2021年06月21日
火災報知器や警報器など、防災機器を扱い100年の歴史を誇る総合防災企業、ホーチキへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われる他、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策しましょう。
大正7(1918)年、日本初の防災メーカーとして創業したホーチキ。「人命と財産を守り、社会に貢献する」を使命に、火災報知器や消火・防災設備を手がけてきました。機器導入にあたってのコンサルティングから、設置後のメンテナンスまでトータルで提供する同社の防災機器やシステムは、東京ドームや国会議事堂など日本有数のランドマークをはじめ、住宅、オフィスとあらゆる場所で活躍しています。国土条件や度重なる震災などの歴史から高い防災意識を持つ日本において、必要不可欠なものを扱うホーチキ。口コミからは、どのような社風が見えてくるのでしょうか。
職種によっては残業に対する不満の声も散見される中、「給与やボーナスは比較的良い方だと思う」「手当が充実している」など待遇に関しては満足している社員が多いようです。さらに「消防法により守られているため、安定感がある」「急成長はなくとも、社会に必要とされている会社らしい地道さがある」など、マーケットの特性と100年の歴史に裏付けられた業界での地位を理由に、会社の安定感に言及する口コミが多く見受けられました。
また「営業第一の体育会系」「体力と元気がある人に合っている」「主に建設業者が取引先となるため、営業や工事を担当する社員は不規則な勤務が多い」など、特に販売や施工を担う部門ではパワフルさが求められるようです。
ホーチキ コーポレートサイトより
2020年4月現在、ホーチキでは中途採用を募集しています。火災報知器やセキュリティシステムの生産技術、施工管理、メンテナンスの各部門で求人をおこなっており、配属は選考の中で決定するようです。
選考の内容は、エントリーシート選考、適性検査、2回の面接となっています。口コミによると、一次面接の面接官は部門の管理職、二次面接は人事の課長や部長など役員クラスとのこと。まずは、詳しい情報が公開されているコーポレートサイトのキャリア採用ページを確認し、ウェブからエントリーシートを提出しましょう。
エントリーシート選考の結果は1~2週間以内に通知されます。内定まではトータルで約1ヵ月を要するようです。
面接経験者の口コミによると、ホーチキの面接では「業界の動向は」「業界の今後をどう考えるか」などの質問をされたとのこと。これには、防災関連業界に関する関心や洞察力の度合いを確かめる狙いがありそうです。競合が少ないニッチなマーケットという特性と、同社の立ち位置をよく把握しておく必要があります。加えて「会社の業績を知っているか」という質問もあったことから、財政状況への理解度も問われる面接であることを念頭に置き、製品やサービスに関する情報のみならず、コーポレートサイトのIR情報にも細かく目を通すことをおすすめします。同社の財務関連情報を収集し、自分なりに考察を深めておくことが面接突破の鍵となるかもしれません。
また、志望動機や職務経歴、仕事観といった基本的なことの他に、休暇の過ごし方、趣味などを聞かれたという口コミも。こうしたカジュアルな質問により、人柄やものごとに対する姿勢などを垣間見ようとする意図がうかがえます。回答する際には自分の信念や一生懸命取り組んでいることを自信を持って述べ、仕事でもパワフルに活躍できる人材であることを印象付けたいところです。
採用面接を受けるにあたって、ホーチキがポスト2020年を見据え推進している「VISION 2020 New Stage」を理解しておきましょう。これは、創立100周年を迎えた2018年度を起点に策定した3ヵ年の中期経営計画です。
2021年3月期までの3年間で売上高を105億円、営業利益を29億円伸ばすことを目標としています。そしてこの目標を実現すべく4つの施策を挙げています。
ホーチキ コーポレートサイトより「中期経営計画 中期グループビジョン」
まずは、土台としての国内事業の強化です。継続・更新案件の需要の確実な取り込みと、新規営業強化の両輪で現在の基盤を強化していきます。またセキュリティ事業に経営資源を割くことやアライアンスの提携などもこの一環に挙げられています。2つ目は海外事業の拡充です。2019年3月時点の海外拠点数が14ヵ所、販売国数が129ヵ国と広い海外流通網を持つ同社。これまで火災報知器を中心としていた供給の領域を広げ、地域ごとのニーズに見合う最適な事業体制の整備を推進するとしています。3つ目は、すべての事業分野における基礎研究の強化と高付加価値製品の創出です。高品質な製品を同社の持つトータルサポート力で市場へ浸透さる流れを構築していきます。4つ目は、人材、資本効率の観点から総合的に企業価値の向上を図り、経営基盤を強固なものとしていくことです。
安定した市場にも、競合の新規参入や世界情勢など変化の要素は常日頃から存在しています。人命と財産を守るという大きな使命があることを前提として、市場の動向を敏感にキャッチし、顧客の細かなニーズを満たすための企業努力が求められています。採用面接にはこうした同社のビジョンと課題を十分に理解した上で臨み、会社の一員として使命を果たしていける人材であることをアピールしましょう。
採用面接に向けては「なぜホーチキなのか」という質問に対する明確な答えを準備しておくことが大切です。面接官は、「この人は何をしたいのか」「その上でなぜ当社を希望するのか」という志望動機と社の方向性との整合性を確認することに加え、「当社をどれくらい理解しているか」を確かめようとしています。「なぜ当社でなければいけないのか」という質問への回答は多くの面接官にとって、候補者の適性を見極める決め手となり得るものです。
業界や職種を超えてホーチキという会社を理解するには、競合他社についての研究も欠かせません。競合の少ないマーケットだからこそ、同業他社についての知識は重要です。具体的には、以下のような企業についてあらかじめ研究しておくことをおすすめします。
●能美防災株式会社
●ニッタン株式会社
ホーチキの目指す方向性や、必要としている人物像が企業研究を通じて少しずつ分かってきたのではないでしょうか。ホーチキの場合、まずは会社の要となる絶対的な使命を意識し、中期経営計画を理解して自己分析や他社研究を進めましょう。そして面接の場では、「地道な職務にも使命感と情熱を持って当たれる人材」と印象付けられるよう、自身のスキルや経験を丁寧に棚卸しし、同社でどのように活躍できるのか論理的に話す準備をしておくとよいでしょう。
以下、実際に面接でどのような質問があったのかをご紹介します。これらを参考に、一度自身に置き換えてシュミレーションをするとともに、前述してきた内容を踏まえて対策を行いましょう。
ホーチキの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「人命と財産を守り、社会に貢献する」という使命を理解して、「地道な職務にも使命感と情熱を持って当たれる人材」であることをアピールする。
●「VISION 2020 New Stage」を理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜホーチキか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
この記事の執筆者
ホーチキ コーポレートサイトより「中期経営計画 中期グループビジョン」