2021年06月21日
スーパーゼネコン5社の1つ、海外進出にも強い大林組への転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。
日本のスーパーゼネコン5社のひとつ、大林組。東京スカイツリーや東京湾アクアライン、六本木ヒルズといった東京のシンボル、また時代を象徴する有名建築物を多く手掛けています。また海外事業にもいちはやく進出しています。「建設事業」「土木事業」「開発事業」「新領域事業」の大きく4つの事業を展開し、なかでも新領域事業として、再生可能エネルギー(再エネ)、PPP事業や農業ビジネスを推進している点は、他社から特筆する魅力の1つといえるでしょう。
そんな大林組は、1892(明治25)年に創業した歴史と伝統のある会社です。そのため古い慣習や男社会、飲み会が多い、年功序列といった声があり、昔ながらの日本企業という雰囲気がある企業といえます。また業界全体にもいえますが、朝が早く残業も多いため、拘束時間が長く、プライベートの時間がとりづらいという特徴もあります。
しかし大型プロジェクトが多く、「関わったものが形に残ることがうれしい」「社会貢献度が大きい」「地図に残る。将来子供に話したい」「大きな仕事が多いのでやりがいも大きい」といった声も多くあります。自分の時間を充実させるというよりは、やりがいを重視する人材やチャレンジ精神を強く持つ人材が求められるでしょう。
大林組は環境への配慮や安全・安心の提供といった社会のニーズを先取りした提案を行い、高付加価値、高機能の建設サービスを提供することで、社会の発展にも貢献することを目指しています。一人ひとりが大きな夢を持ち、時代や文化を象徴する建物を築いていく。こうした社風にマッチするかが採用面接では見極められます。
大林組の選考プロセスは、書類選考、筆記試験、2回以上の面接です。応募部門が担当する面接、役員の面接があり、最後には副社長が面接をするということもあるようです。
「現場事務」「土木施工、積算・見積、設計」「建築施工」「建築設計・構造設計・工事監理」「設備施工」「設備設計」「機電系技術者」「生産施設エンジニア」「情報エンジニア」「社内ICTマネージャー」の部門で募集を行っています。
各部門で必要な資格がありますので確認をし、なぜその部門を希望するのかしっかり伝えられるようにしましょう。
大林組の特徴は、海外事業に積極的であることが挙げられます。海外売上高比率は約4分の1を占めており、これはスーパーゼネコン5社の中では一番高い比率です。
もちろん採用面においても、国際的に活躍のできる人材を積極採用しているきらいがあります。面接では「何か国語話せるか」といった具体的な外国語スキルを問うものや「留学したことはあるか」や「海外旅行にいったことはあるかか」といった経験を尋ねられる質問をされることがあります。対策としては「何がきっかけで、どのような目的で、どういう経験を得られたか。今後どのように役立て来ることができるのか」を理路整然と説明できるようにしておきましょう。特に現地では人の交流だけではなく、その土地の環境、地域特性、文化などから、自分がゼネコンの立場としてそこで何ができるのかまで結びつけて話すことがポイントです。
また「好きな建物はなにか」「大林組の建物についてどう思うか」など聞かれます。「大林組の建物についてどう思うか」というのは基本中の基本と捉え、事前にコーポレートサイトの実績をチェックしておきましょう。建物に対してのリスペクトや共感など感じ取ったこと、自分だったらこうするといった主張、建築の知識などを巧みに織り交ぜて回答するようにしましょう。
面接は基本的には和やかな雰囲気で行われますが、なかには「圧迫面接であった」「威圧的だった」という声もありますので、どのような面接官であっても落ち着いて自分の言葉で伝えられるように準備しておきましょう。
大林組の面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
大林組の面接を受ける上では、行動規範を理解しておくことが不可欠です。行動規範は以下で構成されています。
企業行動規範
1、社会的使命の達成
(1)良質な建設物・サービスの提供
誠実なものづくりと技術のイノベーションにより、安全・安心かつ良質な建設物やサービスを提供し、顧客の信頼に応えます。
(2)環境に配慮した社会づくり
持続可能な社会を実現するため、低炭素・循環・自然共生社会づくりに取り組みます。
(3)人を大切にする企業の実現
多様な人材が個性と能力を活かして、やりがいを持って働くことのできる職場環境をつくるとともに、働く人の安全と健康の確保に努めます。
(4)調達先との信頼関係の強化
調達先と公正な取引を行い、ともに成長発展するパートナーとして信頼関係の強化に努めます。
(5)社会との良好な関係の構築
各国・地域の文化・慣習を尊重するとともに、良き企業市民として社会との調和を促進します。2、企業倫理の徹底
(1)法令の遵守及び良識ある行動の実績
企業として法令遵守はもとより、役員一人ひとりが倫理観の涵養に努め、良識を持って行動します。
(2)公正で自由な競争の推進
独占季司法などの関係法令に則り、公正で自由な競争を推進することで健全な市場の維持・発展に寄与します。
(3)ステークホルダーとの健全な関係の維持
政治、行政との関わりをはじめ、顧客、株主、社員、調達先、地域社会などすべてのステークホルダーとの関係において、健全な関係を保ちます。
(4)反社会的勢力の排除
社会の秩序や安全を揺るがす反社会的勢力には毅然と対応し、排除を徹底します。
(5)適正な情報発信と経営の透明性の確保
企業情報を適正に開示するとともに、積極的な情報発信に努め、経営の透明性を確保します。
これは、大林組の企業カルチャーの土台となる価値観。これに当てはめるとしたら「仕事を円滑に遂行できるか」「コンプライアンス意識が高く、会社に危機を招くようなことはしないか」を満たす人物であることが求められています。
1つの建物が完成するまでに多種多様な人々と関わることになりますので、コミュニケーション力の高さを伝えることは重要です。前職でチームワークで乗り越えたことや、様々な立場の人と多く関わり、その中でどう立ち回り成功に導くことができたか、エピソードを混じえた話ができるようにしておきましょう。
またお客様のほとんどは建設のプロではないため、お客様の話をしっかり聞き、その上で自分の意見を伝えるという能力も大切です。相手の方が背景として持っている心情・事情や文化・価値観を推し量れるだけの幅広い基礎知識を持っていることが誠実なコミュニケーションを支えます。こちらも自分でこれまでの経験を棚卸ししてストーリーを構築しておいた方がいいでしょう。
常に自己研鑽をし、自分とは違う価値観を持った人たちを理解することができる幅広い基礎知識と、協働できる能力をもち、チームの目的から自分の役割を想定し、自分の力や貢献できる能力を客観的に捉えられる人材であることをしっかりアピールしましょう。
大林組の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ大林組か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、大林組という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●株式会社竹中工務店
●清水建設株式会社
●大成建設株式会社
●鹿島建設株式会社
この4社と大林組を含めたスーパーゼネコン5社のそれぞれの特質をしっかり理解しておきましょう。
このように大林組の採用面接を受ける前には、行動規範に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「一人ひとりが大きな夢を持ち、時代や文化を象徴する建物を築いていく」という社風を意識して、「自分とは違う価値観を持った人たちを理解することができる幅広い基礎知識と、協働できるコミュニケーション能力をもつ人材である」と印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
大林組の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「一人ひとりが大きな夢を持ち、時代や文化を象徴する建物を築いていく」という社風を理解して、これらに合致した人材であることをアピールする。
●大林組の行動規範を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜ大林組か」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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