電源開発の転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

電源開発の転職研究 2026年3月期3Q決算に見るキャリア機会

電源開発の2026年3月期3Q決算は、三菱重工の国内風力事業譲受や豪Genex社の連結化など、再エネへの大胆な構造転換が加速しています。北米資産売却益により経常利益は早くも通期予想を超過。変革期を迎えたJ-POWERで、転職希望者がどのような役割を担えるのか、最新の事業戦略から紐解きます。


0 編集部が注目した重点ポイント

三菱重工の国内風力事業譲受へ協議を開始

J-POWERは三菱重工業の国内陸上風力発電事業を譲り受けるべく基本合意し、協議を開始しました。40年以上の歴史を持つ三菱重工の風車技術を統合することで、保守コストの低減や既存設備の更新効率化を狙います。風力発電のスペシャリストにとって、国内最大級のアセットを背景にした新たなビジネスモデル展開に関与できるキャリア機会が拡大しています。

豪州Genex社を完全子会社化し再エネ事業を強化

2024年7月31日に豪州の再生可能エネルギー企業Genex Power Limitedを連結子会社化(100%取得)しました。これにより、海外での揚水発電や太陽光発電のプロジェクト開発が加速します。グローバル展開を志向するエンジニアや事業開発担当者にとって、2.3GWに及ぶ豊富な開発パイプライン(今後着手予定の案件群)は非常に魅力的なフィールドとなるでしょう。

北米火力権益の売却益で経常利益が通期予想を超過

戦略的な資産入れ替えの一環として、北米ガス火力発電事業の権益を譲渡したことにより、当第3四半期累計で大幅な売却益を計上しました。経常利益は1,314億円に達し、早くも当初の通期予想(1,190億円)を超過しています。獲得した資金を次なる再エネ投資へ振り向ける「循環型投資」が実効性を帯びており、経営のスピード感が向上しています。

1 連結業績ハイライト

売上高は減少したものの、資産売却益を背景に利益面では通期計画を前倒しで達成する非常に力強い進捗を見せています。
連結決算概要

出典:2026年3月期 第3四半期決算説明資料 P.5

売上高 8,645億円 (前年同期比 Δ9.8%)
経常利益 1,314億円 (+5.1%)
四半期純利益 840億円 (+5.4%)

売上高は、松島火力発電所の休廃止に伴う販売電力量の減少やタイでの販売減により、前年同期比で約944億円の減収となりました。営業利益も260億円の減益(882億円)となっていますが、これは設備保全コストや人件費(退職給付数理差異償却による増加等)の上昇、および容量市場価格の下落が主な要因です。

一方で経常利益は増益を確保しました。これは海外事業における持分法投資利益が前年同期の94億円から565億円へ急増したためです。この背景には、戦略的なポートフォリオ入れ替えによる北米ガス火力権益の売却益計上があります。

当第3四半期末時点での経常利益(1,314億円)は、当初発表の通期予想(1,190億円)に対して進捗率110.4%となり、既に年間目標を達成しています。業績の進捗状況は極めて好調と評価できます。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

石炭火力中心から「再生可能エネルギーとネットワーク」を軸とした構造転換が進み、全セグメントで新しい専門性が求められています。
セグメント別利益推移

出典:2026年3月期 第3四半期決算説明資料 P.9

発電事業

事業内容:国内での水力、火力、風力、地熱・太陽光等の発電事業および保守運営。

業績推移:経常利益は398億円(前年同期比 Δ37.3%)。修繕費増加や火力休廃止が影響。

注目ポイント:松島火力発電所などの既存設備を水素製造・利用が可能な設備へ転換する「GENESIS松島」プロジェクトが始動しています。旧来の技術をアップサイクルするためのプラントエンジニアや、再エネアグリゲーション技術を持つIT人材の需要が高まっています。

注目職種:プラント設計、保全エンジニア、電力システム開発、DX推進

送変電事業

事業内容:J-POWER送変電による地域間連系線などの電力託送事業および系統運用。

業績推移:経常利益は66億円(前年同期比 Δ16.8%)。託送利益の減少等が主因。

注目ポイント:再エネの大量導入を支えるため、北海道〜本州間や中国〜九州間をつなぐ「地域間連系線」の増強建替という国家級プロジェクトが進行中です。系統安定化技術や大規模インフラの施工管理経験者が切望されています。

