日機装の転職研究 2025年12月期決算に見るキャリア機会

日機装の転職研究 2025年12月期決算に見るキャリア機会

日機装の2025年12月期決算は、不採算事業の整理完了により営業利益が過去最高を更新。新中期経営計画「NIKKISO 2028」では220億円の利益目標を掲げ、米国市場や次世代エネルギーへの投資を加速しています。「なぜ今、日機装なのか?」「転職希望者がどの事業で、どんな役割を担えるのか」を整理します。


0 編集部が注目した重点ポイント

創業以来の最高益を更新し利益体質へ転換する

2025年12月期の営業利益は前年比139.6%増の153億円となり、資産売却益を除けば創業以来の最高益を達成しました。深紫外線LED事業や急性血液浄化(CRRT)事業といった不採算領域からの撤退を概ね完了させ、得意とするインダストリアル事業や航空宇宙事業の成長が全体を牽引する、強固な利益体質への転換を成し遂げています。

2026年1月より米国医療市場への本格参入を開始する

メディカル事業において、2025年5月に血液透析装置の販売許認可を取得し、2026年1月から米国での販売を開始しました。世界最大級の市場への進出は、同社の将来成長における最大のドライバーとなります。グローバル展開の加速に伴い、海外拠点のマネジメントや薬事・品質保証などの専門スキルを持つ人材の需要が高まっています。

新中期経営計画で2028年に売上収益2,700億円を目指す

2026年から始まる新中期経営計画「NIKKISO 2028」では、売上収益2,700億円、営業利益220億円の達成を掲げました。クリーンエネルギー市場(LNG・水素・アンモニア)や宇宙産業といった新規領域への投資を加速させます。不採算事業の整理という「守り」から、新たな事業機会を創出する「攻め」のフェーズへ移行しており、キャリアの選択肢が広がっています。

1 連結業績ハイライト

主力事業の伸長と構造改革の完遂により、営業利益が前年から2.4倍に急拡大するV字回復を成し遂げました。
FY2025 決算のポイント

出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.4

売上収益

2,156億円
(+1.1%)

営業利益

153億円
(+139.6%)

親会社所有者帰属利益

136億円
(+71.6%)

当連結会計年度は、売上収益が前年並みながらも、営業利益が過去最高を更新する劇的な利益改善を見せました。インダストリアル事業での受注済み案件の着実な遂行と、産業用ポンプ事業における構造改革が奏功したほか、航空宇宙事業が下期に急回復したことが主因です。また、不採算であった深紫外線LED事業等の損失幅が大幅に縮小したことも寄与しています。

期初予想に対する達成度についても、売上収益こそ若干下回ったものの、営業利益は予想の140億円を9.5%上回る153億円で着地しており、業績の進捗は非常に順調であると評価できます。財務面でも、親会社所有者帰属持分比率が44.2%まで上昇し、自己資本による安定性が高まっています。

2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド

エネルギー、航空宇宙、医療の3本柱すべてで構造改革と成長投資が同時に進んでおり、専門性を発揮できる場が多角化しています。
インダストリアル事業の概況

出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.13

インダストリアル事業

事業内容:LNG(液化天然ガス)分野や水素、アンモニア等の次世代エネルギー向け極低温ポンプ、および産業用ポンプ・システム、電子部品製造装置(精密機器)の開発・販売。

業績推移:売上収益 1,170億円(+4.5%)、営業利益 128億円(+29.0%)。

注目ポイント:同社の最大の稼ぎ頭であり、LNG分野の旺盛な設備投資需要を背景に好調を維持しています。特筆すべきは、宇宙産業向けビジネスの大型案件を受注したことです。低・脱炭素市場に向けた技術開発と体制整備を急ピッチで進めており、エネルギー転換の最前線で「世界初」の実装に挑戦したいエンジニアにとって、これ以上ない環境が整っています。

注目職種:極低温ポンプの設計開発、プロジェクトマネージャー、海外営業、サービスエンジニア

航空宇宙事業

事業内容:民間航空機向けの炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形品の製造。主力のカスケード(逆噴射装置部品)で世界トップクラスのシェアを誇る。

業績推移:売上収益 195億円(+12.6%)、営業利益 9億円(前年はほぼ収支均衡)。

注目ポイント:サプライチェーンの制約解消が進み、2025年後半から業界全体の増産ペースが加速しています。大幅な増益を達成しており、今後は自動化による生産効率の向上が鍵となります。また、eVTOL(空飛ぶクルマ)や人工衛星などの新モビリティ領域への展開も戦略的に進めており、既存の航空機部品にとどまらない「次世代の移動」を支えるものづくりに携われます。

