2021年06月21日
自動車部品メーカーとして世界的なシェアを持つ日立オートモティブシステムズへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
2009年に、親会社である日立製作所から分社化し設立された日立オートモティブシステムズ(以下「日立AMS」)。現在は国内だけでなく、世界的な規模でメカトロニクス制御技術を中心とした自動車部品の開発と提供をしています。
社員の口コミには「大企業ゆえの典型的な年功序列」「昔ながらの企業体制」との意見が見られます。そういった点に「ゆったりさ」を感じる人もいれば、「企画をひとつ通すにも、根回しや手続きが多くスピード感がない」と不満の声も。3社が合併して設立された会社のため、派閥の壁に手を焼いたり、自動車部品生産の面でまだ技術が確立されていないという声も聞かれます。
一方では、「自分の開発した部品が形になるのが嬉しい」「若手にもチャンスを与えてくれるため、やりがいを感じる」といった好意的な意見もあります。そして2018年に経営者が変わったことで既存事業の見直しを含めた事業再編が始まり、良い方向へ転換するのではという口コミも。さらに、海外へ移管予定の事業もあり、今後海外勤務が増加しそうな気配から、「世界各地で自分の技術を発揮し社会に貢献していきたい」と考える人には、魅力のある職場環境といえるでしょう。日立グループという大企業ならではの福利厚生・教育制度の充実をあげている声も聞かれます。
企業理念には「人・クルマ・社会をつなげ新たな価値を創出する」と記されていることから、「進化を続ける車社会へ向けて自分の知識と技術を生かしたい」「新しい分野にも積極的に取り組み、社会貢献をしたい」といった人材が求められているといえます。面接では、このような企業風土にマッチしているかを見定められます。
私たちは、「人・クルマ・社会」に新たな価値を創造し、
豊かな社会の実現に貢献します。
日立オートモティブシステムズ株式会社 企業理念・事業分野サイトより
日立AMSの選考プロセスは、書類選考後に1〜3回の面接を経て採用となります。面接官は、部長、管理部門、現場社員となり、選考期間はおおむね1週間から1ヶ月程度を要します。
現在のキャリア採用部署は、コーポレートサイトによると「パワートレイン&セーフティシステム事業部」「ソフトウエア事業部」「管理部門」「ステアリング事業部」となっており、この他にも「キャリアマッチングエントリー」として登録する制度もあります。
また、それぞれの部署で募集職種が細分化されており、必要な資格、勤務地なども異なりますので、事前に確認をしておきましょう。
なお、「新卒採用」のサイトとはなりますが、技術本部長や社員のインタビュー、同社の仕事内容についての掲載もありますので、併せて目を通し雰囲気を掴んでおくのも良いでしょう。
志望動機、職歴、入社後のビジョンなど、ごく一般的な質問をされる傾向にあるようです。口コミによると、高圧的な雰囲気や意表をつくような質問もなく、穏やかに進むという声が聞かれます。
職歴については、「前職で担当していた業務内容などの、具体的な説明を求められた」との意見がありますので、しっかりとした回答ができるよう事前に整理しておくことが必要です。
「社風への理解」の項で述べましたが、同社は事業の一部を海外へ移管する方針にあるとともに、現在も世界各国に多くのグループ会社を持つことから、「海外勤務への興味・経験があるか」「英語が話せるか」との質問もされるようです。それらが採用可否に即つながるとは限りませんが、自己アピールという点においては重要な要素となりますので、意識しておくとよいでしょう。
以上を踏まえた上で、次項からは面接の攻略法を紹介していきます。
日立AMSの面接を受ける際に重要となるのは、同社の中期経営計画をしっかりと理解し把握しておくことです。どのような方針であるかを読み解き、分析しておきましょう。
現在の自動車業界を取り巻く状況は、車のさらなる安全性・快適性の向上が求められていることにくわえ、「電動化」「自動運転」への変革が急激な早さで進んでいます。そうした中、同社はノンコア業務を売却、その利益をメインである事業へと活用し、強化を図るとしています。これは、今までに携わった分野を全方位的に継続するのはコスト面で難しいと判断し、得意分野である「車両制御システム」へリソースを割く方針となります。さらに戦略的提携とM&Aで、その業務における世界シェアの拡大を目標としています。
日立オートモティブシステムズ株式会社 IR資料サイトより
コーポレートサイトには「世界中の自動車の進化に貢献する」と記されています。「走る」「曲がる」「止まる」といった自動車の根幹である制御システムは、今後の車社会がどのような進化を遂げたとしても、必要となる部分です。そのような分野において「自らが開発・製造した部品で世の中の役に立ちたい」といった意欲を強く持てるかが自己アピールにつながります。こうした中期経営計画を理解し、面接前にしっかりと対策をしておきましょう。
同社の面接においては、「なぜ日立AMSを選んだのか」という質問をされることがあります。これは、「入社後のビジョンを持っているか」「これまでの経歴が当社にどのような利益をもたらすか」といった点を面接官が見るだけではなく、「当社について本当に理解しているのか」を見極めているといえます。
業界および職種理解の枠のみにとらわれることなく、日立AMSという企業の理念、社風、経営戦略もしっかりと把握する。そのためには、比較対象になりやすい他企業を知り、研究していかなければいけません。一例として以下の企業をピックアップしますので、研究の参考にするとよいでしょう。
日立AMSの採用面接を受ける前には、中期経営計画に基づいた自己分析や、他社研究を踏まえた志望動機の整理が重要です。そして面接の場では、「車社会に新たな価値を創造し、社会貢献していく」という社風を意識し、「自らの知識と技術を駆使し、製品開発にあたっていきたい」ということを印象づけられるよう、数多くのエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接を受けた方が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらを把握した上で、こういった問いにはどう回答するのが最善なのかをシミュレーションしてみてください。
日立AMSの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
「進化を続ける車社会へ向け、新たな価値を生み出し社会貢献につなげる」という社風を意識して、これにマッチした人材ということをアピールする。日立AMSの中期経営計画を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。競合他社についても研究し、「なぜ日立AMSなのか」に対する答えを明確にしておく。以上についてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。この記事の執筆者