グローバルウェイ創業者 各務正人 インタビュー「世界に通じる道」を切り拓くために今なすべきこと

グローバルウェイ創業者 各務正人 インタビュー「世界に通じる道」を切り拓くために今なすべきこと

「“人” と “技術” を新しい時代のために」を掲げ、5つの事業を推進するグローバルウェイ。2016年の東証マザーズ上場を経て従業員100人を超える規模に成長。2021年度は過去最高の業績を達成し時価総額700億円を突破した。会長の各務正人が「世界に通じる道」と名付けた会社を創業した経緯と、今後の方向性について語る。


各務正人(かかむ・まさと):株式会社グローバルウェイ 会長。UBS銀行やドイツ銀行などでアルゴリズムトレーニングやリスク管理システムの開発・運営に従事した後、米国の大手企業向けエンタープライズソフトウェア企業の日本法人立ち上げメンバーとして参画し、世界一の営業成績を残す。2005年に株式会社グローバルウェイを設立、同社の代表取締役として、2016年に同社を東証マザーズへの上場に導く。その後は会長に就任し、2021年度の決算では過去最高の業績を達成し、時価総額700億円を突破。また、グループ会社の株式会社タイムチケットに約13億円出資し、同社の代表取締役として事業を推進。株式会社タイムチケットでは、個人が会社に依存しなくても稼げるスキルシェアのプラットフォーム、ライバーマネージメント、コンサルティングの事業運営に従事する。個人の活動として、エンジェル投資や株式投資にも注力。

野口英世にあこがれてアメリカへ

子どものころは野球少年でした。中学では3番・キャプテンとして県大会で優勝。高校は進学校ではなく、あえて野球に打ち込める全寮制の私立高校に野球特待生として入り、甲子園を目指していました。ところがその夢が果たせず、大きな挫折を味わって「実業家を目指そう」と頭を切り替えたのです。

父も祖父も会社を経営していたので、自分も大人になったら会社をやるんだという思いが胸にありました。でも具体的に何をしたらいいのか、と悶々としていたとき、子どものころ読んだ野口英世の伝記を思い出し「自分もアメリカで自分の道を切り拓こう」と決断しました。ちょうどマイクロソフトやデルといった会社が世に出てきたころでした。

起業するならITがいいと、財務とコンピュータが学べるワシントン大学のビジネス学部に入りました。渡米してからは寝る時間以外はひたすら勉強の日々でしたが、生活のペースがつかめてからは、起業資金を貯めるために古着を日本に輸出するサイドビジネスもやりました。当時、裏原宿に並んだNIKEやLEVI'Sのビンテージ品には、私が買い付けたものが結構あったはずです。

外資系企業で仕事を叩き込まれた20代

卒業後、1997年に帰国してスイスに本社があるUBS証券にエンジニアとして入社。将来ITの会社を起業するには、エンジニアの仕事を経験しておくべきだと考えました。高度な数理分析の実務経験も役に立つだろうという思いもあり、株式の分析用のアプリ開発に携わっていました。

その後、ドイツ銀行に転職し、ITの分かるトレーダーとしてアルゴリズム取引を担当しました。トレーダー時代の年収は1,400万円ほどでしたが、そろそろ起業しようかと考えた26歳のとき、資金は300万円しか貯まっていませんでした。さらにビジネスプランを友人に見てもらったところ、「これじゃ無理」とあっさりダメ出しされてしまった。

そこであらためて専門性を身につけ、ビジネスを学び直さなければと考え、人脈と資金を得るために27歳でウェブメソッドという会社に転職。当時アメリカで注目されていたソフトウェアのベンチャー企業で、セールス担当として営業やマーケティングを学びました。年収は600万円でトレーダーの半分以下という条件でしたが、迷いはなかったですね。

外資系金融機関は非常に厳しい世界で、とことん鍛えられましたが、激務という点ではウェブメソッド時代も同じでしたね。リージョナルマネージャーとして数千万円から億という額のソフトウェアを売り、海外本支店も含めた社内トップセールスにのぼりつめると、30歳の時の年収は7500万円になりました。