注目職種:送電設備設計、土木施工管理、電力系統解析、広域インフラ計画

海外事業

事業内容:タイ、米国、豪州等での発電事業開発およびコンサルティング。

業績推移:経常利益は746億円(前年同期比 +131.9%)。米国資産売却益が大きく貢献。

注目ポイント:北米での権益売却の一方で、豪州Genex社の買収やオマーンでの大規模グリーン水素事業など、非化石電源へのポートフォリオ転換が急速に進んでいます。国際的なM&Aやプロジェクトファイナンスの知見を持つ人材には最高の舞台です。

注目職種:海外事業開発、海外M&A、プロジェクトファイナンス、英文契約法務

電力周辺関連事業・その他の事業

事業内容:石炭調達・販売、情報通信、環境関連等の周辺事業。

業績推移:経常利益は97億円(前年同期比 Δ54.8%)。石炭販売価格の低下が影響。

注目ポイント:国内トップランナーとして「九州西部沖CCS(二酸化炭素回収・貯留)事業」に参画するなど、エネルギー商社としての枠を超えた環境ビジネスへのシフトが鮮明です。新規事業開発や環境コンサルティングのスキルが活かせる領域です。

注目職種:環境コンサルタント、新規事業開発、サプライチェーン管理

3 今後の見通しと採用の注目点

カーボンニュートラル実現に向けた巨額投資が続いており、既存の電力会社の枠に収まらない「エネルギー変革者」への進化を掲げています。
再生可能エネルギー開発計画

出典:2026年3月期 第3四半期決算説明資料 P.16

J-POWERは2030年度までに国内の再生可能エネルギー発電量を年間+40億kWh(2022年度比)に増大させる目標を掲げています。北九州響灘洋上風力(2025年度運転開始予定)や秋田県での洋上風力開発など、大規模な開発案件が目白押しです。

投資キャッシュフローは年間1,650億円〜2,000億円規模で推移しており、その多くを再エネや電力ネットワーク、火力のトランジション(移行)に充てています。これだけの巨額投資を継続的にマネジメントし、事業化を推進できるプロジェクトマネージャー人材のニーズは極めて切実です。

また、従来の安定配当を維持しつつ自己株式の取得(約156億円)を行うなど、資本効率への意識も高まっています。インフラ企業としての「安定性」と、脱炭素という未踏の領域に挑む「変革性」が共存する現在のフェーズは、キャリアの質的転換を求めるプロフェッショナルにとって稀有なタイミングと言えるでしょう。

4 求職者へのアドバイス

HINT

志望動機のヒント

「安定したインフラ企業」という志望動機は今のJ-POWERには不十分かもしれません。三菱重工の風力事業譲受や豪Genex社の連結化に見られる「再エネへの大胆なポートフォリオ転換」への共感と、そこで自身の専門スキル(プラント更新、海外M&A、IT/DX等)をどう活かし、日本のエネルギーセキュリティと脱炭素のジレンマを解消したいかを語ることが重要です。

Q&A

面接での逆質問例

  • 「三菱重工の国内風力事業譲受において、現場のPMI(統合プロセス)で現在最も注力されている課題は何ですか?」
  • 「GENESIS松島のような既存火力のアップサイクル事業において、中途採用者が最初に期待される役割を教えてください。」
  • 「海外事業の資産売却益を再投資に回すアセットライトな戦略において、事業開発担当者にはどのような財務リテラシーが求められますか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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正確性が重要視される

仕事のスピード感はあまりない。周りの上司たちも同じような感じで、スピード感よりも、正確性が重要視される。

(20代前半・総務・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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可処分所得は多めで生活には苦労しない

寮に住むことができ、その分の家賃代を浮かせることができた。そのため、可処分所得は多めで、生活には苦労しない。また、カフェテリアプランも有効に使える。

(20代前半・総務・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 電源開発株式会社 2026年3月期 第3四半期決算説明資料(2026年1月30日公開)
  • 電源開発株式会社 2026年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)

この記事の執筆者

2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。


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