【平均年収1351万円】中外製薬 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年12月期)

【平均年収1351万円】中外製薬 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2025年12月期)

中外製薬は、医薬品事業を主軸とする企業グループとして、新規医療用医薬品の研究、開発、製造、販売活動を国内外で展開しています。売上収益は過去5年間で増加傾向にあり、直近期の業績は増収増益となりました。


目次

※本記事は、中外製薬株式会社 の有価証券報告書(2025年12月期、2025年1月1日 ~ 2025年12月31日、2026年3月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. 企業概要:どんな会社?


中外製薬は、医薬品事業を主軸とする企業グループです。新規医療用医薬品の研究、開発、製造、販売活動を国内外で展開しています。

単体従業員数は5,104名、連結従業員数は7,872名です。セグメントは医薬品事業の1つです。

主な国内グループ会社は、ロシュ・ホールディング・リミテッド(持株会社)、中外医科学研究所(医薬品・事業)などです。

2025年11月にはレナリスファーマ株式会社を取得し、同年12月には吸収合併を実施しています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


中外製薬は、革新的な医薬品とサービスの提供を通じて世界の医療に貢献する企業です。同社グループでは、従業員一人ひとりの成長と挑戦を重視し、多様な働き方を支援する環境づくりに力を入れています。個々の能力を最大限に引き出し、イノベーションを促進する人事戦略が展開されています。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社では、従業員の長期的なキャリア形成を支援する環境が整っており、安定した人材の定着が見られます。平均勤続年数と平均年齢からは、経験豊富な従業員が多数在籍していることがうかがえます。

項目 数値
平均年間給与 13,507,769円
平均勤続年数 15年5ヶ月
平均年齢 42歳7ヶ月
単体従業員数 5,104人
連結従業員数 7,872人
単体のグループ内比率 64.8%


同社グループは、従業員に対して確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職後給付制度を設けています。その大部分は確定給付制度に該当します。
退職一時金制度も設けられており、従業員は制度ポイントの累計に基づく金額について、退職時に一時金として給付を受けることができます。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


中外製薬は、イノベーション創出の原動力となる「人財」を経営戦略「TOP I 2030」達成の鍵と位置づけています。社員一人ひとりが会社のビジョンと自身のパーパスをシンクロさせ、主体的に事業を推進できる「輝く社員」の育成を重視しています。
2025年1月からは新人事制度を導入し、ジョブ型人事制度の拡大やジョブポスティング制度の導入、高度専門ポジションの拡充、雇用上限年齢の撤廃を進めています。処遇は男女同一であり、現在の賃金差異は職務、等級、年齢構成の違いによるものと説明されています。
人財マネジメント方針に基づき、「個を描く」「個を磨く」「個が輝く」の3つの戦略を実行しています。具体的には、次世代経営人財や高度専門人財の発掘・育成、社員の自律的な学びや専門性強化、そして挑戦を促す風土づくりや多様性を活かすDE&Iの推進に取り組んでいます。
ジョブポスティング制度では、導入初年度に約1,000件の募集ポジションに対し約2,300件の応募があり、年代に関わらず多くの社員がキャリアを掴んでいます。また、働きがい改革や女性活躍推進、LGBTQアライグループの活動、健康経営の推進など、多岐にわたる施策を展開しています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。管理職の定義は課長級の社員を含み、当社基準で算出されています。男女の賃金差異は職務、等級、年齢構成の違いによるものであり、育児休業取得者や短時間勤務者の労働時間の補正は行われていません。

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 21.2%
男性労働者の育児休業取得率 93.4%
労働者の男女の賃金の差異(全労働者) 81.4%
労働者の男女の賃金の差異(うち正規雇用労働者) 81.2%
労働者の男女の賃金の差異(うちその他の雇用労働者) 76.3%

連結子会社の法定開示


主要事業会社3社の数値のみ掲載します。

▼ 中外製薬工業株式会社

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 14.1%
男性労働者の育児休業取得率 95.7%


▼ 中外製薬ビジネスソリューション株式会社

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 32.3%


▼ 株式会社中外医科学研究所

指標 数値
管理職に占める女性労働者の割合 23.1%
男性労働者の育児休業取得率 100.0%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


中外製薬は、医薬品の研究、開発、製造、販売を一貫して手掛ける医薬品事業を主軸としています。革新的な医薬品を通じて、患者さんの健康と医療の発展に貢献することを目指しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


同社グループは、医薬品事業の単一セグメントで事業を展開しています。国内では、自社で製造した医薬品を全国の特約店を通じて販売しており、一部の原材料はエフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドから調達しています。研究開発業務の一部はグループ会社に委託し、効率的な運営を図っています。

海外事業では、欧州を中心に販売統括会社を置き、各国のグループ会社が輸入販売や販売活動を行っています。アジア地域では台湾や中国で医薬品の販売や学術情報提供、生産活動を展開しています。また、米国やシンガポールなどでも研究開発活動を進め、スタートアップ企業への投資も積極的に行っています。