「人生の逆算ロードマップ」で上場

曲がり角になったのは入院でした。睡眠不足と体調不良を押して海外出張を強行し、悪性の細菌に感染して40度以上の熱が続きました。医師から「もう少しで足を切断しなければならなかった」と言われたときはゾッとしましたね。からだを壊したら、どんなに高い能力も活かすことができない。経営者になってからも、社員に対してそのことをよく考えます。

企業口コミサイト「キャリコネ」の構想が生まれたのもこのころでした。外資系企業で働きながら、日本と欧米における企業社会の違いを実感していたからです。アメリカ留学時代には、人種やバックグラウンド、年齢に関係なく努力して実績を残した人間が成功する様子に感動しましたが、日本は安定している反面、個が埋没しがちでストレスのたまるシステムになっている。そんな問題意識が基となっています。

起業資金が用意でき、自分の中で「ついに機は熟した」という実感ができた2004年に独立しました。ただ、周囲の人からは「そんなに稼げているのに、なぜ辞めるの?」とものすごく呆れられましたね。実際、起業して1年間はまったくの無給で働かざるを得なかったですし、手元の資金が減っていくのはびっくりするくらい速かった。

でも、起業したことへの後悔は、まったくなかったですね。30歳で起業、40歳で社会にインパクトある貢献をしたいという「人生の逆算ロードマップ」があったから、43歳で東証マザーズに上場を果たすまで、走り続けることができました。もちろんこれは自分だけでできたことではなく、取引先や社員たちには心から感謝しています。

マザーズ上場時、東京証券取引所にて。

妥協なく事業の改善をし続ける「第二創業期」

社名のグローバルウェイは、いつか世界レベルの社会貢献を成し遂げたいという思いで付けたものです。社員の働き方や報酬は、私が経験してきた外資系企業のよいところを採用してきたし、外国人社員を増やすなど社内のグローバル化を進めています。

それでも、会社の規模が大きくなるにつれて、思い通りにならないことが増えてきました。売上高は伸びるものの、収益を伸ばすビジネスモデルや組織体制、必要な人材のあり方が変わってくる。掲げる目標も、自分ひとりが頑張って達成できるレベルを超えています。

上場後は海外投資や法人向けサービスについて、方針の変更を余儀なくされたこともありました。既存事業の成長が想定を下回った部分もあります。ITの技術環境も、起業したころとはまったく変わりました。AIやブロックチェーンといった新しいテクノロジーを使ったサービスが次々と現れています。

私たちはそのような新しい事業環境に適応しながら、成長していかなければなりません。理想とともにきちんと現実を見据え、収益性の高い事業に注力することにより「世界に向けた新しい道」を切り拓く。それを実現するべく、当社は「第二創業期」を迎えています。

新体制のグローバルウェイとして生まれ変わるべく、代表取締役を現社長の小山義一に一任することにしました。上場するまでの事業を支えた後、外資系コンサルティングファームで経験を積んで帰任した小山の経営手腕の高さに期待し、私は会長として若い経営層を育成しながらサポートする役割に徹することにしたのです。

個人が主役の評価経済をつくる

グローバルウェイの「第二創業期」を作り上げるための権限移譲と同時に、私のリソースの大部分をグループ会社のタイムチケットに注力し、個人で約13億円を出資しました。


タイムチケットは、個人の力が価値になるシェアリングエコノミーの中でも「スキルシェア」分野における国内のパイオニアです。グローバルウェイから分社化した2019年以降、グローバルウェイとのシナジーを生かしてユーザー数を伸ばし続け、現在は100万人が利用するサービスに成長しました。また、タイムチケットのプラットフォームを拡張すべく、2023年よりライバーマネージメント事業とコンサルティング事業を立ち上げました。


ライバー事業は、TikTokライブを中心として活動するライバーが500名以上所属しております。コンサルティング事業では、大手企業向けに戦略、ビジネス、テクノロジー領域のコンサルティングを提供しております。

