グローバルウェイ 代表取締役社長CEO 兼 タイムチケット 代表取締役 各務正人「世界に通じる道」を切り拓くために今なすべきこと

グローバルウェイ 代表取締役社長CEO 兼 タイムチケット 代表取締役 各務正人「世界に通じる道」を切り拓くために今なすべきこと

「“人”と“技術”を新しい時代のために」を経営理念に掲げて事業を推進するグローバルウェイ。2016年の東証上場を経て、2024年度は売上高30億円を突破し、従業員200人を超える規模に成長した。創業者で代表を務める各務正人が、社名に「世界に通じる道」と名付けた経緯と、子会社タイムチケットを含む今後の方向性を語る。


各務正人(かかむ・まさと): 株式会社グローバルウェイ 創業者・代表取締役CEO、株式会社タイムチケット代表取締役 1973年生まれ。米ワシントン大学ビジネス学部卒。UBS銀行、ドイツ銀行を経て、米国エンタープライズソフトウェア企業WebMethodsの日本法人立ち上げに参画し、世界トップの営業成績を収める。2005年グローバルウェイ設立、2016年東証マザーズ(現グロース)市場上場。2020年に会長就任後、グループ会社タイムチケットに約13億円を出資し、複数の新規事業を軌道に乗せる。2025年6月、グローバルウェイ代表に復帰。個人としてエンジェル投資や株式投資にも注力している。

野球少年からアメリカ留学へ

子どものころは野球少年でした。中学では3番・キャプテンとして県大会で優勝し、高校も野球特待生として全寮制の私立校に進学しました。本気で甲子園を目指していましたが、その夢は叶わず、大きな挫折を味わいました。

そこで、父も祖父も経営者だったこともあり、「実業家を目指そう」と頭を切り替えました。でも具体的に何をしたらいいのか、と悶々としていたとき、子どものころに読んだ野口英世の伝記を思い出し、「自分もアメリカで道を切り拓こう」と決断しました。ちょうどマイクロソフトやデルが台頭してきたころでした。

起業するならITがいいと、財務とコンピュータが学べる米国ワシントン大学ビジネス学部に進学し、寝る時間以外はひたすら勉強の日々を送りました。生活のペースがつかめてからは、古着を日本に輸出するサイドビジネスをやりながら起業資金を貯めました。

外資系企業で仕事を叩き込まれた20代

卒業後、外資系証券会社のUBSにシステムエンジニアとして入社し、高速取引システムの開発・運用を担当しました。その後、ドイツ証券でトレーダー経験を積みました。

27歳のとき、大手企業向けエンタープライズソフトウェア企業のWebMethods(ウェブメソッド。後にIBMが買収)が日本法人を立ち上げるという話を聞き、帰国して営業とマーケティングを担当しました。数千万円から億単位のソフトウェアを大手企業に販売し、世界トップセールスに上り詰めると、30歳で年収7500万円に達していました。

しかし、順風満帆に見えた人生に転換期が訪れます。睡眠不足と体調不良を押して海外出張を強行した結果、悪性細菌に感染し40度以上の高熱が続きました。医師から「もう少しで足を切断しなければならなかった」と告げられたときは、本当にゾッとしました。この経験から「身体を壊したら、どんなに高い能力も活かせない」という教訓を得ました。

企業口コミサイト「キャリコネ」の構想が生まれたのもこの時期です。外資系企業で働きながら、日本と欧米における企業社会の違いを実感していました。

アメリカ留学時代には、人種やバックグラウンド、年齢に関係なく、努力して実績を残した人間が成功する様子に感動しました。一方、日本は安定している反面、個が埋没しがちでストレスのたまるシステムになっている。そんな問題意識が基となっています。

「人生の逆算ロードマップ」で上場

起業資金の準備が整い、自分の中で「機は熟した」と感じた2005年に独立を決断しました。周囲からは「そんなに稼げているのになぜ辞めるの?」と呆れられましたが、後悔はありませんでした。

実際、起業から1年間は完全無給でした。手元資金の減少スピードには驚きましたが、明確な目標がありました。それが「人生の逆算ロードマップ」です。30歳で起業、40歳で社会にインパクトある貢献をしたい――。この計画に従い、一心不乱に走り続けました。

グローバルウェイという社名には「世界に通じる道」への想いを込めました。IT事業人材事業の2本柱で事業を展開し、外資系企業で学んだ実力主義の良い部分を取り入れた働き方や報酬制度、外国人社員の積極採用などを進めてきました。

そして43歳の2016年、東証マザーズ市場(当時)への上場を実現しました。取引先や社員たちの支えがあってこそ達成できた目標でした。

東証での上場セレモニーで鐘を鳴らす

「第二創業期」への挑戦

グローバルウェイは現在、ITコンサルティングプラットフォーム構築支援を中心とするIT事業セグメントと、転職エージェント「Globalway Agent」および口コミサイト「キャリコネ」を中心とする人材事業セグメントの2本柱で事業を展開しています。

上場を果たした後も、会社の成長とともに新たな課題が生まれました。売上は伸びるものの、収益性の向上策や、組織体制の見直し、必要となる人材の変化など、創業者一人で解決できるレベルを超えた問題が山積していました。

