2021年06月21日
ハウスウェディングで高い人気を誇るテイクアンドギヴ・ニーズ(T&G)。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方や、これまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策しておきましょう。
テイクアンドギヴ・ニーズの社風を理解するためには、ウェディング業界の動向や同社のポリシーをまず理解しましょう。
少子化で結婚適齢期の人口が減少していることに加え、生涯未婚率の増加、晩婚化による結婚式の実施率低下などの影響を受け、ウェディング業界の市場規模は年々縮小傾向。一方で、招待客1人あたりの費用は増加傾向にあるといいます。結婚式に対するカップルの「こだわり」が強くなり、パッケージ型ではなくオーダーメイド型のプランへと主流が変わりつつあります。
市場動向を踏まえ、テイクアンドギヴ・ニーズでは明確に2つのポリシーを打ち出しています。ひとつめは、ハウスウェディングと呼ばれる一軒家貸切式のウェディングスタイル。会場となる邸宅の屋内はもちろん、プールやガーデンまで敷地内の設備と空間をカップルが自由に使えます。1日に何組も式が行われる他社会場では、時間の都合上で演出に制限が出たり、式場フロアが大勢のゲストで混乱するシーンも見られますが、同社ではそのようなことはありません。1組のカップルとその招待客の方たちだけのために、スタッフ全員が力を結集させます。
ふたつめは一顧客一担当制です。契約、打ち合わせ、当日の進行について、それぞれ分業制をとっている競合他社に対し、テイクアンドギヴ・ニーズは最初から最後まで一人のウェディングプランナーが担当します。新郎新婦の「こんな披露宴がしたい」に徹底的に向き合い、貸切式ウェディングの強みを最大限に生かした提案を行っていきます。この2点のポリシーが顧客の支持を集め、同社の年間挙式施行数は2万件に到達。日本でいちばん多くの結婚式を手がける企業となりました。
そんなテイクアンドギヴ・ニーズの社風とはどのようなものでしょうか。
口コミをみると、貸切式かつ一顧客一担当制ゆえに、当日の結婚式に立ち会うスタッフはプランナーをリーダーに強い仲間意識と絆で結ばれるといいます。多くの関係部署と連携をとりながら最高の結婚式・披露宴となるよう全力を尽くす、高いプロ意識とホスピタリティ性をもった組織風土を評価する声が目立ちます。「全員が同じ方向に向かって仕事をする団結感が心地よい」「年齢や社歴に関係なく顧客のために自由に提案できる」などがその代表例のコメントです。
最高のエンターテインメント(結婚式)を演出するためには「まずは社内でイベントを」との観点からお花見やBBQ、スポーツ大会や懇親会の開催が多めです。著名人をゲストとして招いた年の社員総会は、のちのちまで語り継がれるほどの賑わいを見せたとか。こうしたイベントが、業務外での活発なコミュニケーションを促進し、職場の一体感へと繋がっているようです。
しかしながら一点覚悟すべきは、ハードワークである、という点です。テイクアンドギヴ・ニーズに限らずウェディング業界全体に共通する特徴になりますが、非常に労働時間が長く、定着率が他業界に比べ低いと言われています。個人向けサービスのため土日祝日は出勤、繁忙期ともなると早朝から終電近くまでの勤務が連続します。同社においても「お昼休憩すら取れない状態」「休日出勤を依頼される」「体力的にきつい仕事なので、心の底からやりたいと思わなければ続けられない仕事」と評されており、退職理由につながっているケースもあるようです。この点に関しては、面接の中でも「残業時間が長いが大丈夫ですか」といった表現で頻度高く質問されています。
心が震えるような感動とやりがいを味わえる半面、ワークライフバランスがとりづらい職場であることを踏まえ、「なぜこの仕事に就きたいのか」、納得感のある回答準備が必要になってきます。
テイクアンドギヴ・ニーズの中途採用は、同社グループ各社の採用を一括で行っており、ウェディング事業だけでなく、ホテル事業、飲食事業、保育事業に関する職種の採用も行っています。募集職種は、時期によって異なりますが、「ウェディングプランナー」「ドレスコーディネーター」「レストラン店長候補」「レストランホールスタッフ」「キッチンスタッフ」「保育士」「本社スタッフ」の7種あり、中でも最も採用熱度が高いのが、ウェディング事業に関するポジションです。
テイクアンドギヴ・ニーズにはジョブローテーション制度があり、入社してから数年で社内他職種への異動の可能性があり得ます。社内全体の職種を把握したうえで、応募しましょう。なお、異動は自己申告により叶うケースと、適性を見て会社側が判断するケースがあります。
中途選考プロセスは、書類選考と2回の面接です。1次面接は人事採用もしくは現場担当者、最終面接はエリア統括マネージャーもしくは、事業部長クラスが担当します。場合によっては面接が3回になります。全体にかかる日数は、早くて1週間、遅くて3週間程度を要します。面接は圧迫であるという口コミはほとんど見当たりません。落ち着いた雰囲気で、なぜ同社に興味を持ったのか考えや想いをじっくり聞かれる面接となりますので、落ち着いて回答できるよう準備をすすめましょう。
ウェディング系職種を応募する場合、そのエリアにある邸宅ウェディング会場を指定されることがあります。同社は全国32都道府県に拠点をもち、エリアによっては郊外に位置しているところもあります。迷って遅刻をせぬよう、行き方をよく確認しておきましょう。交通の便が悪いエリアでは、自家用車での通勤を推奨されることがあるので、通勤方法についても事前に検討をすすめましょう。
