※本記事は、任天堂株式会社 の有価証券報告書(2026年3月期、2025年4月1日 ~ 2026年3月31日、2026年6月25日 提出)の開示情報に基づき作成しています。会計基準は 日本基準 です。
1. 企業概要:どんな会社?
任天堂は、ホームエンターテインメント分野で娯楽製品の開発、製造、販売を手掛けています。同社グループは、コンピューターを利用した「ゲーム専用機」のハードウェアとソフトウェアを主力とし、キャラクターグッズやトランプなども展開しています。
単体従業員数は3,084名、連結従業員数は8,666名です。同社グループは単一セグメントで事業を展開しています。
主な国内グループ会社は、任天堂販売(販売)、ニンテンドーキューブ(開発)などです。
2. 給与と働き方:どんな環境で働く会社か?
任天堂グループは、世界中の人々を笑顔にする娯楽を提供し続けることを目指しています。社員一人ひとりの成長とチームでの協働を重視し、ユニークで安心な娯楽を実現するための環境づくりに力を入れています。
■(1) 給与水準と在籍傾向:平均年間給与・勤続年数・年齢
同社では、社員が安心して仕事に取り組み、能力を最大限に発揮できる環境を重視しています。平均勤続年数や平均年齢から、比較的長く勤める社員が多い傾向が見られます。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 平均年間給与 | 9,824,708円 |
| 平均勤続年数 | 14.6年 |
| 平均年齢 | 40.5歳 |
| 単体従業員数 | 3,084人 |
| 連結従業員数 | 8,666人 |
| 単体のグループ内比率 | 35.6% |
同社グループは、確定給付型(給与や勤続年数に応じて給付額が決まる)と確定拠出型(会社が拠出した資金を従業員が運用する)の退職給付制度を設けています。これらの制度は国内グループ会社および海外子会社に適用されています。退職一時金制度もありますが、支給条件や金額の算定方法は有価証券報告書では確認できないため、就業規則や募集要項で確認する必要があります。
なお、確定給付制度における退職給付債務は772億円、年金資産は713億円となっています。また、確定拠出制度への当連結会計年度の要拠出額は6,731百万円です。
■(2) 人材戦略と報酬制度:育成方針と給与の決め方
同社グループは、「任天堂IPのファン拡大」と「長期間にわたるお客様との関係づくり」を指針とし、ユニークで安心な娯楽を提供し続けることを目指しています。この目標達成のため、独創・柔軟・誠実からなる「任天堂DNA」を基盤とした人材育成と社内環境整備に取り組んでいます。
人材育成においては、仕事上の経験を通じて個人の知識やスキルの専門性を高めるとともに、チームでの協働を促進することで社員の成長を最大限に促す方針です。また、給与や賞与の決定については、個人の資質や短期的な成果ではなく、日々の業務活動を通じて実際に現れた「発揮された能力の質と量」に応じた公正な報酬体系を基本方針としています。評価項目には任天堂DNAや個人の成長、チームでの協働の要素が組み込まれており、年1回の評価プロセスでは自己評価と上司からのフィードバックを通じて能力開発を支援しています。
社内環境整備では、社員一人ひとりが成長し、密接な協働ができるよう、社内コミュニケーションの促進と連携強化に努めています。さらに、社員が働き方やライフステージに応じて仕事と個人の生活のバランスを取れるよう、さまざまな支援制度の拡充を通じて安心して働き続けられる環境を整備しています。
■(3) 人的資本データ:多様性と働き方に関する指標
有価証券報告書の法定開示項目および任意開示指標を示します。各指標は、女性活躍推進法・育児介護休業法に基づく法定開示と、同社が独自に開示している任意指標から構成されています。
法定開示
提出会社単体の法定開示データです。男女の賃金の差異は、勤続年数や平均年齢の違いが主な要因であり、賃金や評価などの制度上の取り扱いに男女差はありません。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 管理職に占める女性労働者の割合 | 5.8% |
| 男性労働者の育児休業取得率 | 82.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 72.7% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 73.6% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 84.2% |
連結子会社の法定開示
主要事業会社3社の数値のみ掲載します。男女の賃金の差異は、勤続年数や平均年齢の違いが主な要因であり、賃金や評価などの制度上の取り扱いに男女差はありません。
▼ マリオクラブ
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 75.9% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 75.9% |
▼ モノリスソフト
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 男性労働者の育児休業取得率 | 100.0% |
| 労働者の男女の賃金の差異(全労働者) | 74.8% |
| 労働者の男女の賃金の差異(正規雇用労働者) | 72.3% |
| 労働者の男女の賃金の差異(パート・有期労働者) | 86.6% |
人材育成・エンゲージメント
同社では、個人の能力発揮、チームでの協働、上司への信頼の観点から年1回アンケートを実施しています。アンケートスコアは指標とせず、従業員が主体的にアンケートへ参加しているかを示す回答率を重要な指標としています。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| アンケート回答率 | 91.0% |
3. 事業の構造:どんなビジネスをしている会社か?
