【平均年収1991万円】伊藤忠商事 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

【平均年収1991万円】伊藤忠商事 転職ガイド:知っておきたい給与と業績(2026年3月期)

伊藤忠商事は、多種多様な商品のトレーディングや事業投資などを通して、幅広い業界とグローバルなネットワークで多角的な事業活動を展開しています。連結従業員数は11万人を超え、直近期は増収増益となりました。


目次

※本記事は、伊藤忠商事株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月12日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は IFRS です。

1. 企業概要:どんな会社?


伊藤忠商事グループは、多種多様な商品のトレーディング、ファイナンス、物流、プロジェクト案件の企画・調整、資源開発投資、事業投資などを通して、幅広い業界とグローバルなネットワークで多角的な事業活動を展開しています。生活消費分野、基礎産業分野、資源分野の8つのディビジョンカンパニーが事業を推進しています。

単体従業員数は4,125名、連結従業員数は114,570名です。事業セグメントは繊維、機械、金属、エネルギー・化学品、食料、住生活、情報・金融、第8の8つです。

主な国内グループ会社は、ジョイックスコーポレーション、レリアン、デサント、三景、エドウインなどです。

同社グループは、菓子卸事業の統合やJR東日本グループとの不動産分野における事業統合を進め、新たなビジネス展開を加速しています。

2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?


伊藤忠商事株式会社は、総合商社として多岐にわたる事業を展開しています。同社グループは、創業の精神である「三方よし」を基盤に、社会課題の解決と企業価値向上を目指しています。社員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、働きがいを重視する環境が特徴です。

■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢


同社は、従業員の平均勤続年数が長く、安定してキャリアを築ける環境がうかがえます。平均年齢も比較的高い水準にあり、経験豊富な人材が多数活躍していることが示されています。長期的な視点での人材育成と定着を重視する企業文化が背景にあると考えられます。

項目 数値
平均年間給与 19,911,534円
平均勤続年数 17年9ヶ月
平均年齢 42.0歳
単体従業員数 4,125人
連結従業員数 114,570人
単体のグループ内比率 3.6%


同社には退職給付制度があり、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の両制度が導入されています。適用範囲は国内グループ会社です。なお、退職一時金の有無や支給条件、従業員ごとの会社拠出額などは、有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。

■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方


伊藤忠商事では、「商いの根幹は人である」という考えのもと、人材を価値創造の基盤と位置付け、人的資本への投資を重要な経営課題としています。同社は「厳しくとも働きがいのある会社」を掲げ、従業員が能力を最大限に発揮できる環境を整えることで、モチベーションと労働生産性の向上、企業ブランド価値の向上を目指しています。

給与・報酬制度においては、「成果に応じたメリハリある評価・報酬」を基本方針としています。月例給は職務・職責、能力・経験等に基づき、賞与は個人の業績評価と会社業績を踏まえて決定されます。また、従業員の経営参画意識を高めるため、会社業績に応じた株式付与制度や資産形成支援も行われています。

人材育成では、1999年度から人材育成費用を「人的資本投資」と位置付け、グローバル経営人材育成、「伊藤忠らしさ」の伝承、「学び続ける」支援を三つの柱としています。特に現場(OJT)を重視し、20代のうちに海外駐在を含む多様な経験を積ませることで、成長を促進しています。また、経営人材の多様化を推進し、2030年までに全役員に占める女性比率30%を目標に掲げ、女性執行役員特例措置制度などを導入しています。

従業員の主体的なキャリア形成を支援するため、「チャレンジキャリア制度」や「バーチャルオフィス」といった職掌移動制度、在宅勤務・朝型フレックスタイム制度、育児や介護に配慮した支援策も整備されています。社内環境整備においては、「健康力向上」を人材力強化の礎とし、「伊藤忠健康憲章」の制定やがんと仕事の両立支援など、従業員が安心して働ける職場環境づくりに注力しています。