同社グループの収益は、主に製商品の売上高から得られています。国内ではオンコロジー領域とスペシャリティ領域の製品が中心であり、新製品や主力製品が売上を牽引しています。海外では、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ・リミテッドへの輸出が大きな割合を占めており、特定の顧客への収益集中が見られます。

セグメント 売上収益(2024年12月期) 売上収益(2025年12月期)
当連結会計年度(自2025年1月1日至2025年12月31日) - 1兆778億円
前連結会計年度(自2024年1月1日至2024年12月31日) - 1,801億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


同社グループの売上収益は、過去5年間で増加傾向にあります。特に直近の連結会計年度では、売上収益、税引前当期利益、当期利益のいずれも前期から増加しました。

項目 2021年12月期 2022年12月期 2023年12月期 2024年12月期 2025年12月期
売上収益 9,998億円 1兆2,597億円 1兆1,114億円 1兆1,706億円 1兆2,579億円
税引前利益 4,194億円 5,312億円 4,438億円 5,430億円 5,978億円
税引前利益率 41.9% 42.2% 39.9% 46.4% 47.5%
当期利益 3,030億円 3,744億円 3,255億円 3,873億円 4,340億円
1株当たり当期純利益(円) 184.29 227.64 197.83 235.39 263.73

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり売上収益は、前期から増加しています。また、従業員1人あたり営業利益も前期から増加しており、組織全体の生産性が向上している傾向が見られます。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営を通じて収益を生み出す力を高めていることを示しています。

指標 2024年12月期 2025年12月期
従業員1人あたり売上収益(連結) 150.5百万円 159.8百万円
従業員1人あたり営業利益(連結) 69.7百万円 76.1百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


中外製薬グループは、強固な財務基盤と安定したキャッシュフローを維持しており、事業活動を通じて着実に資金を創出しています。将来に向けた投資も継続しており、安定性と成長性を兼ね備えた経営状況を示しています。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準です。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均と比較して高い水準を示しています。手元資金である現金及び現金同等物も十分な額を確保しており、強固な財務基盤を維持していることがわかります。これは、事業活動における安定性や将来の成長投資への余力を示しています。

指標 2024年12月期(前期) 2025年12月期(当期)
自己資本 1兆9,015億円 2兆257億円
自己資本比率 86.1% 82.1%
ROE(自己資本利益率) 22.0% 22.1%
現金及び現金同等物 5,402億円 4,266億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュ・フローは収入となりました。これは前期から減少していますが、引き続き安定した事業活動による資金創出力を示しています。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形資産の取得、有価証券の取得などにより支出となりました。これは将来に向けた積極的な投資が行われていることを示しています。

その結果、フリー・キャッシュ・フローは収入となり、本業で得た資金が投資を上回る状況です。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより支出となりました。これらの資金の流れから、同社グループは安定した事業基盤を持ち、将来の成長に向けた投資を継続しつつ、株主還元も行っていることがわかります。これは、入社後の雇用や給与の安定性、そして会社の持続的な成長を期待できる財務状況を示しています。

項目 2024年12月期(前期) 2025年12月期(当期)
営業CF 4,476億円 3,863億円
投資CF △2,274億円 △2,013億円
財務CF △1,410億円 △3,079億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 2,202億円 1,850億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、医療制度や薬事規制、政策の変化による薬剤費引き下げや薬価改定、バイオシミラーの振興政策が収益に影響を与えるリスクを認識しています。また、競合品の浸透加速や新たな治療手段の進展、顧客ニーズの変化により、市場での地位や製品競争力が低下し、収益が悪化するリスクも存在します。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、人財獲得ニーズの競合や社内育成に要する時間、環境変化による人財のミスマッチや不足・余剰のリスクを挙げています。また、期待される組織文化が醸成されず、イノベーションの創出が阻害されるリスクも想定されています。

④ 雇用安定性・リストラ

事業再構築費用として133億円が計上されています。この費用は事業再編・拠点統廃合・人員削減等に伴うものであり、転職先を検討する際に留意すべき情報です。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


中外製薬グループは、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、革新的な医薬品とサービスの提供を通じて、世界の医療と人々の健康に貢献することを目指しています。患者さん中心の高度で持続可能な医療の実現を追求し、ヘルスケア産業のトップイノベーターとなることを目指す企業です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


中外製薬グループのMission(存在意義)は、「革新的な医薬品とサービスの提供を通じて新しい価値を創造し、世界の医療と人々の健康に貢献する」ことです。Envisioned Future(目指す姿)としては、「患者中心の高度で持続可能な医療を実現する、ヘルスケア産業のトップイノベーター」を掲げています。