注目職種:生産技術(自動化推進)、品質保証、複合材料研究開発、サプライチェーン管理

メディカル事業

事業内容:人工透析装置、ダイアライザー(ろ過器)、血液回路などの血液透析関連製品。国内トップシェアを誇り、グローバル展開を加速中。

業績推移:売上収益 788億円(-5.3%)、営業利益 60億円(+50.9%)。

注目ポイント:売上高の減少は、利益率の低い事業からの撤退によるもので、中身は「稼ぐ力の強化」が進んでいます。中国市場の需要回復や欧州での販売拡大が利益を牽引しました。2026年からは米国での販売を本格化させるため、薬事や規制対応、現地マーケティングの強化が急務となっています。医療を通じた社会貢献と、グローバルビジネスの立ち上げを同時に経験できる稀有な環境です。

注目職種:薬事申請、薬事規制コンサルティング、メディカル系海外営業、データ利活用推進

3 今後の見通しと採用の注目点

新中期経営計画により、2028年に向けて「売上成長を伴った収益体質への転換」を本格化させます。
業績目標一全社サマリ

出典:2025年12月期 決算説明会資料 P.43

日機装は、2026年度を「NIKKISO 2028」の初年度と位置づけ、売上収益2,335億円(前年比8.3%増)、営業利益165億円(同7.6%増)の増収増益を計画しています。これまでの不採算事業の整理という「守り」から、成長領域への積極投資という「攻め」へ舵を切ります。特に、米国CE&IGグループとの一体運営の加速や、技術ハブとなる「新研究棟(東京都東村山市)」の建設(2027年竣工予定)など、インフラとガバナンスの強化にも巨額の投資を継続します。

採用面での注目点は、従来のモノづくりに加え、データ分析やAI活用による「サービス・ソリューション化」の推進です。また、海外売上比率が既に67%に達していることから、国内にいながらグローバルプロジェクトをリードする機会も豊富です。一方で、過去に一部製品で検査不備事案があった反省から、「品質」と「コンプライアンス」の意識改革を最優先課題としており、高い倫理観と改善意欲を持つ人材が強く求められています。

4 求職者へのアドバイス

HINT 志望動機のヒント

日機装は今、歴史的な「利益体質の転換」を成し遂げ、次の10年を作るための「戦略的再投資」の局面に入っています。志望動機では、単に技術力を称賛するのではなく、「不採算事業の整理を終えた今だからこそ、自分の専門性を活かしてどのように収益成長の第二波に貢献したいか」を語るのが効果的です。特に、水素・アンモニア等の「クリーンエネルギー」や「米国医療市場の開拓」など、資料内で強調されている重点領域と自身の経験をリンクさせることで、経営層の意図に沿った強いアピールとなります。

Q&A 面接での逆質問例
  • 「新中期経営計画『NIKKISO 2028』において、インフラ・ガバナンスの強化が掲げられていますが、私の担当職務においては、どのような変化や貢献が期待されますか?」
  • 「米国市場への本格参入にあたり、現地のニーズを製品開発にフィードバックさせるための日米間連携の仕組みについて詳しく教えていただけますか?」
  • 「品質マネジメントの再構築を進められている中で、現場の意思決定プロセスや風通しの改善において、特に重視されている取り組みは何でしょうか?」

5 転職者が知っておきたい現場のリアル

決算資料や公式発表だけでは見えにくい、現場で働く社員・元社員の実体験(口コミ)を、転職判断の参考となるよう編集部で選定しています。
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安定した給与と福利厚生が魅力

安定した給与と福利厚生が魅力で、職場の雰囲気は和やかです。業界自体がニッチであるため、競争が激しくないのも働きやすさの一因です。職人気質の社員が多く、難しい課題にも積極的に取り組む姿勢があります。

(20代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]
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新規事業の育成が進んでいない

全体としての連携が不足しており、横断的な部署の影響力が弱いと感じます。しかし、新規事業の育成が進んでおらず、将来的な成長には不安が残ります。技術者の離職率が高いことも課題で、長期的に働きやすい環境の整備が求められます。

(30代後半・人事・男性) [キャリコネの口コミを読む]

※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。

使用した主な公開資料

  • 2025年12月期 決算短信〔IFRS〕(連結)
  • 2025年12月期 決算説明会資料

この記事の執筆者

上場企業の四半期決算から、面接で差がつく「志望動機」や「逆質問」のヒントを導き出す専門チーム。3ヶ月ごとの業績推移と戦略の遂行状況をキャリコネ独自の現場データと照合し、求人票だけでは見えない企業の「現在地」を可視化します。投資家向け情報を、転職希望者が選考を有利に進めるための武器に変える、実戦的な企業研究を配信中。