■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標


有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。

法定開示


提出会社単体の法定開示データです。女性管理職比率は、女性活躍推進法に基づき課長級以上の女性従業員を対象として算出されています。男女間賃金格差は、女性総合職の管理職登用までの時間差や、有期雇用従業員の専門性に応じた採用における男女間差異が主な要因となっています。

指標 数値
管理職に占める女性従業員の割合 10.1%
男性従業員の育児休業取得率 128%
男女間賃金格差(全従業員) 56.9%
男女間賃金格差(うち正規雇用従業員) 57.9%
男女間賃金格差(うち有期雇用従業員) 59.3%

連結子会社の法定開示


主要事業会社3社の数値のみ掲載します。

▼ ㈱レリアン
職種・職掌により従業員に占める女性従業員に偏りがあるため、男女間賃金格差が生じています。

指標 数値
管理職に占める女性従業員の割合 88.4%
男性従業員の育児休業取得率 -
男女間賃金格差(全従業員) 64.5%
男女間賃金格差(うち正規雇用従業員) 67.1%
男女間賃金格差(うち有期雇用従業員) 64.0%


▼ ㈱三景
非正規雇用の女性従業員が多いため、男女間賃金格差が生じています。

指標 数値
管理職に占める女性従業員の割合 3.2%
男性従業員の育児休業取得率 70%
男女間賃金格差(全従業員) 62.9%
男女間賃金格差(うち正規雇用従業員) 75.5%
男女間賃金格差(うち有期雇用従業員) 49.7%


▼ ㈱ジョイックスコーポレーション
非正規雇用の女性従業員が多いため、男女間賃金格差が生じています。

指標 数値
管理職に占める女性従業員の割合 9.1%
男性従業員の育児休業取得率 83%
男女間賃金格差(全従業員) 69.6%
男女間賃金格差(うち正規雇用従業員) 78.3%
男女間賃金格差(うち有期雇用従業員) 52.7%

人材育成・働き方


提出会社単体のデータです。労働生産性は、働き方改革を開始した2010年度を1とした場合の労働生産性推移(連結純利益÷単体従業員数)です。女性役員比率は、会社法上の役員に加え執行役員を含みます。人材育成投資総額には、人材育成を目的とする統合型独身寮に関連する費用の一部が含まれています。一人あたり人材育成投資額は、期末時点での休職者を除いて算出されています。企業理念「三方よし」を深く理解するための創業地訪問参加者数は、2004年度より導入した創業地訪問の参加者数の直近連結会計年度までの累計です。

指標 数値
労働生産性 5.8倍
従業員持株会加入率 100%
自己都合退職率 1.7%
月平均残業時間(法定) 10.3時間
年次有給休暇取得率 70.7%
女性従業員比率 26%
女性新卒採用比率 42%
女性役員比率 28%
研修受講者数(延べ人数) 53,811名
入社8年目までの総合職海外派遣比率 86%
一人あたり研修時間(年間) 29.8時間
人材育成投資総額 27.0億円
・グローバル・経営人材育成 18.6億円
・「伊藤忠らしさ」の伝承 5.1億円
・「学び続ける」支援 3.3億円
一人あたり人材育成投資額 66.4万円
企業理念「三方よし」を深く理解するための創業地訪問参加者数 4,319名

社内環境整備方針


提出会社単体のデータです。グループコンプライアンス意識調査の回答率は、独自で調査をしている上場子会社を除く国内外子会社及びその事業会社の従業員61,317名が対象です。

指標 数値
がん特別検診対象者受診率 99%
労働災害の罹災者数 10名
死亡災害件数 0件
グループコンプライアンス意識調査の回答率 99%

3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?


