2021年06月21日
日本資本主義の父とも言われる渋沢栄一が興した東急グループの中で、マンション・ビル管理業務やリフォーム事業を担う東急コミュニティーへの転職。中途採用面接では、即戦力としての力量を正確に伝える力が必要とされるほか、社風に合うか、志望動機は明確かなど多角的な視点で評価されます。万全な対策を心がけましょう。
東急グループと言えば鉄道のイメージが強いかもしれませんが、現在の収益の大部分は不動産やホテル事業によるものです。その中で不動産の管理事業を担う東急コミュニティー。「『安心』『安全・快適』『上質』なサービスの提供により、未来価値を創造」することを企業理念としています。
同社で働く人からは、「エンドユーザーと直接触れ合う機会が多く、喜んでもらえたときはやりがいを感じる」「机上では得ることのできない生きた経験ができ、自分の成長を実感できる」「管理業務の全てを任されるため、収入以上の喜びを感じられる」などの声が挙がっており、「ありがとう」という生の声が働き甲斐につながっていることがわかります。社風については「上下関係がはっきりした体育会系」のようです。しかし、男女とも穏やかな人が多く和気あいあいとしており、「慣れれば過ごしやすい」という意見が見られました。
一方で、土・日・祝日に休めないマンション部門からは「休める部署もあるなか不公平を感じる」、営業からは「本社事務と仕事量の差がありすぎる」といった不満の声も見られます。休日についてはよく確認し、納得した上で応募しましょう。さらに、経営陣は東急不動産からの出向であり「出世は部長までが限界」との声も。管理職志向の人には少し物足りない環境になるかもしれません。
「未来価値を創造」するため、お客様からの感謝を励みに働く。こうした社風にフィットする人材かどうか、採用面接では見極められます。
同社の求人情報は、コーポレートサイトまたは転職エージェント経由で確認できます。応募資格は「経験者のみ」となっているものもあれば、営業対外折衝経験者であれば業界不問という職種もありますので、確認してみてください。多くの職種で宅建士資格を持っていると歓迎されます。
公式情報によると選考プロセスは書類審査後、会社業務説明と2回の面接、簡易適性検査がおこなわれるとのこと。口コミによると適性検査の内容は職種によって異なるようで、事務では四則演算と簿記用語、エンジニア職では建築やマンション管理に関する知識を問うものだったようです。選考期間は2週間から1カ月程度です。
同社の採用ページには、応募する上で重要な情報が多く記載されています。「社員紹介」では部署・役職ごとのインタビューが見られますので、応募する職種に迷ったときに役立つでしょう。「求める人財像」には、入社する社員に何を期待するかが具体的に示されています。また、入社時に求める能力については「構想・発議・行動・学習する力」と記載されています。書類の段階から、これを意識して自己PRをまとめるとよいでしょう。
同社の面接では、即戦力としてどのようなことができるか、具体的に数字や例を挙げて説明を求められることがあります。まずは応募職種についてよく理解し、どのような能力が必要とされるか分析しておきましょう。そして後述の経営戦略についても調べたうえで、実績を具体的に示せる数字を洗い出し、アピールすべき能力を絞り込んでおくことが大事です。
業界に対する考え方を聞かれることも多いです。採用ページ内の「東急コミュニティーの使命」には、「単にマンションの管理業を営むのではなく、良質な社会ストックの形成に貢献する」とあり、目指すのは「不動産業界圧倒的ナンバーワン」とされています。これらのメッセージへの共感を示しながら、自分なりの考えをまとめておくと役立つでしょう。
口コミによると、面接は終始フランクな雰囲気で進むことが多いようです。「ハキハキと答えると好印象」や「事前の会社説明会をしっかり聞き、コーポレートサイトをくまなく読んでおくといい」というアドバイスも届いています。ぜひ参考にしてください。
東急コミュニティーの面接対策として、東急不動産ホールディングスの中期経営計画を理解しておくことが重要です。その中から、管理事業セグメントに関わる戦略をご紹介します。
出典:東急不動産ホールディングスのサイトより
東急不動産ホールディングスは、渋谷の再開発が終了する2020年に営業利益1000億円とすることを目標としてきました。不動産管理業務では、「ナンバーワンの地位を確固たるものとする」ことを目指しています。
そのために最も重要な戦略を「管理ストックの拡大」とし、公的案件の受注や、ビルPMやBMの運営体制を強化するとしています。そして管理物件の工事の受注や貸し会議室など、新事業の拡大展開をおこなうことで関連収益を増大させ、目標達成を図ります。工事に関わる人材募集が増えているのもそのためでしょう。
サービス面では「『お客様満足・信頼度・技術力・労働環境・生産性』すべてにおいてナンバーワンを目指す」としており、これは働く人にも深くかかわってくる部分です。顧客満足度を高めるために、過去に成果を出した経験、信頼されるために心がけていることなどをエピソードとしてまとめておくことをおすすめします。
同社の面接対策として、「なぜ当社に応募したのか」という質問への準備は欠かせません。この質問で面接官は「当社のことをどれだけ調べて応募しているか」という点を確認します。
同じ不動産業界や職種の中でも、同社を選んだ理由を明確にするためには、競合他社について調べ、違いを理解しておくことが重要です。他社の経営理念や経営戦略を見比べ、特に同社に共感できる部分や、貢献したいと思える部分を探しておきましょう。
同じ管理会社でも、デベロッパの機能を持たない会社もあります。また、管理業務にこだわらず不動産全体のシェアで見てみると、2018年から2019年度は三井不動産が1位、東急不動産ホールディングスは5位となっています。「管理業務のみ」「不動産業全体」両方の視点で、競合他社を見比べてみてください。
●日本ハウズイング株式会社
●株式会社大京アステージ
●三井不動産株式会社
同社の面接準備としては、他社研究を踏まえた志望動機の明確化、経営戦略を踏まえた自己PRの見直しが重要です。面接では「『未来価値を創造』するため、お客様からの感謝を励みに働く」ことができると伝えてください。そして「『お客様満足・信頼度・技術力・労働環境・生産性』すべてにおいてナンバーワンを目指す」ことにどのように貢献できるのか、今までの仕事での具体的なエピソードを交えながら話すとよいでしょう。面接経験者からは「地に足をつけ、落ち着いた回答をするとよい」というアドバイスも届いていますので、意識してみてください。
以下に、実際の面接ではどのような質問をされるのか、経験者の体験談をご紹介します。自分ならどう答えるかを具体的にイメージしてみてください。
同社の面接を受ける前にどのような準備をすべきか、要点をまとめてご紹介しました。特に次の4点についてしっかり準備した上で当日を迎えましょう。
●「『未来価値を創造』するため、お客様からの感謝を励みに働く」ことに適しているという印象を与える。
●東急コミュニティーの中期経営計画を理解し、それにどのように貢献できるのか、具体的エピソードとともに話せるようにしておく。
●即戦力としての力量を具体的な数字と共に示せるようにしておく。
●競合他社と比較し、「なぜ同社に応募したのか」を明確にしておく。
これらについてしっかりと準備し、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
この記事の執筆者