任天堂は、ホームエンターテインメントの分野で娯楽製品の開発、製造、販売を手掛ける企業です。主にゲーム専用機事業とIP関連事業を展開し、世界中の顧客に楽しさを提供しています。
■(1) 事業内容と収益モデル:何で利益を上げているか
同社グループは、コンピューターを利用した娯楽機器である「ゲーム専用機」のハードウェア及びソフトウェアの開発、製造、販売を主力事業としています。携帯ゲームやホームコンソールゲームのハードウェアとソフトウェアがこれに該当します。また、キャラクターグッズやトランプなどの製品も手掛けています。
さらに、映像コンテンツやモバイルアプリなどのIPを活用した事業も展開しており、多様な形で収益を得ています。同社グループの経営成績は、ヒット商品の有無やその規模によって大きく変動する傾向があります。主要製品であるゲーム専用機と対応するソフトウェアの売上割合の変動は、売上総利益に影響を与える要因となっています。
海外での売上割合は7割を超えており、そのほとんどが現地通貨で取引されています。為替レートの変動による影響を軽減するための取り組みは行われているものの、為替相場の変動が同社グループの業績に影響を与えるリスクがあります。会計上は単一セグメントとしていますが、製品・サービス別では「ゲーム専用機」と「IP関連収入等」に区分されます。当期は「ゲーム専用機」の売上が大きく増加した一方、「IP関連収入等」の売上は減少しました。
| セグメント | 売上高(2025年3月期) | 売上高(2026年3月期) |
|---|---|---|
| ゲーム専用機 | 1兆835億円 | 2兆2,395億円 |
| IP関連収入等 | 814億円 | 735億円 |
■(2) 業績トレンド:直近の売上・利益の推移
過去5期間の売上高は変動が見られますが、直近の当期は大幅な増加となりました。経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益も同様に、当期は大きく増加しています。ヒット商品の有無が業績に大きな影響を与える傾向があります。
| 項目 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 2025年3月期 | 2026年3月期 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1兆6,953億円 | 1兆6,017億円 | 1兆6,719億円 | 1兆1,649億円 | 2兆3,131億円 |
| 経常利益 | 6,708億円 | 6,011億円 | 6,805億円 | 3,723億円 | 5,422億円 |
| 経常利益率 | 39.6% | 37.5% | 40.7% | 32.0% | 23.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 4,777億円 | 4,328億円 | 4,906億円 | 2,788億円 | 4,241億円 |
| 1株当たり当期純利益(円) | 404.67 | 371.41 | 421.39 | 239.47 | 364.51 |
■(3) 収益性と生産性:1人あたりの稼ぐ力を見る
連結従業員1人あたりの売上高は、前期と比較して当期に大きく増加しました。また、連結従業員1人あたりの営業利益も、前期から当期にかけて増加傾向を示しています。これらの指標の改善は、同社グループの事業規模拡大と効率性の向上が進んでいることを示唆しています。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 従業員1人あたり売上高(連結) | 142.0百万円 | 266.9百万円 |
| 従業員1人あたり営業利益(連結) | 34.4百万円 | 41.6百万円 |
4. 経営の安定性:どれくらい安心して働けそうか?