伊藤忠商事グループは、多岐にわたる商品のトレーディング、ファイナンス、物流、プロジェクト案件の企画・調整などを手掛けています。資源開発投資や事業投資を通じて培った総合力を活かし、グローバルなネットワークで幅広い事業を展開しています。

■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか


伊藤忠商事グループは、多種多様な商品のトレーディング、ファイナンス、物流、プロジェクト案件の企画・調整、資源開発投資、事業投資などを通して事業を展開しています。8つのディビジョンカンパニーが、繊維、食料、住生活、情報・金融などの生活消費分野、機械、化学品、石油製品、鉄鋼製品などの基礎産業分野、金属資源、エネルギー資源などの資源分野で多角的な事業活動を行っています。収益は、これらの幅広い事業活動から得ています。

繊維

繊維原料、糸、織物から衣料品、服飾雑貨、その他生活消費分野の全般においてグローバルに事業展開を行っています。ブランドビジネスの海外展開や、リーテイル分野でのインターネット販売等の販路展開も行っています。収益は、繊維原料、衣料品、服飾雑貨などの取引から得ています。運営は、デサント、ジョイックスコーポレーション、レリアンなどが行っています。

機械

プラント、橋梁、鉄道等のインフラ関連事業、発電・送変電・売電関連事業、水・環境・廃棄物関連事業、船舶、航空機、自動車、建設機械、産業機械、工作機械、環境機器・電子機器等の単体機械及び関連機材、再生可能・代替エネルギー関連ビジネス・廃棄物リサイクル事業等の環境に配慮した事業を行っています。収益は、これらのインフラ関連、機械、環境関連事業から得ています。運営は、東京センチュリー、ヤナセ、日立建機(シトラスインベストメント合同会社を通じて)などが行っています。

金属

金属鉱物資源開発事業、鉄鋼製品加工事業、鉄鉱石、石炭、その他製鉄・製鋼原料、非鉄・軽金属、鉄鋼製品、原子燃料関連の国内・貿易取引、温室効果ガス排出権取引、リサイクル・廃棄物処理を行っています。収益は、金属鉱物資源や鉄鋼製品の取引から得ています。運営は、ITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltd、CSN Mineração S.A.、伊藤忠丸紅鉄鋼などが行っています。

エネルギー・化学品

エネルギー関連、化学品関連及び再生可能エネルギーを含む電力関連の各分野において、トレード並びに事業を行っています。収益は、エネルギー関連、化学品関連、電力関連の取引や事業から得ています。運営は、伊藤忠エネクス、タキロンシーアイ、伊藤忠ケミカルフロンティアなどが行っています。

食料

原料からリーテイルまでの食料全般にわたる事業領域において、国内外で効率的な商品の生産・流通・販売を行っています。収益は、食料品の生産、流通、販売から得ています。運営は、不二製油、Dole International Holdings、日本アクセス、伊藤忠食品などが行っています。

住生活

紙パルプ事業、天然ゴム事業、住宅資材事業、タイヤ・自動車アフターマーケット関連事業や物流事業等の生活資材・物流分野、不動産開発・分譲・賃貸・管理業や建設インフラ事業等の建設・不動産分野において事業を行っています。収益は、紙パルプ、住宅資材、不動産開発などから得ています。運営は、伊藤忠ロジスティクス、DAIKEN、伊藤忠都市開発、西松建設などが行っています。

情報・金融

ITソリューション、インターネット関連、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)、医療・ヘルスケア、衛星、コンテンツ、携帯電話関連機器等の情報・通信分野、各種金融サービス事業や保険事業等の金融・保険分野において事業を行っています。収益は、ITソリューション、金融サービス、保険事業などから得ています。運営は、伊藤忠テクノソリューションズ、ほけんの窓口グループ、ポケットカードなどが行っています。

第8

上記の7カンパニーと協働し、特に生活消費分野に強みを持つ同社グループの様々なビジネス基盤を最大限活用し、異業種融合・カンパニー横断の取組を加速させ、市場や消費者ニーズに対応した「マーケットインの発想」による新たなビジネスの創出・客先開拓を行っています。収益は、異業種融合や新規ビジネスの創出から得ています。運営は、ファミリーマート、アンドファーマ、セブン銀行などが行っています。

