※本記事は、伊澤タオル株式会社の有価証券報告書(第5期、自 2025年3月1日 至 2026年2月28日、2026年5月25日 提出)の公開情報に基づき作成しています。会計基準は Japan GAAP です。
1. 伊澤タオルってどんな会社?
タオル製品の企画・販売や、自社ブランド「タオル研究所」の展開を行うファブレスメーカーです。
■(1) 会社概要
1970年に伊澤正美が伊沢タオルを創業し、1971年に設立されました。1985年に海外生産を開始し、2014年には「タオル研究所」を商標登録しました。2021年に現在の親会社が設立されて子会社化された後、2022年に吸収合併を経て事業会社に移行しました。2025年に東京証券取引所スタンダード市場へ上場しました。
従業員数は単体で76名です。筆頭株主は創業者で社長の資産管理会社である伊澤キャピタルパートナーズで、第2位および第3位は投資ファンドのジャフコSV6投資事業有限責任組合およびジャフコSV6-S投資事業有限責任組合です。
| 氏名 | 持株比率 |
|---|---|
| 伊澤キャピタルパートナーズ | 25.29% |
| ジャフコSV6投資事業有限責任組合 | 18.34% |
| ジャフコSV6-S投資事業有限責任組合 | 4.57% |
■(2) 経営陣
同社の役員は男性6名、女性3名の計9名で構成され、女性役員比率は33.3%です。代表取締役社長は伊澤正司氏が務めており、社外取締役比率は33.3%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 伊澤正司 | 代表取締役社長 | 1987年4月三喜商事入社。1989年4月伊沢タオル入社。1997年4月同社代表取締役社長就任。2025年1月IZAWA TOWEL INC CEO就任より現職。 |
| 甫天和宏 | 取締役COO兼経営企画室長 | 1990年4月三菱商事入社。2021年10月伊澤タオル執行役員経営企画室長。2025年11月同社取締役COO兼経営企画室長就任より現職。 |
| 三好拓人 | 取締役CFO兼管理本部長 | 2013年2月EY新日本有限責任監査法人入所。2022年4月伊澤タオル執行役員CFO兼管理本部長。2023年8月同社取締役CFO兼管理本部長就任より現職。 |
| 國元恵子 | 取締役製品本部長 | 1995年4月ジェイアール西日本伊勢丹入社。2010年7月伊沢タオル入社。2021年4月同社取締役生産本部長(現 取締役製品本部長)就任より現職。 |
社外取締役は、田内常夫(元本田技研工業取締役)、八塩圭子(東洋学園大学教授)です。
2. 事業内容
同社グループは、「タオル製品等の企画、製造及び販売」の事業を展開しています。
■(1) ODM生産
コンビニエンスストア、ディスカウントストア、ホームセンター、総合スーパーなどの小売店に対し、日用品として購入しやすいベーシックな製品から高価格帯の製品まで、幅広いプロダクトを企画・生産しています。
収益源は小売店からの製品販売代金です。運営は伊澤タオルが行っており、海外の協力工場に製造委託を行うファブレスモデルを採用することで、品質を保証しつつ大量生産を可能にする体制を構築しています。
■(2) キャラクターIP製品
エンターテインメント事業会社などのIP事業者向けに、キャラクター柄を配したタオル製品や雑貨を企画し、ニーズに対して的確な製品を製造・供給しています。
収益源はIP企業からの製品の販売代金です。キャラクター製品はプリント等の高い技術力が求められるなか、同社のノウハウを活用した管理体制のもと、伊澤タオルが運営を行っています。
■(3) EC販売
消費者向けにAmazonなどのECサイトで自社ブランド「タオル研究所」を展開し、機能やサイズの異なるバラエティに富んだタオル製品を提供しています。また、大手キャラクターライセンサーとのコラボ製品も展開しています。
収益源はECサイトを通じて一般消費者から受け取る販売代金です。運営は伊澤タオルが行い、販売動向や消費者の声を利用して製品開発にも反映させています。
3. 業績・財務状況
同社の連結業績をデータで分析します。
■(1) 業績推移
直近3期間の売上高は98億円から103億円の規模で推移しており、堅調に事業を拡大しています。経常利益は2025年2月期に一時的な減少が見られたものの、2026年2月期には再び増加に転じており、安定した収益力を維持しています。
| 項目 | 2024年2月期 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 99億円 | 98億円 | 103億円 |
| 経常利益 | 18億円 | 10億円 | 11億円 |
| 利益率(%) | 17.8% | 10.0% | 11.2% |
| 当期純利益 | 11億円 | 6億円 | 7億円 |
■(2) 損益計算書
直近2期間では、円安の影響による売上原価の増加はあったものの、新規取引先への販売拡大などにより売上高と売上総利益は増加傾向にあります。一方で、販売費及び一般管理費の増加により営業利益はやや減少しています。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | 98億円 | 103億円 |
| 売上総利益 | 20億円 | 22億円 |
| 売上総利益率(%) | 20.7% | 21.9% |
| 営業利益 | 6億円 | 6億円 |
| 営業利益率(%) | 6.5% | 5.7% |