同社グループの財務状況は、安定した経営基盤と将来に向けた投資余力を示しています。本業で得た資金を効率的に活用し、堅実な成長を続けていることがうかがえます。
■(1) 財務基盤:自己資本と手元資金の厚み
同社グループは、強固な財務基盤を構築しています。自己資本比率はプライム市場の製造業平均を大きく上回る水準で推移しており、安定した経営体制を示しています。ROE(自己資本利益率)もプライム市場平均を上回る水準で、効率的な資本活用ができていることがうかがえます。手元資金も潤沢に確保されており、不測の事態にも対応できる財務的な余裕がある状態です。これらの財務状況は、入社後の雇用や給与の安定性にもつながる要素と言えます。
| 指標 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 純資産 | 2兆7,254億円 | 2兆9,552億円 |
| 自己資本比率 | 80.2% | 77.6% |
| ROE(自己資本利益率) | 10.5% | 14.9% |
| 現金及び預金 | 1兆5,863億円 | 1兆7,918億円 |
■(2) キャッシュフロー:事業・投資・財務の資金の流れ
同社グループのキャッシュフローを見ると、本業の稼ぎを示す営業活動によるキャッシュフローは、当期に2,898億円の増加となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上によるものです。投資活動によるキャッシュフローは、定期預金の預入や有価証券の取得による支出が収入を上回ったことにより、当期は△2,101億円の減少となりました。前期は有価証券の売却等により7,531億円の増加でしたが、当期は投資を活発に行っている状況を示しています。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いや自己株式の取得による支出により、当期は△2,497億円の減少となりました。結果として、フリーキャッシュフローは当期797億円のプラスとなっており、本業で得た資金で投資を行いながらも、自由に使える資金を生み出している優良な状態です。この資金の流れは、同社グループが安定した事業運営を継続し、将来の成長に向けた投資も行える財務的な強さを持っていることを示しており、雇用や給与の安定性にもつながると考えられます。
| 項目 | 2025年3月期(前期) | 2026年3月期(当期) |
|---|---|---|
| 営業CF | 121億円 | 2,898億円 |
| 投資CF | 7,531億円 | △2,101億円 |
| 財務CF | △1,951億円 | △2,497億円 |
| フリーCF(営業CF+投資CF) | 7,651億円 | 797億円 |
■(3) 事業リスクと雇用への影響:転職時に押さえたいポイント
① 継続企業の前提に関するリスク
継続企業の前提に関する特記事項はありません。
② 事業構造・収益性に関するリスク
同社グループは、全世界で製品を販売しており、海外売上割合が7割を超えています。そのため、為替レートが大幅に変動した場合、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ゲーム業界は他の娯楽との競争が激しく、技術革新やお客様の嗜好の変化に対応できない場合、経営成績に影響を与えるリスクがあります。
③ 人材・組織に関するリスク
同社グループはグローバルに事業を展開しており、国内外での事業活動において、人材の採用と確保の困難がリスクとして挙げられています。
④ 雇用安定性・リストラ
解雇給付・リストラクチャリング引当金・構造改革費用の計上など、該当する記載はありません。
5. ビジョンと企業風土:どんな組織を目指している会社か?
任天堂グループは、娯楽を通じて世界中の人々を笑顔にすることを目指し、新しい楽しさと面白さを持った娯楽の創造を追求しています。健全な企業経営を維持しながら、お客様にこれまでにない体験を提供することを重視している会社です。
■(1) 経営理念とビジョン:会社はどこを目指しているか
任天堂グループの経営の基本方針は、娯楽を通じて人々を笑顔にすることです。健全な企業経営を維持しつつ、新しい娯楽の創造を目指しています。
世界中のお客様へ、かつて経験したことのない楽しさ、面白さを持った娯楽を提供することを最も重視しています。
同社グループは、独創的な楽しさを追求し、ご家族が安心して楽しめる娯楽を提供することで、「ユニークで安心な娯楽として任天堂を選んでいただく」ことを目指しています。「任天堂IPのファン拡大」と「長期間にわたるお客様との関係づくり」を指針とし、世代を超えて末長く続く関係を築くことを目標としています。
■(2) 企業風土:大切にしている価値観とカルチャー
任天堂グループは、「任天堂に関わるすべての人を笑顔にする」ことをサステナビリティ活動の目標としています。グループ全体で連携しながら、サステナビリティ活動の推進に努めています。
「お客様」「サプライチェーン」「社員」「環境」の4つをサステナビリティ重点項目としており、これらを通じて企業の社会的責任を果たすことを重視しています。
具体的には、安全性と娯楽体験を両立した高品質な製品提供、CSR調達活動の推進、社員の多様な能力発揮を可能にする職場環境づくり、環境負荷低減への取り組みなどを行っています。「任天堂IPのファン拡大」と「長期間にわたるお客様との関係づくり」という2つの指針に基づき、一つひとつの商品やサービスの開発に丁寧に取り組む姿勢がうかがえます。
■(3) 経営課題と今後の重点テーマ
任天堂グループは、お客様が求める娯楽の多様化や技術の進歩、競争の激化といった市場環境の変化に直面しています。
このような状況に対応するため、開発体制の強化、人材育成、開発効率の向上に優先的に取り組むことを課題としています。
また、研究開発や広告宣伝活動、設備投資などの事業基盤への投資を実施し、中長期的な企業価値の向上を目指しています。
6. 経営体制とガバナンス:誰がどう会社を動かしているか?
