル製品等の製造販売(売上高構成比61.3%)
    • 泌尿器系:手術後や排尿障害の患者向けの導尿カテーテルなど
    • 消化器系:イレウス(腸閉塞)の患者向けの減圧・吸引カテーテルなど
    • その他
  • 海外販売:中国や東南アジア、欧州など海外での製造販売(同27.6%)
    • 中国:中国国内でのカテーテル製品等の販売
    • 輸出:東南アジア、欧州その他海外向けのカテーテル製品の販売
    • その他
  • OEM販売:供給先ブランドへのOEM販売(同11.1%)
    • 血管系:マイクロカテーテルなどの極細カテーテル製品など
    • 看護検査:胃ろうや直腸・大腸ガン検査向けカテーテル製品など
    • その他

売上高構成比(対全体)は、自社販売の泌尿器系が26.3%の28億4900万円、消化器系が23.6%の25億4300万円、その他が11.6%の12億5300万円。海外販売の中国が20.3%の21億9000万円、輸出が6.9%の7億5000万円、その他が0.5%の5500万円。OEM販売の血管系が6.2%の6億7000万円、看護検査が3.9%の4億2300万円、その他が1.0%の1億700万円です。

出典:2019年度の決算概要と中期経営計画の概要

売上高の成長率は自社販売が前期比1.3%増で内訳は泌尿器系が同7.3%増、消化器系が4.9%減、その他が2.1%増でした。海外販売が同10.3%増で内訳は中国が13.7%増、輸出が変わらず、その他は40.7%増でした。OEM販売が同21.1%減で内訳は血管系が30.7%減、看護検査が4.4%減、その他が2.7%減でした。

OEM販売の落ち込みを中国向けの販売増がカバーし、全体では前年並みの売上高となりました。

中国向けの為替の円高影響や国内向けの売価下落の悪影響を、増収効果と原価低減効果が上回り、粗利率が改善しました。営業部門の人件費や研究開発費の増による販管費の増を上回ったことから、営業利益率は前期比で0.8%pt改善し10.0%となりました。

出典:2019年度の決算概要と中期経営計画の概要

キャッシュフロー計算書(CF):優良企業型

2019年12月期の営業CFは前期比10.3%増の8億8000万円。主な要因は税金等調整前当期純利益の増加、たな卸資産や売上債権の減少などによります。

売上を通じて現金を稼ぐ力を測る営業CFマージンは同0.7pt増し8.1%と改善しました。

投資CFはマイナス5億1200万円でマイナス額は前期比14.5%減。有形固定資産の取得による支出の減少などが寄与しました。

営業CFと投資CFの改善の結果、フリーCFは前期比84.9%増の3億6800万円。

財務CFはマイナス5億3300万円でマイナス額は前期比9.0%減。主に長期借入金の返済による支出の減少などによります。

営業CFがプラスで投資CFと財務CFのマイナスという優良企業型のキャッシュフローであり、フリーCFは7期連続のプラスとなりました。

貸借対照表(BS):財務安全性に問題なし

2019年12月期の資産合計は前期比0.5%減の171億5800万円。流動資産は同0.3%減で111億2900万円、固定資産は同0.8%減60億2800万円とほぼ変わらずでした。

流動負債は前期比9.0%減26億5200万円、固定負債は同7.4%減13億3100万円と負債はやや減少しました。流動負債の減少の主な要因は支払手形及び買掛金の減少などによります。また、固定負債の減少は長期借入金の減少などです。

純資産合計は同2.2%増で131億7500万円となりました。有利子負債残高は同12.5%減の11億5900万円と負債の削減が進んでいます。

短期の支払能力を測る流動比率は前期比36.7pt増の419.6%。流動比率は一般に120%以上であれば安全とされ非常に高い水準となっています。

長期の支払能力を測る固定比率は前期比1.4pt減の45.8%。固定比率は低いほどよく問題ありません。

長期的視点での財務安全性を測る株主資本比率は前期比2.0pt増の76.8%。株主資本比率は、業種によっても異なりますが一般に50%以上で優良企業とされています。

投資分析:配当性向は高水準、ROE・ROAは業界平均下回る

2019年12月期の親会社株主に帰属する当期純利益は前期比7.7%増で7億2500万円と増加したことから、ROE(自己資本利益率)は同0.3pt増の5.6%、ROA(総資産利益率)は同0.3pt増の4.2%と改善しました。しかし精密機器業界の平均を下回っています(ROE 6.6%、ROA 5.5%)。

増益によりEPS(1株当たり利益)は同7.8%増77.83円、BPS(1株当たり純資産)前期比2.2%増1414.36円とどちらも増加しました。

配当性向は前期比3.9pt減の47.4%。低下しましたが、上場企業の平均約30%を上回っており高水準といえるでしょう。2020年12月期は前期と同じ通期で37円の配当予想となっています。

まとめ:医療機器の需要増加を見込み株価は急反発

クリエートメディックの株価は、2018年5月2日に第1四半期決算が好感され1488円の高値をつけましたが、その後は下落傾向となり、2019年8月30日には880円まで売られる展開となりました。

2019年末にかけては全体相場が堅調だったこともあり、一時1100円台まで買われましたが、新型肺炎等による世界同時株安から2020年3月13日には876円まで下落。しかしその後は新型肺炎による医療機器への需要増加の思惑などから、株安前の水準に急反発しています。

クリエートメディックを取り巻く経営環境は、市場の競争が激化しているものの、国内外での高齢化の進展や新型肺炎等による医療機器への需要増加が見込まれます。

同社は2022年までの中期経営目標として売上高127億円、経常利益14億円を掲げています。なお、2019年12月期の売上高108億4300万円、経常利益10億6500万円です。

そのための事業戦略として、製品ラインナップの強化や、グローバル市場の推進として中国・輸出の販売拡大に取り組むとしています。また経営の合理化や人員体制の見直しなど構造改革も進め収益性の改善を図るとしています。

出典:2019年度の決算概要と中期経営計画の概要

この記事の執筆者

金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。