2021年06月21日
医療向け分析装置などの多数の機械設計分野で、世界でもトップシェアを確立している日立ハイテク(旧社名:日立ハイテクノロジーズ)への転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を問われるほか、即戦力として、一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されます。事前にしっかり対策しておきましょう。
日立グループの半導体部門・電子部品部門を統合してできたのが、日立ハイテク。半導体のみならず、電子顕微鏡・分析装置・鉄鋼などの産業部材といった最先端技術を駆使した商品を開発、販売しています。
会社全体が「本気で世界の頂を目指す」と宣言しており、まだどこにもない技術、誰も見たことがない商品を生み出し、世界に広めていくことに興味・やりがいを感じる人材が求められています。
実際就労している人の声に注目してみると業績の安定性に対してはやはり満足度抜群。社内はアットホームな雰囲気で、競争的ではなく人間関係がギスギスしにくい点には居心地がよいと感じる人も多いでしょう。
年功序列で報酬が上がっていく点に対しては、若い人は不満を感じているようですが、30代後半になると「着実に昇給していくので安心」という声に変っていきます。
理系の会社のため、男性の割合が高く、「大学の工学部のような雰囲気」とも言われています。
こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
筆記試験はなく、一次面接、二次面接後、場合によっては三次面接が行われることもあります。選考期間は2週間から一カ月程度。
募集職種をざっくり分けると商社部門と技術部門の二つ。
HPに記載されている以外に、人材会社に委託して行われている採用も多いため、複数の情報源をチェックしましょう。
商社部門では海外勤務の是非を問われることがよくあります。受験者も元々海外志向であったり、グローバルに活躍することを希望している人が多い様子。英語を学習している、商社も受験しているなど、海外にまつわるエピソードがあれば準備をしておくとよいでしょう。
一方、技術部門では地方勤務に対する質問が多くなります。特に、茨城勤務の是非については、実際に勤務する可能性がないとしても、聞かれることがあるようです。理由は日立グループ全体が茨城県日立市での鉱山事業から発足した会社だから。企業に対する理解を問う質問でもあるため、回答の準備を。
一部の職種では中途採用の説明会を行っています。応募意思がなくても参加でき、実際勤務する方との個別面談を行うことも可能です。その後エントリーに進むとスムーズでしょう。
部門により仕事内容が全く違っているため、業務内容に対し理解不足のまま受験し、後悔したという受験者も。応募要項だけではなくホームページからも情報を収集して、何を求められているのか理解して応募しましょう。
面接の内容は、志望動機などの一般的な内容に加え、経済の動向、会社の経営戦略への感想などが問われることがあります。
特に経済についてはかなり突っ込んで聞かれたという声も。国内外の経済ニュースをチェックし、今後の日立ハイテクがどうあるべきか、自分なりに考えをまとめておくとよいでしょう。
多くの人が長く務める会社のため、キャリアパスの長期ビジョンついて聞かれた人も。自分が最終的にどうなりたいのか、簡潔に答えられるようにまとめておきましょう。
日立ハイテクの面接を受ける上では、経営戦略を理解しておくことが不可欠です。主だった戦略には以下のようなものがあります。
出典: 日立ハイテクノロジーズのサイトより
汎用市場を希少性のある専用市場に変え、そこに「無くてはならない存在」になる
日立ハイテクの経営戦略は今後の人事戦略を左右する重要な情報です。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの経営戦略に合致する人材であることをアピールしましょう。
日立ハイテクが力を入れている事業は、「医療分析機器」「DNAシーケンサ」「測長SEM」「走査電子顕微鏡」の四つ。これらに対し、研究開発費・事業投資・設備投資を合わせて2800億円が投じられる予定です。実際、これらの分野の技術者やプロジェクトマネージャーの採用が盛んに行われています。
これらの新製品の開発に伴い、環境保護に関わる法務職、品質保証業務などでも求人が出ることが予想されます。
また、最先端技術を売りにする以上、すでにある市場に進出するのではありません。商事部門では開発した製品へのニーズを生み出し、市場を形成し、海外にまで波及させることが求められます。海外、特にアジアなど新興国とのビジネスに関わった経験は、重視される可能性が高いでしょう。
日立ハイテクの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ日立ハイテクか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、日立ハイテクという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●東京エレクトロン株式会社
●株式会社東京精密
このように、日立ハイテクの採用面接を受ける前には、経営戦略に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「理系大学のような雰囲気の会社」という社風を意識して、会社が将来的に力を入れようとしている分野に対して知見がある人材であると印象付けられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくと良いでしょう。
設計や研究開発職に関しては、今までに全く経験がない状態からスタートするのは難しいかもしれません。応募要項をよく読み、募集職種に自分の経験が合致するのかどうかを検討してから応募しましょう。
未経験でも書類が通ることもありますが、「書類からは分からない技術を持っている人なのではないか」と期待されていただけで、そうでないとわかると面接官にがっかりされてしまったという体験談も見受けられます。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
日立ハイテクの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の6つです。
●「理系大学のような年功序列型の日本企業」という社風を理解して、これに合致した人材であることをアピールする。
●経済ニュースをよく読み、今後の日立ハイテクがどうあるべきか、自分なりの考えをまとめておく。
●「希少性のある専用市場の創出」という経営戦略を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜ日立ハイテクか」に対する答えを明確にしておく。
●商社部門では海外との折衝経験や海外への興味関心を示すエピソードをまとめておく。
●技術部門は自分が持つ技術や経験に合致する求人を見極めて応募。自分の持つ技術を言葉でアピールできるようまとめておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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