同社は監査等委員会設置会社であり、取締役会の監督機能の強化と、業務執行機能の分離による機動的な経営体制の構築を目指しています。執行役員制度も導入し、業務執行における責任の所在を明確にしています。
■(1) 株主構成:誰に支えられている会社か
同社の株主構成を見ると、信託銀行が上位に名を連ねており、安定的な資本構成を示しています。複数の信託銀行が上位株主として存在していることが特徴です。
| 株主名 | 持株比率 |
|---|---|
| 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 16.05% |
| 日本カストディ銀行(信託口) | 5.02% |
| ジェーピー モルガン チェース バンク 380752 | 3.75% |
■(2) 経営陣の経歴:どんな人たちが会社を率いているか
同社の役員は14名(男性10名・女性4名)で構成され、女性役員比率は28.6%です。代表取締役社長は古川俊太郎氏が務めています。社外取締役比率は50.0%です。
| 氏名 | 役職 | 主な経歴 |
|---|---|---|
| 古川 俊太郎 | 代表取締役社長 | 1994年4月同社入社、2015年7月経営企画室長、2016年6月取締役就任、2018年6月より現職。 |
| 宮本 茂 | 代表取締役フェロー | 1977年4月同社入社、2000年6月取締役就任、2002年5月代表取締役就任、2015年9月より現職。 |
| 高橋 伸也 | 取締役専務執行役員 企画制作本部 統括本部長 | 1989年4月同社入社、2013年6月取締役就任、2018年6月専務執行役員就任、2023年7月より現職。 |
| 柴田 聡 | 取締役常務執行役員 営業本部 統括本部長 業務本部長 | 1985年4月同社入社、2018年6月取締役就任、2022年6月常務執行役員就任、2023年7月より現職。 |
| 塩田 興 | 取締役上席執行役員 技術開発本部長 | 1992年4月同社入社、2015年9月技術開発本部長、2017年6月取締役就任、上席執行役員就任、2023年7月より現職。 |
| 別府 裕介 | 取締役上席執行役員 経営企画室長 | 2001年5月同社入社、2022年7月経営企画室長、2023年6月上席執行役員就任、2024年6月より現職。 |
社外取締役は、Chris Meledandri氏(Illumination Entertainment CEO)、Miyoko Demay氏(Tiffany & Co. Senior Executive of Luxury Strategy & Operations)、八谷和彦氏(東京藝術大学 大学院映像研究科 ゲーム・インタラクティブアート専攻 教授)、梅山克啓氏(梅山公認会計士事務所 代表・監査等委員)、新川麻氏(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー・監査等委員)、大澤栄子氏(大澤公認会計士事務所 代表・監査等委員)、明石敬子氏(明石敬子税理士事務所 代表・監査等委員)です。
同社は監査等委員会設置会社制度を採用しており、取締役会の監督機能を強化しています。社外取締役は、企業経営者、エンターテインメント分野、美術分野、企業会計・税務、企業法務の専門家で構成され、客観的な立場から経営への助言と監督を行っています。
■(3) 役員報酬の仕組み:経営責任とインセンティブの設計
同社の役員報酬は、取締役(監査等委員を除く)に対しては固定報酬、業績連動報酬、株式報酬で構成されています。社外取締役および監査等委員の報酬は、業務執行を行わない立場を考慮し、固定報酬のみで構成されています。
| 区分 | 人数 | 総額 | 1人あたり平均 |
|---|---|---|---|
| 取締役(監査等委員及び社外除く) | 6名 | 10.7億円 | 1.79億円 |
| 監査等委員(社外除く) | 1名 | 32百万円 | 32.0百万円 |
| 社外役員 | 7名 | 68百万円 | 9.7百万円 |
なお、使用人兼務取締役に対して支払われた使用人給与額は、上記の報酬総額には含められていません。
個人別報酬が開示されている役員は、古川俊太郎氏(3.18億円)、宮本茂氏(2.46億円)、高橋伸也氏(1.86億円)、柴田聡氏(1.64億円)です。
※本記事は、有価証券報告書などの公開情報から、転職・就職活動に役立つ情報をまとめたものです。内容の充実に努めていますが、掲載時点の情報であることをご留意ください。気になる点やご指摘があればお気軽にお知らせください。



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