そこで「第二創業期」としての発展を目指し、若い人材を登用して次世代の育成をしていくため、コンサルティング会社に転職していた小山義一氏に2020年11月に代表をお願いし、私は会長に就任しました。

同時に、私のリソースの大部分をグループ会社のタイムチケットに集中投下することにしました。個人で約13億円を出資し、2022年には仮想通貨の事業を立ち上げ、グローバルウェイの時価総額が一時700億円に達しました。

また、知識・スキル・経験のマーケットプレイス「TimeTicket」の成長に注力しました。このサービスは国内スキルシェア分野のパイオニアとして、2019年の分社化以降、グローバルウェイとのシナジーを生かしてユーザー数を伸ばし続け、現在は100万人超のユーザーを抱えるサービスに成長しています。

タイムチケットでの新規事業展開と代表復帰

このほか、タイムチケットでは2023年から2つの新規事業を立ち上げました。

TimeTicket Production(タイムチケットプロダクション)は、TikTok LIVE 配信者(ライバー)の事務所です。現在千数百人のライバーが所属し、月100人以上のペースで増加しています。2025年4月には「TikTok LIVE 優良LIVE Agency」として表彰され、私自身も「カカムーチョ」というキャラクターでTikTokライバー活動を行い、5万7000人超のフォロワーを獲得しています。

CRiPT CONSULTING(クリプトコンサルティング)は、戦略コンサルティングファームです。30人規模の組織に成長し、大手企業や有力自治体のコンサルティングを多数手がけていますが、現在はすべての案件を受けられないほどのご相談をいただいている状況です。

これらの新規事業により2025年3月期、タイムチケットは念願の単体黒字化を達成しました。一方、グローバルウェイ本体も着実に成長を続け、この3年間で連結売上高は10億円程度から30億円超へ、従業員数も200人を超える規模に拡大していきました。

そして2025年6月、私はグローバルウェイ代表取締役CEOに復帰しました。小山氏には経営企画室長として私をサポートしてもらいながら、事業により深く関わってもらう新体制です。今年はグローバルウェイ単体、タイムチケット単体、そして連結すべてで黒字達成を目指しています。

重点戦略は、AI技術を活用した既存ビジネスの変革と、タイムチケットとの連携・相乗効果最大化です。人材紹介やITコンサルティング事業において、AI技術を活用した候補者マッチングの精度向上や、コンサルティング業務の自動化・高度化を進めていきます。

世界展開と次世代育成への展望

グローバルウェイが目指す、はたらく人々の豊かな暮らし。タイムチケットが目指す、人それぞれの生き方の充実――。これらは、世界中の人々がイキイキと生き、私たちがそれを支えるという点で共通しています。

こうした事業を通して私が目標としていること、それは「10億人に愛される事業を作ること」です。重要なのは愛されることであり、ただユーザーがいればいいというものではありません。それだけの人に「使ってよかった」と思ってもらえる事業を作るということです。

この目標実現に向け、世界中にグローバルウェイのグループ会社を増やしていく計画です。タイムチケットはすでに海外展開、特にアジア圏での事業拡大を進めています。技術やトレンドの変化に敏感にアンテナを張り、社会的意義と多くの人に愛されるサービスの両立を目指します。

もう一つの重要な取り組みが、次世代起業家・経営者の育成です。私の志を受け継ぎ、社会を良い方向に導いてくれる起業家に出資や支援を行い、世の中の変革を推進したいと考えています。

上場直後のオフィスに掲げられた「Be a Marverick Innovator」

果敢に挑戦し世の中の変革に寄与していく

私は「孤高の創造者たれ Be a Maverick Innovator」を座右の銘としています。これは上場後にグローバルウェイの企業理念としても掲げていた言葉です。起業家精神を持ち、突き抜けた発想で新たなサービスや事業を創造し続ける。そんなクリエイター精神を常に大切にしていきたいと思います。

私が敬愛するスペインの建築家アントニオ・ガウディは、まさにこの精神の象徴です。独創性に富んだ建築を数多く世に残し、生涯をかけて取り組んだサグラダ・ファミリア(聖家族教会)は、彼の死後も次世代の職人によって忠実に作り続けられています。

自分が始めたものを、次世代が引き継いでいく。そんな永続性のある事業を作りたい。世界は刻一刻と進化する中で、創造者として、そして変革を推進する創造者を支える者として、さらなる世の中の変革に寄与していきたいと考えています。

関連リンク

株式会社グローバルウェイ

グローバルウェイの技術サービス(ITコンサルティングなど)

キャリコネ:国内最大級の企業口コミサイト

キャリコネニュース:働く人のためのニュースメディア

グローバルウェイエージェント:ハイクラス人材紹介

株式会社タイムチケット

タイムチケット:個人の時間を売買できるシェアリングエコノミーサービス

タイムチケットプロダクション:TikTok公式ライバー事務所・エージェンシー

クリプトコンサルティング:タイムチケットが運営するコンサルティング事業

GameTomodachi:ゲーマーのマッチングサービス

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