テイクアンドギヴ・ニーズの中途面接で問われるのは、3つのポイントです。
・ヒアリング力と提案力
顧客が何を求めているかを聞き取るヒアリングと、それに対して期待を上回る提案ができるかが問われます。SNSの台頭で、顧客の要望やニーズは多様化しています。パッケージ化されたサービスやコンテンツはすぐに陳腐化してしまうのがこの業界。新しいトレンドを常にキャッチアップして提案できるよう、自発的に勉強していく姿勢があることを見せていきましょう。
・ホスピタリティ
結婚式は言うまでもなく、お客様の人生にとって大切な1日。最高の一瞬のために、何か月も前から準備が始まります。無形の商材だけに提案内容は無限。式のコンセプト作り、料理内容、サプライズ企画など、顧客の要望を的確に捉え実現していくためには、高いホスピタリティが必要です。
・バイタリティ
テイクアンドギヴ・ニーズの場合、ブライダルプランナー1人が担当するのは年間平均24組。当日の式は華やかでも、準備過程そのものは地味で泥臭い面もあるとのこと。常時数組の準備を同時並行で行うために、繁忙期にはハードワークが続く時があります。プランナー職の応募でなくとも、同社のあらゆるポジションが顧客のために行動を起こす点は一緒です。気力・体力ともに十分な活力を持ち合わせていることをPRしていきましょう。
テイクアンドギヴ・ニーズでは長期経営方針「EVOL2027」の中で、ハウスウェディング、海外事業、ホテル事業の3本柱の成長戦略を明記しています。
出典 テイクアンドギヴ・ニーズ コーポレートサイト
テイクアンドギヴ・ニーズの売上高のうち、国内ウェディング事業が81.1%を占めて主力事業となっていますが(2019年3月時点)、今後市場縮小化への対策として、新しいターゲットの獲得・差別化を生み出す施設リニューアルを実施予定です。また高収益化のために「装花」「衣装」の内製化を拡大していきます。
こうした背景を踏まえ、差別化につながる事例、例えば最近出席した結婚式のどんな演出が良かったか、身内の結婚式であった成功事例・失敗事例などを踏まえ、理想とする結婚式のコンテンツ案を積極的に伝えると歓迎されるでしょう。
また、テイクアンドギヴ・ニーズでは今後新たにホテル事業を収益の柱に育てる戦略を描いています。ウェディング業界で培ったノウハウをホテル事業にも活用し、ウェディング同様ホテル業界にイノベーションを起こす考えです。
接客マニュアルを作らない独創的なコンセプトを持つホテル作りを検討しており、いくつかの候補地を選定しています。2019年11月現在、コーポレートサイト上にホテル関連の中途採用ポジションは見当たりませんが、人材紹介会社のサイトにはいくつか掲載され始めています。ウェディング関連のポジションで入社をした従業員に対し、ホテル関連職の提案が出ることも今後想定されます。面接内で質問できる機会が与えられた際には、こうした会社の戦略にも触れ、将来のキャリアパスについてどのような可能性があるのか聞いてみるとよいでしょう。その際に備え、5年後、10年後自分はどのように成長していきたいのかについて考えをまとめておき、ウェディングでの経験を他の事業体でも活躍する気持ちがあれば、積極的にその気持ちを伝えると、プラスの評価を得やすいでしょう。
テイクアンドギヴ・ニーズの面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜテイクアンドギヴ・ニーズか」があります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
テイクアンドギヴ・ニーズという企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には以下の企業について調べておくことがおすすめです。
●ワタベウェディング株式会社
●アニヴェルセル株式会社
●株式会社ツカダ・グローバルホールディング
●株式会社エスクリ
●株式会社ノバレーゼ
●株式会社Plan・Do・See
各企業それぞれに特徴があり、例えば海外ウェディングが得意、低価格帯のプランが充実など、それぞれ差別化している内容をリサーチして整理しておきましょう。
このようにテイクアンドギヴ・ニーズの採用面接を受ける前には、経営戦略に紐づけた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。面接の場では、徹底した顧客志向を持つ社風であることを意識して、なぜウェディング業界志望するのか、その強い動機はどこからきているのか説明できる準備しておくと良いでしょう。回答にもオリジナリティを求められます。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、十分に考えながら面接対策しておきましょう。
テイクアンドギヴ・ニーズの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●ウェディング業界の市場の動向を把握し、テイクアンドギヴ・ニーズが掲げる2つのポリシーを理解する。そこから生まれる企業風土と求める人物像を理解する。
●「長期経営方針」を理解した上で、自分ならではのアイディアや、長期的なキャリアビジョンについて、自己分析しながらまとめておく。
●競合他社についても研究をすすめ、「なぜテイクアンドギヴ・ニーズか」に対する答えを明確にしておく。
これらについて入念に準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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