2021年06月21日
セブン&アイ・ホールディングス傘下の、最大手コンビニATM事業者であるセブン銀行。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
セブン銀行は、セブン・イレブンにATMが欲しいという消費者からの声をきっかけに2001年に設立され、今では国内に25,000台超のATMを設置し、2,000超の口座を持つ最大手のコンビニATM事業者となっています。600社超の金融機関や「楽天Edy」、交通系の電子マネーサービス事業者といった他社との提携も積極的に行っており、また利用者が増加傾向にある「LINE Pay」や「PayPay」といった電子決済サービス事業者との提携も順次拡大中です。また、直近では最短10分で講座開設が可能なスマホアプリ「Myセブン銀行」のリリースや、フリーランス向け報酬先払いサービス「yup」との提携開始など、社会の変化やニーズに合わせた新しい動きも活発です。
出典:株式会社セブン銀行 採用情報サイト「キーワードで知るセブン銀行」より
同行の強みは大きく分けて3つあります。まず1つ目は、ATM利用の手数料をユーザーではなく提携金融機関から得る独自のビジネスモデル。2つ目は、商業施設や駅・空港といったユーザーの生活圏内を中心に設置されている上に、多数の金融機関や他決済事業者との提携による便利さ。3つ目はセブン&アイ・ホールディングス内でのシナジー効果です。セブン・イレブンやイトーヨーカドーなどのグループ店舗には一日に約2,400万人が来店し、セブン銀行の集客にとって大きなプラスとなっています。これらの強みを活かし、ATMの年間利用件数や経常収益を堅調に伸ばしています。
そんな同行の口コミからは、少数精鋭で風通しの良い社風が伺えます。「他行と比較して少人数なので、裁量のある仕事を任せてもらえやすい」「新しい事業に積極的な雰囲気がある」「若い人が多く生き生きとしている」といった口コミが見られ、従来の銀行をイメージして面接に臨みギャップを感じた人もいるようです。同行の面接では、このような社風にフィットして活躍できる人材かどうかが見極められます。
同行の選考では、書類選考通過後に面接を2〜3回、WEB適性検査を1回を行います。口コミによると、面接官は採用担当者や配属部署の責任者、管掌役員であることが多いようです。どのような方が面接官でも対応できるよう、念入りに面接対策をおこないましょう。
また、応募は同行の中途採用情報ページから可能で、学歴・職務経歴情報に加えて現職の年収情報を提出します。2020年4月現在では、プロジェクトマネージャーやエンジニア、事業企画といった職種別採用と総合職採用の募集を公開しています。採用が充足されたら公開は停止されるため、こまめに募集状況を確認するとよいでしょう。
同行の面接では奇をてらった質問はあまりなく、志望動機や職務経歴といったオーソドックスな内容が中心のようです。面接対策としては、職務経歴に沿って実績や工夫したことを整理し、数字を用いて客観的に伝えられるようにしておくと良いでしょう。また複数回の面接によって、回答の一貫性も判断しているため、面接の想定問答やトークスクリプトを準備しておくとよいでしょう。
また、同行は「志望動機を重視しているように感じた」という口コミが複数見られます。少数精鋭で採用人数も一般的な銀行ほど多くないからこそ、内定辞退や早期の退職を避けたいという意向が推測されます。志望動機の構築では、転職先で叶えたい希望やキャリアの展望と同行を志望する理由を関連付け、より説得力のある内容になるよう整理しましょう。「入行後にどのように活躍出来るか」「何に挑戦したいか」など、具体的な話を準備しておくことも重要です。併せて、選考の場では同行への高い志望度を伝え、希望する条件で内定を得られた場合には入社を前向きに検討する旨も明確に伝えておくとよいでしょう。
同行の面接に臨む前に、最新の中期経営計画に目を通しておきましょう。2017〜2019年度の中期経営計画では、長期的な成長のための基盤づくりを掲げています。そのための重要視作として、「環境変化に対応したATM利用スタイル」「第4世代ATMでの新たな価値提供」「子会社・関連会社による事業化進捗」の3つを掲げています。
