2021年06月21日
日本に5つ存在する政策金融機関の一つである日本政策金融公庫への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
この記事は日本政策金融公庫への転職を目指すための面接対策記事です。融資を受ける際の面談については書かれていませんのでご了承ください。
2005年に行政改革が閣議決定されたことを受け、2008年に政策金融機関のひとつとして設立されました。中小企業などの資金調達や災害・感染症などの被害に対する金融、国民生活の向上・安定を目的としてしています。金利による利益を重視する民間銀行とは異なり、金利の低さや返済期間の長さが特徴です。
財務省管轄の同社は、社員が「みなし公務員」となるため、国家公務員指定職に準ずる安定した給与が支払われます。口コミからも「景気に左右されにくい給与体系」「管理職になれば年収1000万円以上になる」「リストラがない」など、非常に安定した職場環境がうかがえます。
資格取得の補助制度もしっかりしており、税理士・公認会計士・社会保険労務士などの資格にチャレンジする人も多いようです。また、福利厚生の充実、有給休暇の取得率の高さ、一般企業のようなノルマに対する厳しさがないなど、民間銀行とは経営スタイルや環境が大きく異なることがわかります。
お客様の立場で親身に対応すること、地域の活性化に貢献することを経営方針のひとつとして掲げている同社。「個々の能力に限界を決めず、成長を支援し、組織として人や社会にとって頼りになる存在を目指す」社風を理解し、これに合致した人材であることをアピールしましょう。
2020年7月現在、中途採用では融資に関する営業・相談・審査などをおこなう総合職の地域型と全国型にて募集をおこなっています。選考フローについては公開されていませんが、口コミによると面接は2回〜4回おこなわれており、職種などによって異なるようです。内定までには長期間を要する可能性があるということを理解しておきましょう。
一次面接から部長ら管理職が参加し、最終では役員らとの面談がおこなわれるとのこと。適性試験や筆記試験があったという人もいれば、面接のみだったという人もおり、流れは人によってかなり異なっています。詳細については書類選考通過者のみに知らされるようなので、どんな状況にも対応できるよう、万全な準備をしておきましょう。
採用面接では、意外にもオーソドックスな質問が中心となるようです。ただし、それはあくまでも金融機関を志望する人や経験者にとって一般的な質問だということを忘れないでください。「融資の際のリスクをどう考えるか」「サブプライムローン問題をどう理解しているか」「マルクス経済学について説明してください」など、金融や経済について学んでいないと、決して簡単な質問とはいえないでしょう。
他にも「あなたと零細企業の関わりは?」「開業率を向上させるためには何が大切か」「日本の農業の今後について」など、日本の金融財政事情や経済に関する深い知識が求められます。誌面やニュースなどを日頃からしっかりとチェックし、自分は何に興味があり、何を得意とするのかを明確にしておくことが大切だといえるでしょう。
数ある質問の中でも繰り返し聞かれるのが「転勤」についてです。特に総合職の全国型を希望する人には、面接の際、何度も「転勤に耐えられるか」と確認されるそうです。これらのことから、同社では「どんな環境にも順応し、真面目で誠実に仕事に向き合い、人や社会のために尽くせる人材」が求められているといえます。
面接を受けるにあたり、同社の基本理念を理解しておきましょう。
同社コーポレートサイト「基本理念」より
同社は金融機関でありながら、民間銀行ではカバーしきれない中小企業への融資や、復興支援などのニーズを補う役割を担っています。それは金利の低さや返済期間の長期化にも現れているように、いかにお客様や社会の悩みに対して誠実に応えていけるかが重要となっているのです。そのため、人の相談に乗ったり、相手を思いやることで良い結果に導けたエピソードなどを話せるようにしておくとよいでしょう。
また、統治・支配・管理などの透明性を高めることで、お客様に安心してご利用いただけるような組織のあり方を目指すとしています。説明責任を果たすことはもちろん、お客様としっかり向き合い、信頼してもらえるようなコミュニケーション力が求められていといえるでしょう。
面接にあたっては、政府系金融機関の役割を果たしつつ、人や社会としっかり関わっていける人材であることをアピールすることが大切です。
面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ日本政策金融公庫なのか」というものがあります。面接官はこの質問を通して「社風や理念を理解しているか」「この人の経験やスキルは当社で活かせるか」などの側面も見極めています。
この質問に明確に回答するためには、他の金融機関についても研究し、同社と比較する必要があります。経営スタイルや理念の違いを知ることで、より同社への理解を深めることができるはずです。以下に、競合となりうる企業をあげましたので、他社研究に活用してください。
●株式会社日本政策投資銀行
●株式会社商工組合中央金庫
●株式会社国際協力銀行
●農林中央金庫
他社研究や基本理念への理解を通して、同社が求める人材像の具体的なイメージが湧いてきたのではないでしょうか。採用面接を受けるにあたり、「どんな環境にも順応し、真面目で誠実に仕事に向き合い、人や社会のために尽くせる人材」だと印象づけられるよう、さまざまなエピソードを用意しておくことをおすすめします。
ここからは面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。自分ならどのように答えるか、シミュレーションを重ねながら面接対策をおこないましょう。
日本政策金融公庫の採用面接を受けるにあたって、押さえておきたいポイントをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「個々の能力に限界を決めず、成長を支援し、組織として人や社会にとって頼りになる存在を目指す」社風を理解し、どんな環境にも順応し、真面目で誠実に仕事に向き合い、人や社会のために尽くせる人材であることをアピールする。
●同社の基本理念を理解し、これに沿った自己分析をおこなうことで有益な自己PRにつなげる。
●競合他社との経営スタイルや社風の違いを明確にし、「なぜ日本政策金融公庫なのか」に対する答えを準備しておく。
これらを踏まえて面接対策をおこない、面接当日は落ち着いて、金融機関への入社に対する熱意を自身の言葉でアピールするように心がけましょう。
この記事の執筆者