同社グループの収益は、日本が最も大きく、米国、シンガポールがこれに続いています。海外事業も展開しており、為替相場の変動による影響を受けています。

セグメント 収益(2025年3月期) 収益(2026年3月期)
食料 5兆299億円 5兆1,342億円
エネルギー・化学品 3兆1,727億円 3兆696億円
住生活 1兆5,323億円 1兆5,412億円
機械 1兆5,300億円 1兆5,006億円
金属 1兆2,788億円 1兆2,315億円
情報・金融 9,997億円 1兆1,171億円
繊維 6,370億円 6,864億円
第8 5,158億円 5,181億円

■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移


伊藤忠商事グループの過去5期間の業績を見ると、収益と税引前利益、当期純利益は全体的に増加傾向を示しています。特に直近の期では、収益、税引前利益、当期純利益ともに前期から増加しました。

項目 2022年3月期 2023年3月期 2024年3月期 2025年3月期 2026年3月期
収益 12兆2,933億円 13兆9,456億円 14兆299億円 14兆7,242億円 14兆8,231億円
税引前利益 1兆1,500億円 1兆1,069億円 1兆957億円 1兆1,551億円 1兆1,995億円
税引前利益率 9.4% 7.9% 7.8% 7.8% 8.1%
当期純利益 8,203億円 8,005億円 8,018億円 8,803億円 9,003億円
1株当たり当期純利益(円) 110.57 109.22 110.60 123.13 128.00

■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る


同社グループの従業員1人あたり収益は前期から増加しており、生産性が向上している傾向が見られます。従業員1人あたり税引前利益も前期から増加しており、収益性の改善がうかがえます。これらの指標の改善は、同社グループが効率的な事業運営を通じて、従業員一人ひとりの稼ぐ力を高めていることを示しています。

指標 2025年3月期 2026年3月期
従業員1人あたり収益(連結) 127.9百万円 129.4百万円
従業員1人あたり税引前利益(連結) 10.0百万円 10.5百万円

4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?


伊藤忠商事グループの財務状況は、安定した経営基盤と将来に向けた投資余力を示しています。本業で着実に資金を稼ぎ出し、その資金を効率的に活用している状況です。

■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み


同社グループの自己資本比率は39.4%となっており、非製造業のプライム市場平均(24.2%)と比較して高い水準を示しています。ROE(自己資本利益率)も14.6%と、プライム市場平均(9.4%)を上回る水準です。手元資金として現金及び現金同等物が5,938億円あり、財務基盤の安定性がうかがえます。これらの指標は、事業活動を支える強固な財務体質を示しており、安定した事業運営の基盤となっています。

指標 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
自己資本 5兆7,551億円 6兆5,900億円
自己資本比率 38.0% 39.4%
ROE(自己資本利益率) 15.7% 14.6%
現金及び現金同等物 5,496億円 5,938億円

■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ


同社グループのキャッシュフローは、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローが1兆1,318億円と前期から増加しました。これは、第8カンパニー、エネルギー・化学品カンパニー、食料カンパニーでの堅調な営業取引収入の推移や、機械カンパニー、金属カンパニーでの持分法投資からの配当金受取などが主な要因です。

投資活動によるキャッシュフローは△3,889億円と前期からマイナス幅が減少しています。機械カンパニーおよび第8カンパニーでの持分法投資の取得や、第8カンパニー、食料カンパニー、機械カンパニー、住生活カンパニーでの固定資産の取得があった一方で、C.P. Pokphand Co. Ltd.の売却による収入がありました。

財務活動によるキャッシュフローは△7,265億円と前期からマイナス幅が拡大しています。これは、配当金の支払いや自己株式の取得、リース負債の返済、株式会社デサントの追加取得があった一方で、社債および借入金による調達があったためです。

