大林組の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

大林組の転職研究 2026年3月期2Q決算に見るキャリア機会

大林組の2026年3月期2Q決算は、営業利益が前年比78.0%増と大幅増益。米国GCON社の買収によりデータセンター建設分野の強化を打ち出すなど、成長領域への投資が鮮明です。「採算重視」への舵取りで強固な収益基盤を築く同社で、どんな役割を担えるのか、転職希望者が知るべき最新動向を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

米国GCON社の買収でデータセンター分野を強化する

2025年10月に米国アリゾナ州を拠点とするGCON社の全株式取得を合意しました。AIの普及で急成長するデータセンターや半導体製造施設など「クリティカルエンバイロメント(高度な室内管理が要求される施設)」分野への展開を加速させます。北米建設事業でのキャリア機会が飛躍的に拡大する可能性が高まっており、グローバルな活躍を目指す人材にとって大きな魅力となります。

通期の営業利益予想を430億円上方修正する

2026年3月期の通期連結業績予想を上方修正し、営業利益を前回予想の1,220億円から1,650億円(35.2%増)に引き上げました。国内建築事業における追加変更工事の獲得や、徹底した原価圧縮による損益改善が主な要因です。収益性の高い案件を厳選して受注する「採算重視」の姿勢が結実しており、経営基盤の強固さが浮き彫りになっています。

政策保有株式の縮減を計画以上のペースで進める

連結純資産の20%以内とする目標に向け、政策保有株式の縮減を継続しています。2025年9月末時点で、売却合意済額を含めた純資産比率は16.6%まで低下し、目標の早期達成が確実視されています。売却により創出した資金は、人材・DX・技術開発といった「成長投資」や戦略的な株主還元に充当される方針であり、中長期的な企業成長への投資余力が拡大しています。

1 連結業績ハイライト

売上高は大型案件の反動で微減となったものの、採算性の向上により営業利益は前年同期比で78.0%の大幅増益を達成しました。
連結業績サマリー

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明会プレゼンテーション資料 P.6

売上高

1兆1,612億円

前年同期比 △5.0%

営業利益

800億円

前年同期比 +78.0%

中間純利益

779億円

前年同期比 +42.9%

2026年3月期第2四半期は、国内建築事業において前年同期に発生した大型案件の進捗に対する反動減があったものの、利益面では過去最高の水準を更新する勢いを見せています。特に追加変更工事の獲得や採算性の良い案件の寄与度が高まったことで、営業利益率は3.7%から6.9%へと大幅に改善しました。

通期予想に対する第2四半期時点の進捗率は、売上高45.2%、営業利益48.5%、中間純利益52.3%となっており、業績は概ね順調に推移しています。上方修正後の高い目標に対しても十分な達成見込みを確保しています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

国内建築が利益の柱として盤石なほか、北米でのM&Aにより「ハイテク施設建設」という新たな成長フィールドが拡大しています。
報告セグメント別実績

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明会プレゼンテーション資料 P.10

国内建築事業

【事業内容】国内におけるオフィスビル、工場、医療施設、教育施設などの設計・施工を手掛ける大林組の基幹事業です。

【業績推移】売上高は5,133億円(前年同期比1,217億円減)となりましたが、営業利益は385億円(同250億円増)と大幅増益を達成しました。

【注目ポイント】施工キャパシティに応じた選別受注を徹底した結果、利益率が飛躍的に向上しています。デジタル化に伴うデータセンター需要や、国内回帰が進む製造業の工場建設など、高度な技術力が求められる案件が増加しており、プロジェクトマネジメントの専門性を発揮できる環境が整っています。

注目職種:建築施工管理、意匠・構造設計、生産設計、設備エンジニア

海外建築事業

【事業内容】北米のウェブコー社を中心に、アジア・オセアニア地域での建築プロジェクトを展開しています。

【業績推移】売上高2,344億円(前年同期比168億円減)、営業利益58億円(同3億円減)と、為替影響もあり微減となりました。

【注目ポイント】(注:GCON社は2025年11月中旬以降の取得予定のため当期実績には未反映)今後はGCON社の買収により、米国でのデータセンターや半導体工場建設という成長市場でのシェアを一気に拡大します。海外拠点でのローカル化推進と合わせて、グローバルな事業運営に携わるチャンスが豊富です。

