2021年06月21日
中古車販売・買取店「ガリバー」「リベラーラ」の運営で知られるIDOMへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策しましょう。
創業以来一貫して「お客様のために”自動車流通革命”を起こす」を経営ビジョンに掲げるIDOM。同社の社風はどのようなものでしょうか。まずはIDOMの前身であるガリバーについてや、これまでの事業内容を理解していきましょう。
1994年福島県で創業されたガリバーインターナショナルは「中古車といえばガリバー」と第一想起されるほど、高い認知度を獲得するに至りました。現在も積極的な出店を続けており、今後も自動車流通業界の変革に挑戦し続けるという事業理念から、2016年7月、社名を株式会社IDOMに変更しました。日本語の「挑む」をアルファベットで表現したもので「前例のないことに取り組んでいく」を意味する、強いメッセージ性のある社名になっています。
前例のないことに取り組む精神は、もちろんガリバー時代に培われたものです。創業当時、中古車業界では、車を買い取りした後は展示場販売が一般的でした。しかしこれには広大な土地と大量の展示車が必要になり、大きなコストがかかります。最終的にコストは買い取り価格に反映されるため、顧客は低い買い取り金額を提示されていたのです。そこで同社は買い取った車を展示場では販売せずに2週間だけ自社保管することにしました。買い取りした車の全リストがオンラインで即座に全国店舗に共有され、2週間以内に購入希望の顧客が表れなかった時はオークションに売却するフローを確立しました。これにより在庫コストを最小限に抑えられ、在庫期間が長いことで落ちる商品価値を食い止めることにも成功したのです。結果、顧客は車を高値で買い取ってもらえることに。同社は、一車あたりのの利益が仮に少なくとも、買い取り台数を増やすことで全体の利益を伸ばすという方法をとったのです。
出典:IDOM コーポレートサイト
高額査定ができるよう独自のビジネスモデルを構築してきたIDOM。10年保証や返金サービスも用意し、他チェーンとの差別化をはかってきました。
加えて同社はM&Aを積極的にすすめながら、次々に新形態を開発する力をもっています。お値打ち価格を訴求した「ガリバーOUTLET」、⾼級輸⼊中古専⾨店「LIBERALA」、テーマパークのような場所で車選びができる「WOW!TOWN」、軽⾃動⾞専⾨店「ガリバーミニクル」、ファミリーカー専⾨店「SNAP HOUSE」、これらは数例に過ぎず他にも多くの新形態の店舗を出店しています。
実際にIDOMで働く人は、自社の社風をどう捉えているのでしょうか。口コミでは「体育会系」との文言が散見されます。上司や先輩の面倒見がよいとされる一方で、指導内容に根性論や精神論が多いことや、長時間労働を美徳とする雰囲気には一定期間の慣れを要するようです。同社では、「チームワーク」、「顧客満⾜」、「成果」この3つで評価をするとしていますが、この成果は自発的に立てた目標成約金額のことで、ここを達成できるか社員は強いプレッシャーを感じるようです。現場では数字を出せるか否かの実力主義とされ、昇格昇進するためには3か月から半年ほどのあいだ連続して達成を求められます。上位職でも成績不振の場合は降格となるため、店長とスタッフを行き来する社員も多いようです。
業界大手ゆえに自動車好きな人には、様々な車種を扱える喜びが大きいといいます。顧客が求める希少性の高い車を探してくる楽しさや、新しい形態の店舗でチャレンジする面白さは格別のようです。これらのやりがいを感じる人は、既存のやり方にとらわれずに仕事を進めていくバイタリティや社内調整力を持つ、タフな人たち。ご自身の志向がここに合致していれば、その旨を面接内でしっかりPRしていきましょう。
IDOMでは中途採用を通年で行っており、店舗営業スタッフや整備士を常時採用しています。選考期間は1週間から3週間程度です。応募条件は普通自動車免許となんらかの社会人経験を保有していることとなっています。自動車に関する専門知識は必要ないことから、比較的書類選考の通過率は高めと考えられるでしょう。書類選考合格の場合は次に会社説明会の参加を求められます。ただし応募したタイミングによってはこの説明会を経ずに、面接1~2回のみで合否が判明するパターンもあります。面接は基本的に店舗で行われています。
会社説明会は「説明会」と名がついている選考会だと考えた方がよいでしょう。説明会時の態度や振る舞いをさりげなくチェックされおり、素の応募者を確認しています。面接という取り繕った場面だけでなく、ありのままの応募者を確認することにより、適性や社風との相性を見極めていると言えるでしょう。説明会ではできるだけ前方に座り、メモをしっかり取りながら話を聞くのがおすすめです。実際の面接では「説明会の内容についての感想をきかせてください」「何か質問はないですか」を聞かれますので、面接直前にメモを見返しておくとよいでしょう。
口コミを分析するとIDOMの中途採用面接には3つの大きな特徴があります。
1点目は、残業と転勤が問題ないか確認されます。IDOMでは年間休日が100日を下回る年があり、残業時間もほぼ毎日発生しているようです。労働時間の短縮にむけて対策を立てていますが、個人向け営業の場合はどうしても夜の対応になることも多く、まだ施策実施半ばのようです。拘束時間の長さは退職理由としても挙がっており、ある程度の覚悟をもっているかどうかを面接では問われます。転勤に関しては、基本的には希望勤務地を考慮のうえ配属店舗が決定される仕組みになっているとはいえ、各店舗の事情もあり100%叶っている状況でもないようです。入社時の配属先が仮に希望通りになるにしても、店舗や拠点の再編があれば異動が発生します。場合によっては転居を伴う場合もあるので、ご家族の状況や事情も含め将来的な転勤の可否について質問をされることが多いようです。