営業活動によるキャッシュフローが投資活動によるキャッシュフローを上回るフリーキャッシュフローは7,430億円と前期から増加しており、本業で安定的に資金を創出し、投資を賄った上で余剰資金を生み出している状況です。この資金の流れは、同社グループが安定した財務基盤を維持しつつ、将来の成長に向けた投資も継続していることを示しており、長期的な雇用安定性や給与安定性につながる基盤があると言えます。

項目 2025年3月期(前期) 2026年3月期(当期)
営業CF 9,973億円 1兆1,318億円
投資CF △5,163億円 △3,889億円
財務CF △5,250億円 △7,265億円
フリーCF(営業CF+投資CF) 4,810億円 7,430億円

■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント

① 継続企業の前提に関するリスク

継続企業の前提に関する特記事項はありません。

② 事業構造・収益性に関するリスク

同社グループは、広範な事業活動において、マクロ経済環境やビジネスモデルに関するリスクに直面しています。世界経済の動向、保護主義的貿易政策、技術革新、競合激化などが既存のビジネスモデルや競争力に影響を及ぼす可能性があります。

また、為替相場や商品市況の変動による市場リスクも存在します。輸出入取引や海外事業への投資において為替変動リスクにさらされるほか、金属資源・エネルギー開発事業では商品価格変動リスクも有しています。

③ 人材・組織に関するリスク

同社グループは、人材に関するリスクを認識しています。労働市場の流動化や特定分野での高度な人材ニーズの集中により、必要な人材の確保や育成が困難になる可能性があります。これにより、新規事業の創出や事業拡大の機会に十分対応できないリスクがあるとしています。

④ 雇用安定性・リストラ

解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。

5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?


伊藤忠商事は、創業の精神である「三方よし」を企業理念に掲げ、持続的な企業価値向上を目指しています。この理念のもと、社会課題の解決に貢献しながら事業を展開している会社です。

■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか


同社グループは、企業理念として「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」を創業の精神としています。自社の利益だけでなく、投資家や株主、取引先、社員をはじめとする周囲の様々なステークホルダーの期待と信頼に応えることで、社会課題の解決に貢献することを目指しています。

長期にわたる羅針盤として、経営方針「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」を定めています。この方針では、投資を通じた着実な収益成長、企業ブランド価値の向上、株主還元拡大の三本柱で企業価値の持続的な向上を目指すとしています。

■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー


同社グループは、企業理念「三方よし」の精神を継承し、企業行動指針「ひとりの商人、無数の使命」を体現する人材の確保・育成に努めています。全社員が「利は川下にあり」の考えに基づいてマーケティング力を磨き、世の中のニーズの変化を先取りすることが求められています。

また、強みである生活消費分野における消費者接点を活用し、全社員で「マーケットインの発想」のもと、市場・社会・生活者の声に耳を傾けることを重視しています。サステナビリティ推進基本方針では、企業行動指針「ひとりの商人、無数の使命」及び企業行動倫理規範に基づいて、持続可能な社会の実現に貢献することを掲げています。

「健康力向上」を「ひとりの商人、無数の使命」を果たす人材力強化の礎と考え、「伊藤忠健康憲章」を制定し、健康・安全に対する体制を構築しています。

■(3) 経営課題と今後の重点テーマ


同社グループは、サステナビリティ課題への対応を経営の重要課題の一つと認識しています。経営方針「The Brand-new Deal ~利は川下にあり~」のもと、「SDGsへの貢献・取組強化」に本業を通じて取り組んでいます。

企業ブランド価値の向上に向け、人的資本の強化、ステークホルダーとの対話強化、SDGsへの貢献・取組強化を主要施策としています。サステナビリティ推進基本方針では、マテリアリティの特定と社会課題の解決に資するビジネスの推進、社会との相互信頼づくり、持続可能なサプライチェーン・事業投資マネジメントの強化、サステナビリティ推進に向けた社員への教育・啓発を掲げています。

6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?