注目職種:海外プロジェクト管理、国際契約(法務)、海外営業

土木事業(国内・海外)

【事業内容】道路、トンネル、ダム、鉄道などのインフラ整備を国内外で手掛ける部門です。水処理施設などの環境インフラも含みます。

【業績推移】合計売上高3,355億円、営業利益235億円となり、特に海外土木の子会社において前年同期比325.6%増という驚異的な増益を記録しました。

【注目ポイント】国内では防災・減災関連の公共工事が堅調なほか、再生可能エネルギー関連の需要も高まっています。海外では2023年に買収したMWH社(水処理)が好調で、インフラ分野での高い競争力を誇っています。専門技術を活かした大規模プロジェクトの遂行能力が求められています。

注目職種:土木施工管理、土木設計、環境エンジニア、風力発電建設担当

不動産事業・その他

【事業内容】オフィスビルや物流施設の開発・賃貸・売却、およびPFI事業、再生可能エネルギー事業などを含みます。

【業績推移】不動産事業は売上高456億円(前年同期比104.1%増)、営業利益97億円(同100.6%増)と、開発物件の売却成功により大幅増収増益となりました。

【注目ポイント】「建設の枠を超えた領域」として、開発事業やグリーンエネルギー事業への投資を強化しています。単なる施工に留まらない、事業主としての視点を持ったディベロップメント職種のニーズが拡大しています。

注目職種:不動産開発(アセットマネジメント)、新規事業開発、エネルギー事業管理

3 今後の見通しと採用の注目点

「中期経営計画2022追補」に基づく大胆な資本政策と、デジタル・技術への積極投資が次世代の成長を牽引します。
経営指標目標(KPI)

出典:2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明会プレゼンテーション資料 P.36

今後の成長戦略の柱は、「デジタル・技術への2,200億円投資」と「M&Aによる事業ポートフォリオ拡充」です。2025年度は人材関連に80億円、DX関連に240億円の投資を計画しており、建設現場の生産性向上を支える専門人材の確保が急務となっています。

また、北米でのデータセンター建設需要は2029年まで年平均17%の成長が見込まれており、買収したGCON社とのシナジー創出に向けたPMI(買収後の統合プロセス)に携わる機会も期待されます。伝統的なゼネコンから、テクノロジーを駆使した「総合エンジニアリング企業」への変革期にあり、変化を恐れない人材が最も輝けるフェーズと言えるでしょう。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「採算重視」への転換により、単なる受注量ではなく「技術的難易度の高い高収益案件」への注力が鮮明です。自身のこれまでの経験を、どう「現場の生産性向上」や「高度な品質管理」に繋げられるか、具体的に提示することが有効です。また、「北米のデータセンター需要」など、同社が掲げる成長戦略の具体領域への強い関心を示すことで、将来の活躍イメージを面接官に持たせることができるでしょう。

Q&A

面接での逆質問例

  • 「米国GCON社の買収により、日本側の技術チームや管理部門がどのように連携・支援に関与していくのか、具体的な計画を伺えますか?」
  • 「デジタル投資240億円の内訳の中で、現場の施工管理職の働き方を最も大きく変えるテクノロジーは何だと想定されていますか?」
  • 「採算重視の受注方針が現場のプロジェクト運営に与えている影響や、若手への権限委譲のスピード感について教えてください。」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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スケールの大きさを実感できる職場

大規模なプロジェクトに携わる機会が多く、スケールの大きさを実感できる職場です。特に大きな建物の設計や施工に関わるができるため、やりがいを感じます。

(40代前半・コンサルティング営業・女性) [キャリコネの口コミを読む]
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協力会社の人手不足や高齢化が進行

施工を担う協力会社の人手不足や高齢化が進行しており、下請け企業が仕事を選べる状況になりつつあるため、協力体制の見直しが必要です。

(40代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算説明会プレゼンテーション資料(2025年11月5日)
  • 2026年3月期 第2四半期(中間期) 決算短信〔日本基準〕(連結)(2025年11月5日)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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