販売費及び一般管理費のうち、役員報酬及び給与手当が4億円(構成比26%)、運賃が3億円(同17%)、広告宣伝費が2億円(同14%)を占めています。売上原価の構成については、当期商品仕入高が81億円で大半を占めています。
■(3) キャッシュ・フローと財務指標
営業CFはプラス、投資CFはマイナス、財務CFはマイナスとなっており、営業利益で借入返済を行い、投資も手元資金で賄う優良企業である「健全型」のパターンです。
| 項目 | 2025年2月期 | 2026年2月期 |
|---|---|---|
| 営業CF | 6億円 | 3億円 |
| 投資CF | - | -2億円 |
| 財務CF | -9億円 | -7億円 |
企業の収益力を測るROE(自己資本利益率)は18.1%で市場平均を上回る一方、財務の安定性・安全性を測る自己資本比率は48.8%で市場平均を下回っています。
4. 経営方針・戦略
同社が掲げる経営理念と、それを実現するための企業文化、および今後の具体的な成長戦略について解説します。
■(1) 経営理念
同社は「革命児として、圧倒的な地位を築き、社会に対して大きな価値を約束する。」をミッション(使命)に掲げています。また、「タオルの『グローバル・スタンダード』を創出し、世界市場で存在感を示す。」というビジョン(未来の姿)を設定し、消費者目線を第一とした使い心地にこだわる経営を行っています。
■(2) 企業文化
同社はバリュー(心構え)として、「革命児の自覚を持ち最先端を突き進む。」「やりとげる力でアイデアを具現化する。」「真心を尽くし価値創造の関係を築く。」「タオルのプロとして業界で存在感を示す。」の4つを定めています。タオルの使い心地を科学的に実証し、イノベーションを促進する文化を重視しています。
■(3) 経営計画・目標
同社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「のれん償却前当期純利益」を重視しています。これにより中期的な事業拡大と収益率の向上を図り、企業価値と株主価値の持続的な向上を目指して経営に取り組んでいます。
■(4) 成長戦略と重点施策
同社はタオル業界のプラットフォーマーとして、製造業者および小売業者と一体となり、ODM生産、キャラクターIP製品、EC販売の3つのチャネルを成長させる戦略を掲げています。デジタル化の加速を見据え、EC市場でのブランド戦略強化や新規商材の投入によるプレゼンス向上を図っています。
5. 働く環境
同社の人材戦略と、給与水準や働きやすさに関する指標を解説します。
■(1) 人材戦略・方針
同社は新しい事業領域を拡大していくための基盤となる人材育成に注力しています。国籍、性別、年齢など様々なバックグラウンドを持つ社員を採用し、OJTを基本としつつ外部研修も取り入れた指導を実施しています。また、産休・育休の取得や復職支援、短時間勤務制度の導入など、仕事と家庭の両立がしやすい環境整備を行っています。
■(2) 給与水準・報酬設計
同社(単体)従業員の平均年間給与はスタンダード市場の平均をやや下回る水準です。
| 項目 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|
| 2026年2月期 | 38.5歳 | 5.2年 | 5,509,000円 |
※平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含みます。
■(3) 人的資本開示
同社は以下のような人的資本・多様性の開示を行っています。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 女性管理職比率 | 50.0% |
| 男性育児休業取得率 | - |
| 男女賃金差異(全労働者) | - |
| 男女賃金差異(正規雇用) | - |
| 男女賃金差異(非正規雇用) | - |
※同社は公表義務の対象ではないため、男性育児休業取得率および男女賃金差異に関する記載はありません。
6. 事業等のリスク
事業環境やシステムに関連する主なリスク要因を概観します。
■(1) 市場縮小に関わるリスク
少子高齢化や人口減少に伴う国内消費の落ち込み、および販売先の方針変更等により、業績が影響を受ける可能性があります。消費者ニーズに合った製品を投入し続けることで成長を目指しますが、市場の変化に対応できない場合は財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。
■(2) 為替に関わるリスク
製品の大半を海外の生産工場から輸入しているため、急激な円安などの為替変動が生じた場合、製品調達コストの上昇を招きます。為替予約取引等でリスク低減を図っていますが、完全に平準化できない場合は経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
■(3) 特定仕入先への依存に関わるリスク
主要な仕入先である中国企業への仕入割合が高く、安定供給と価格競争力の源泉となっています。しかし、同地域での治安悪化や災害、あるいは仕入先の経営状況悪化によって製品の供給が制限された場合、事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
■(4) 経営人材に関わるリスク
代表取締役社長が事業推進において重要な役割を果たしています。特段の事情により業務執行ができなくなった場合や、重要な役割を担い得る人材を確保できなかった場合、同社の経営成績に影響を及ぼすおそれがあります。



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