2021年06月21日
発電や電力卸を手がける電源開発(J-POWER)への転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。
1952年、電源開発促進法により国の特殊会社として設立された電源開発(以下、J-POWER)。戦後の電力不足を解消するため、各地に大規模な水力発電所や火力発電所を建設し、電気の安定供給に寄与してきました。設立から半世紀を経た2003年に法律が廃止され、翌2004年に東証一部上場と完全民営化を果たしました。民営化後は「人々の求めるエネルギーを不断に提供し、日本と世界の持続可能な発展に貢献する」という理念のもと、発電所で電気をつくり、東京電力など全国の電力会社への卸売りをおこなっています。
そんなJ-POWERの口コミには、「年功序列」「不公正なことがない」「チームワークがよく、クリアーな環境」などのコメントが並び、その社風は「保守的で堅実」であるようです。また、電力供給という仕事に対しては、「インフラ企業のスケールの大きさを感じ取ることができる」という声が聞かれ、多くの社員が誇りとやりがいを持って向き合っていることがうかがえます。仕事以外にも、事業所ごとのクラブ活動やレクリエーションなどが盛んで、「古き良き日本企業を感じることができる」風土のようです。
同社は、全国に発電設備を保有するために全国転勤が多く、山間部などのへき地勤務となる場合もあります。そのため、「日本中どこでも寮・社宅完備」といった多数の口コミからもわかるように、全国各地の事業所には寮・社宅が用意され、通勤可能な範囲に持ち家などがない場合には入居が可能です。面接では、転勤の可否について確認されることが多いので、自身のキャリアビジョンや家族の状況等を踏まえ、クリアに答えられるようにしておきましょう。
総じて、「保守的で堅実」な社風が特徴のJ-POWER。面接にあたっては、こうした社風や同社の歴史を理解し、国のインフラを支える仕事に誇りを持って向き合える人材であることを伝えられるとよいでしょう。
2020年3月現在、事務系グローバル社員と技術系グローバル社員の募集がおこなわれています。グローバル社員とはいわゆる総合職にあたるものです。
選考フローは、事務系グローバル社員の場合、書類選考→筆記試験・面接試験(3回)→内定・処遇条件説明・雇入時健康診断→入社となります。技術系グローバル社員の場合には、面接に加えて健康診断(色覚検査・問診)が実施されます。書類選考の結果は、1ヶ月以内に通過者のみに連絡が届きます。応募から内定までの期間は1ヶ月以上をみておいた方がよいでしょう。
なお、応募書類については郵送のみの受付となっていますので注意してください。
「志望動機」などの一般的な質問に加え、全国転勤や山間部などのへき地勤務に対する意思を確認されます。この質問に関しては、面接の場でクリアに答えられるようにしておかなければなりません。
また、「原発についてどう思うか」といった質問もよく出るようです。原子力発電に限らず、同社が手がける水力発電や石炭火力発電のほか、風力発電や地熱発電といった再生可能エネルギーの開発に至るまで、その特徴について理解し、メリット・デメリット等を整理しておく必要があります。そのうえで、自分の意見を述べられるようにしておきましょう。
昨今、日本のエネルギー業界を取り巻く環境は大きく変化しています。電力自由化、原子力政策の見直し、地球温暖化に伴うエネルギー政策の見直しなどに対し、「企業はどうあるべきか?」「そのために自分は何ができるか?」という視点を持って、企業研究と自己分析を進めてみるとよいでしょう。
J-POWERでは、2015年から2025年に向けた中期経営計画を策定しています。対象期間が10年間となっているのは、発電事業の成長サイクルが、計画立案から環境アセスメントを経て建設投資に要する期間を見込むと、最短でも約10年を要するためです。
この計画の基本方針は次の3つです。
①自由化が進展する国内市場で更なる成長の基盤を構築し、コスト競争力を武器に競争に勝ち残る発電事業者となる
②世界各地域のエネルギー事情を踏まえ、その持続可能な発展に貢献する海外発電事業を成長させる
③気候変動対策に適応すべく石炭火力の更なる低炭素化に向けた技術開発を加速し、石炭火力発電におけるリーディングカンパニーとして国内外での事業展開を図る
J-POWER 中期経営計画資料より
こうした基本方針を軸に、「石炭利用のゼロエミッション化への挑戦」「再生可能エネルギーの更なる拡大」「安全を大前提とした大間原子力計画の推進」「海外事業の拡大」「既設設備の価値最大化」といった取り組みを進めていくとしています。
同社の民営化後、業界を取り巻く外部環境は大きく変化しました。その変化のスピードが速まっていく中で、持続的な成長のためにどの分野で自分の価値を発揮できるのかを考えながら自己分析を進める必要があるでしょう。
J-POWER 中期経営計画資料より
面接では、「なぜJ-POWERか」という質問に説得力をもって答える必要があります。この質問には「応募者がどんな仕事をしたいのか」「それがここで実現できるのか」を確かめる目的もありますが、応募者がしっかりと企業研究したうえで応募しているかを確認する意図もあります。その業界や職種の魅力だけでなく、J-POWERでしか実現できないことを見つけ出し、訴求することが大切です。
そのためには、以下のような競業他社についても研究をおこなったうえで、「なぜJ-POWERか」について語れるようにしておきましょう。
●東京電力ホールディングス株式会社
●関西電力株式会社
●中部電力株式会社
●株式会社JERA
J-POWERが目指している方向性や、どういった人材が求められているのかが分かってきたのではないでしょうか。
J-POWERの場合、国策会社として設立されたという特殊な経緯があります。そのためか、社風は堅く保守的で、社員は皆、国のインフラを支えているという自負のもと仕事に取り組んでいます。面接にあたっては、そうした誇りや情熱を持って臨みたいところです。
また、地球温暖化や原発に対する意識の変化などから、中期経営計画では大胆な取り組みを提示しています。こうした取り組みをしっかりと理解し、自分がどの分野で貢献できるのかを整理してみてください。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
J-POWERの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●J-POWERの歴史と「保守的で堅実」な社風を理解し、国のインフラを支える仕事に誇りを持って向き合える人材であることを伝える。
●中期経営計画を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についての理解を深め、「なぜJ-POWERか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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