経営の基本方針は、社会との共有価値を創造し、社会とともに発展することです。2030年に向けたトップイノベーター像として、「世界の患者さんが期待する」「世界の人財とプレーヤーを惹きつける」「世界のロールモデル」の3点を具現化することを目指しています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループの事業活動は、Core Values(価値観)である「患者中心」、「フロンティア精神」、「誠実」に沿って推進されています。イノベーションを生み出す組織風土の構築に向け、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進にも注力しています。

社員一人ひとりがキャリアを描き、自律的な学びや専門性を強化し、自身の力を最大限に発揮できる環境を整えることを目指しています。挑戦を促す風土、自律支援型マネジャー、多様性を活かす組織文化の醸成を重視しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループの最重要課題は「イノベーションの追求」であると考えています。アンメットメディカルニーズに応える新薬の創出を目指し、新たな治療ターゲットの探索や創薬技術のさらなる革新に取り組んでいます。

ビッグデータやAIなどのデジタル技術の進化を柔軟に取り入れ、創薬力の獲得・強化も進めています。また、限られた資源をイノベーションに集中投資できる体制への変革も重要な課題としています。

成長戦略「TOP I 2030」では、「創薬」「開発」「製薬」「Value Delivery」の各バリューチェーンと、それを支える「成長基盤」の「5つの改革」を掲げています。成長基盤改革では、「人・組織」「デジタル」「サステナビリティ・環境」「クオリティ」「PHCソリューション」の5つの領域を重点分野として継続強化に取り組んでいます。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


中外製薬は、世界有数の製薬企業であるロシュとの戦略的アライアンスのもと、独立した上場企業として経営の自主性と独立性を確保しながら、コーポレート・ガバナンスの充実に継続的に取り組んでいます。同社は監査役会設置会社を採用しており、独立社外取締役をはじめとする非業務執行取締役の選任により、取締役会の機能強化と経営の意思決定・監督機能の充実を図っています。また、経営の透明性及び公正性を担保するため、取締役会の任意の諮問機関として、指名委員会、報酬委員会及び特別委員会をそれぞれ設置しています。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


中外製薬の筆頭株主はROCHE HOLDING LTDであり、同社グループの資本構成において大きな影響力を持つ事業会社です。

株主名 持株比率
ROCHE HOLDING LTD 61.10%
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 8.62%
株式会社日本カストディ銀行(信託口) 3.53%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は14名(男性10名・女性4名)で構成され、女性役員比率は29.0%です。代表取締役社長は奥田修氏が務めています。社外取締役比率は33.3%です。

氏名 役職 主な経歴
奥田 修 代表取締役社長 1987年4月同社入社、2021年3月同社代表取締役社長最高経営責任者(CEO)より現職。
谷口 岩昭 取締役上席執行役員 1989年4月(株)日本長期信用銀行入行、2024年3月同社取締役上席執行役員最高財務責任者(CFO)より現職。
飯倉 仁 取締役上席執行役員 2000年8月同社入社、2026年1月同社取締役上席執行役員経営企画部長より現職。
トーマス・シネッカー 取締役 2003年ロシュ・グループ入社、2023年3月ロシュ・グループCEO、2025年3月同社取締役より現職。
テレッサ・エイ・グラハム 取締役 2005年1月ジェネンテック(米)入社、2023年3月ロシュ医薬品事業CEO兼同社経営執行委員会委員、2023年3月同社取締役より現職。
ボリス・エル・ザイトラ 取締役 1995年9月JPモルガン入社、2024年7月ロシュ コーポレート事業開発ヘッド兼同社拡大経営執行委員会委員、2025年3月同社取締役より現職。


社外取締役は、桃井眞里子氏(自治医科大学名誉教授)、立石文雄氏(オムロン名誉顧問)、寺本秀雄氏(株式会社第一生命経済研究所代表取締役社長)です。

同社は会社法上の機関設計として監査役会設置会社を採用しています。取締役のうち3分の1以上を独立社外取締役として選任しており、社外取締役は企業経営者や医師・大学教授としての豊富な経験・知識等から、同社の経営に関する適切な監督・助言を行っています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


中外製薬の役員報酬は、優秀な人材の確保と適切な動機づけを通じて企業価値の持続的向上を実現することを目的として設計されています。業務執行取締役の報酬は、固定報酬である定例報酬に加え、短期インセンティブとしての賞与、および中長期的な業績に連動する長期インセンティブとしての譲渡制限付株式報酬(勤務継続型、業績連動型)で構成されています。一方、社外取締役を含む非業務執行取締役および監査役の報酬は、固定報酬である定例報酬のみとなっています。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 4名 5.8億円 1.46億円
うち社外取締役 3名 69百万円 23.0百万円
取締役 7名 6.5億円 93.4百万円
監査役(社外除く) 3名 78百万円 26.0百万円
うち社外監査役 3名 53百万円 17.7百万円
監査役 6名 1.3億円 21.8百万円


なお、人数は事業年度中に報酬の支給対象となった人数であり、期中に退任した役員を含みます。

個人別報酬が開示されている役員は、奥田修氏(4.41億円)です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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