伊藤忠商事のコーポレート・ガバナンスは、意思決定の透明性を高め、監視・監督機能が適切に組み込まれた体制を目指しています。同社は監査役会設置会社として、経営の執行と監督の分離を促進し、社外取締役比率を3分の1以上に維持する方針です。

■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か


伊藤忠商事の株主構成を見ると、複数の機関投資家や信託銀行が上位に名を連ねています。筆頭株主は日本マスタートラスト信託銀行(信託口)であり、安定した資本構成を形成しています。特定の創業家や事業会社が突出して強い影響力を持つような構成ではありません。

株主名 持株比率
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 15.33%
STATE STREET BANK AND TRUST COMPANY 505104 10.11%
日本カストディ銀行(信託口) 5.21%

■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか


同社の役員は13名(男性9名・女性4名)で構成され、女性役員比率は30.8%です。代表取締役社長COOは石井敬太氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。

氏名 役職 主な経歴
岡藤 正広 代表取締役会長CEO 1974年4月 同社入社、2004年6月 同社常務取締役、2010年4月 同社取締役社長、2018年4月より現職。
石井 敬太 代表取締役社長COO (兼)CSO (兼)グループCEO オフィス長 1983年4月 同社入社、2014年4月 同社執行役員 化学品部門長、2021年6月 同社取締役社長、2026年4月より現職。
都梅 博之 代表取締役副社長執行役員 機械カンパニー プレジデント (兼)COO補佐 1982年4月 同社入社、2016年4月 同社常務執行役員 欧州総支配人、2022年6月 同社取締役 専務執行役員、2025年4月より現職。
中 宏之 代表取締役上席執行役員 CFO (兼)CXO 1987年4月 同社入社、2019年4月 同社執行役員、2022年6月 同社取締役 執行役員、2026年4月より現職。


社外取締役は、川名正敏氏(東京女子医科大学名誉教授・ガバナンス・指名・報酬委員会委員長)、中森真紀子氏(中森公認会計士事務所代表・女性活躍推進委員会委員長・ガバナンス・指名・報酬委員会委員)、石塚邦雄氏(元三越伊勢丹ホールディングス代表取締役会長執行役員・ガバナンス・指名・報酬委員会委員)、伊藤明子氏(元消費者庁長官・ガバナンス・指名・報酬委員会委員・女性活躍推進委員会委員)です。

同社は監査役会設置会社であり、社外監査役を含めた監査役による経営監視を重視しています。取締役会は社内取締役4名、社外取締役4名の計8名で構成され、社外取締役が客観的・中立的な立場から経営の監視・監督機能を果たしています。

■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計


伊藤忠商事の取締役報酬制度は、業績拡大と株価上昇へのインセンティブを目的として設計されています。総報酬に占める変動報酬(業績連動型賞与、株価連動型賞与、業績連動型株式報酬)の割合が高く設定されており、中長期的な企業価値向上への意識を強化する仕組みとなっています。株価連動型賞与や株式報酬は退任後に支給される設計です。

区分 人数 総額 1人あたり平均
取締役(社外除く) 6名 56.4億円 9.39億円
社外取締役 4名 93百万円 23.2百万円
監査役 2名 1.6億円 80.0百万円
うち社外監査役 3名 69百万円 23.0百万円


なお、総額には期中に退任した役員の報酬が含まれます。

個人別報酬が開示されている役員は、岡藤正広氏(19.84億円)、石井敬太氏(10.78億円)、小林文彦氏(7.52億円)、鉢村剛氏(7.43億円)、都梅博之氏(8.23億円)、中宏之氏(2.57億円)です。

※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。

この記事の執筆者

上場企業の有価証券報告書から、事業内容・業績推移・平均年収などの客観的データを抽出。求人票の裏側にある「企業のリアル」を、転職志望者の視点で分かりやすく解説します。


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