2点目は、営業職の採用面接では「営業とは何か?」が頻出質問となります。中古車という高額商材を扱うため、商品のおすすめポイントや付加サービスの特長を説明できるかどうかが問われています。同社では営業職をカーライフプランナーとネーミングしており、単にモノを売るだけではなく、顧客ひとりひとりのライフプランに合った商品を提案するコンサルティングの要素を持たせています。そのため、顧客の要望を聞き取るヒアリング力と、提案力があるかをみられるでしょう。営業としてのテクニックだけではなく、併せて高額の商材を任せてもらえる信頼構築力、安心感を持ち合わせているかどうかも当然みられています。
3点目は、会社の歴史やビジネスモデルを理解してきているかが問われます。「IDOMの独自性は何か」「会社のビジョンは何か」についてが代表例です。同社コーポレートサイトには、理解編・分析編に分かれて、かなり細かい情報が記載されているので一通り目を通して面接に臨みましょう。
IDOMは「世界最大の自動車販売インフラを創る」を目指す姿としています。2018年12月に策定した中期経営戦略には、今後の出店基準と資本政策についての記述が盛り込まれています。
出典:IDOM コーポレートサイト
自動車販売のインフラとしての機能を果たすために、IDOMでは今後も更なる出店を続け、商圏の拡大をすすめています。その目標数値は1000店(2020年2月期まで)。これまでは売上予測で『赤字にはならない』と判断が下れば出店を行っていましたが、今後3年で投資資金が回収できるかなど新たに独自で定めた厳しい条件をクリアできた時のみ出店することになりました。同時に、新店舗を構えた場合の「営業の良質性」にもこだわっており、優秀な店長候補と戦力となる人材確保の見通しが立つかについても吟味の上、出店することとしました。
今後ITが更に発達し、VR技術によりバーチャル試乗が盛んになったとしても、顧客は実際の試乗を経て最終的に購入を決定するという消費行動は無くならないはずです。それゆえIDOMはリアル店舗を今後も必要不可欠と捉えており、店舗での営業の質向上に向けて研修体制を強化するといった様々な取り組みを行っています。
出典:IDOM コーポレートサイト
IDOMでは創業当初から、ITへの投資を積極的に行ってきました。例えば、複雑な中古車査定を本部で一括して実施できるシステムや全国で買い取った車両を即時に全国店舗で画像共有できる情報システム「ドルフィンネット」などがあります。これらは今でこそ競合企業にも類似システムが導入されていますが、当時は先駆的なものでした。
同社ではビジネスとITの融合を強く意識しており、今後も新しいシステム導入に意欲的です。個人間で中古車の売買を可能とする「ガリバーフリマ」や、車のサブスクリプション(定額クルマ乗り放題)の仕組みも、ITを活用した直近のプロジェクトの一環です。更には、海外拠点とのコンタクトツールの整備作り、AIを活用した営業支援システムの開発にも着手しています。
面接では、IDOMにおけるこれらの動向を踏まえ自己分析をすすめていきましょう。既存店・新店はともに、厳しい社内審査を経て出店されたものです。地域の顧客から「自分の愛車を任せても大丈夫」と思って頂けるような営業活動ができるポテンシャルを持っていること、店舗の目標に向かって周囲と協働できることを示せるとよいでしょう。過去の類似体験や、日ごろ心掛けていることをコンパクトにまとめて伝えられる練習をしていきましょう。
ITについては、実際にガリバーのwebサイトを利用し、システムの使い易さ、他企業と比較としての感想を独自の視点で言えるとよいでしょう。また、業務上で社内システムを使った経験や、プライベートで使うアプリなど、自身のIT使用歴について聞かれることがあるかもしれません。IDOMでは顧客とソーシャルメディアを通じて社員がつながりを持つこともあり、ITリテラシーを重要視しているからです。事前に内容をまとめておきましょう。
IDOMの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜIDOMか」があります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
IDOMという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような中古車販売企業について調べておくことがおすすめです。
●株式会社カーチスホールディングス
●アップルインターナショナル株式会社
●株式会社ラビット・カーネットワーク
●株式会社ケーユーホールディングス
このようにIDOMの採用面接を受ける前には、経営戦略に紐づけた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。面接の場では、体育会系である社風であることを意識して、強い成長意欲と高い顧客志向を持っている人材だと印象付けられるよう様々なエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、十分に考えながら面接対策しておきましょう。
IDOMの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●ガリバー時代からさかのぼり、IDOMのビジネスモデルや展開する新業態について事業内容を念頭におき、企業風土や求める人物像を把握する。
●「経営ビジョン」「目指す姿」を認識したうえで、中期経営戦略の中身を理解する。これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜIDOMなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについて入念に準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
この記事の執筆者