愛される事業の土台を築き、その志は次世代へと繋ぐ

グローバルウェイが目指す、はたらく人々の豊かな暮らし。そして、タイムチケットが目指す、人それぞれの生き方の充実です。これらは、世界中の人々がイキイキと生き、私たちがそれを支えるという点で共通しています。こうした事業を通して私が目標としていること、それは「10億人に愛される事業を作ること」です。


重要なのは愛されることであり、ただユーザーが10億いればいいというものではありません。それだけの人に「使ってよかった」と思ってもらえる事業を作るということです。


私は「孤高の創造者たれ Be a Maverick Innovator」を座右の銘としています。この言葉は、代表取締役社長のころにグローバルウェイの企業理念としても掲げていた言葉です。起業家精神を持ち、突き抜けた発想で新たなサービスや事業をどんどん作っていこう、というクリエイターの精神を常に大切にしていたいという思いがあります。


そうした信念を胸に、これから目指すのは、世界中にグローバルウェイのグループ会社を増やすことです。タイムチケットは、日本だけでなく海外、特にアジア圏での事業展開を進めています。技術やトレンドの変遷へのアンテナを敏感に張り巡らし、社会的な意義はもとより、多くの人に愛されるサービスを創り上げたい。


もうひとつは、私の志を受け継いでくれる若手起業家や経営者を育成することです。社会をいい方向に導いてくれる起業家に出資や応援をして、世の中の変革を推進したいと考えています。

果敢に挑戦し世の中の変革に寄与していく

「孤高の創造者たれ」という言葉や私の志は、敬愛するスペインの建築家アントニオ・ガウディが体現しています。色彩や曲線が特徴的で、独創性に富んだ建築を数多く世に残したガウディは、私の憧れです。


彼が生涯をかけて取り組んだサグラダ・ファミリア(聖家族教会)は、彼の死後も次世代の職人によって忠実につくり続けられています。自分が作り始めたものを、次世代の人が引き継いでいく。そういったものを作りたいと思うのです。


世界は刻一刻と進化しています。創造者として、変革を推進する創造者を支える者として、さらなる世の中の変革に寄与していきたいと考えています。

<<関連リンク ※グローバルウェイ及びタイムチケットの運営サービス抜粋>>

タイムチケット個人の時間を売買できるシェアリングエコノミーサービス

https://timeticket.jp/

タイムチケットプロダクションTikTok公式ライバー事務所・エージェンシー

https://liver-production.timeticket.jp/

https://popfun-live.com/

クリプトコンサルティング:タイムチケットが運営するコンサルティング事業

https://www.cript-consulting.com/

株式会社グローバルウェイの企業ホームページ

https://www.globalway.co.jp/

キャリコネ:国内最大級の企業口コミサイト

https://careerconnection.jp/

キャリコネ企業研究リサコ:プロが使う企業研究ノート

https://corp-research.jp/

キャリコネニュース:働く人のためのニュースメディア

https://news.careerconnection.jp/

キャリコネ転職:ワンランク上の転職を目指せる転職サイト

https://job.careerconnection.jp/

この記事の執筆者


関連記事

タイムチケットCRiPT(クリプト)コンサルティング事業責任者 島本遼太郎インタビュー「お客様・社会・自社」の三方よしを実現する

外資系大手コンサルティングファームでプロジェクトリーダーを務め、企業DXや自治体のスマートシティ化に向けた戦略策定などの多様なプロジェクトを牽引した島本遼太郎は2023年5月、タイムチケット社のコンサルティング事業「CRiPT(クリプト)コンサルティング」の事業責任者に就任。業界体質の変革と新たな価値創造へ邁進する。


What we must do now to “Pave New Ways to the World”.

Globalway is an innovative company that drives five core businesses under the mission of "People and Technology for a New Era".


僕がリクルートからグローバルウェイに転職を決めた理由

ソーシャル・ウェブメディア事業部の事業責任者である私、根本がリクルートを辞めてまでこの会社に転職を決めた理由や入社して初めてわかった弊社のいいところを素直にお話しします。 カジュアル面談に来てくださった方や人材紹介会社の方に予め説明する内容(=よく聞かれる内容)でもあります。弊社に少しでも興味を持っていただけ幸いです。


wiget_w300
wiget_w300
wiget_w300