まず、「環境変化に対応したATM利用スタイル」では、キャッシュレス決済サービスの普及への対応を積極的に行っています。先述したようにLINE PayやPayPayをはじめとしたキャッシュレス決済を始めとした新しい決済サービス事業者との連携を強化し、合同キャンペーンを行うことによってセブン銀行ATMのユーザーを更に伸ばすことを狙いとしています。また、直近では電子地域通貨との連携も開始するなどしており、地方でのユーザー獲得にも積極的です。
株式会社セブン銀行 2020年第3四半期 決算説明資料より
「第4世代ATMでの新たな価値提供」では、2019年にNECと合同で開発した新型ATM「ATM+(プラス)」の導入を発表しました。ATM+では、現金の出し入れに加えて、QRコード読み取り機能や顔認証システムの導入、また従来は銀行への来店や書類送付が必要だった口座開設をATMで完結出来るという新しい機能を搭載しました。背景には、キャッシュレス化によるATM不要論があり、新しい付加価値を提供することによってユーザーを離れさせないという目的があります。同行の採用情報サイトに「第4世代ATM開発プロジェクト」と題したインタビュー記事が公開されているため、目を通しておくことをおすすめします。
「子会社・関連会社による事業化進捗」では、在留外国人向けビジネスの展開を主要トピックスとしています。子会社を設立し、東南アジアからの技能実習生をメインターゲットとした与信管理サービスと海外送金サービスを展開しており、与信管理サービスでは新生銀行と合同で新会社「株式会社 Credd Finance(クレドファイナンス)」を設立するなど注力している様子がうかがえます。
以上のように、最新の中期経営計画と併せてニュースリリースやIR情報にも目を通し「、同行が目指している方向性や計画を具体的になアクションにどう落とし込んでいるのか」ということを理解することが重要です。その上で自己分析を行い、自己アピールにつなげましょう。
出典:株式会社セブン銀行 新型ATM「ATM+」紹介ページより
「なぜセブン銀行に入社したいのか」と志望動機についての質問は、同行の面接において頻出の問です。面接官はこの質問を通じて、同行への熱意や理解度を判断しています。この問に明確に回答するためには、同行の事業内容や中期経営計画に加えてIR資料やニュースリリースに目を通しておくと良いでしょう。また、実際に同行の口座を作成したりATMを利用するなど、ユーザーとして一通りサービスを体験しておくことも重要です。
併せて、下記のような競合他社についても研究し、比較することによってより明確な回答を構築することができます。また、生活圏内に下記の競合サービスが設置されている場合には、利用して自分なりに違いを把握しておくこともおすすめします。
●株式会社イオン銀行
●株式会社ローソン銀行
●株式会社イーネット
●株式会社りそな銀行(サービス名:BankTime)
企業研究や競合他社の研究を通じて、同行の特徴やどのような人材が求められているかが分かってきたのではないでしょうか。同行は少数精鋭で風通しの良い社風であり、また従来の銀行とは異なる独自のビジネスモデルや強みを持っています。またメガバンクや都市銀行、地方銀行と比べると採用人数も少ないようで、社風にフィットしつつ即戦力で活躍できる人材が求められると考えられます。
下記に、実際に聞かれた質問をご紹介します。自分ならどのように回答するかシミュレーションしましょう。
同行の面接を受けるにあたって、ぜひ抑えておきたい内容をご紹介してきました。特に下記3点について、重点的に面接対策をしておきましょう。
●少数精鋭で風通しの良い社風を理解し、その社風にフィットして活躍する人材だとアピールする。
●同行の「中期経営計画」を理解し、これに沿った自己分析をして自己アピールに繋げる。
●競合他社についても研究し、「なぜ同行なのか」に対する回答を明確にする。
上記3つを意識し、当日は同行で中長期的に活躍できる人材だということ伝えられるように準備をしましょう。
この記事の執筆者