2021年06月21日
富士フィルムグループの中で診断機器のシステムや医療ITソリューションの開発・販売を担っている富士フィルムメディカルへの転職。面接では仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、「人となり」も評価されます。一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されるためしっかり対策しましょう。
「医療のいちばん近くから、次代を見つめる」を企業理念に、1965年に富士フィルムの医療技術部門として設立された富士フィルムメディカル。その後1981年に、X線画像をデジタル化する技術の開発に世界で初めて成功し、その技術を超音波診断装置や、内視鏡システムに応用して成長してきたという歴史を持っています。
新型コロナ感染症対策においては、消毒薬の欠品に伴い、2020年4月に取扱製品の中から消毒薬の代替品として利用できる薬剤を公開するなど、直接的に貢献する役割も果たしてきました。
富士フィルムグループのメイン事業として期待されていることから、働く人からは「10年後にはグループの中核を担っているという信念を持って日々の励みにしている」という口コミも。「新しい企画への参画ができることがおもしろみ」「新人にも大きな仕事を任せる」といった口コミからは、社員が自由闊達な風土にやりがいを見出していることがうかがえます。
しかし、「技術者だけれども販売ノルマや契約書作成などの事務作業に追われる」といった口コミもあり、成果主義の浸透により苦しくなっている社員も多数存在している様子。「部長以降は本社からの天下り」との口コミから、管理職志向の人にとっては厳しい環境とも言えそうです。
「医療のいちばん近くから、次代を見つめる」ために、個人の裁量で成果を出していく。こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
同社の中途採用活動は、転職エージェントを通して東京、大阪、福岡など複数の地域で行われています。また、学術系の専門性の高い求人は、ホームページや非公開求人で扱われているようです。
選考プロセスについて公式情報はありませんが、口コミによるとSPIをオンラインで請けたのち、2回の面接があり、選考期間は2週間から1カ月程度とのこと。
面接の雰囲気については「ロジカルさとフレキシブルさが要求される」「強い軸が求められる」という声があり、あいまいさを避け、回答全体をロジカルに組み立てるよう努めましょう。
また、特に20代では「入社前にこれが出来ないとだめだということはない」「技術的なことについては深く聞かれなかった」との口コミが見られました。SEなど人材不足の職種では、中途採用でも可能性重視の採用が行われている場合があるようです。「研修がしっかりしている」とのことなので、これから技術を身に着けたい方も応募してみるとよいでしょう。
質問内容については「変化球は少ない」とされる一方、「志望動機を突っ込んで聞かれた」「自分自身について掘り下げて聞かれる」「あいまいな志望動機では見透かされる」といった声が多く見受けられました。企業研究と自己分析をしっかりと行い、志望動機や転職理由で面接官を納得させられるかどうかが勝敗を分けそうです。
後述の「他社研究」の項目を読んでしっかりと対策するほか、退社理由と志望動機、将来の目標に矛盾がないか、しっかりと確認して挑みましょう。
それ以外にも「当社の強みは何か」「何を軸にして売っていくべきか」など、企業について深く知っておかないと答えられない質問や、「オリンパスが売れるのはなぜか」など競合他社との比較について聞かれた人も。
これらの質問に対しては後述の「経営戦略」「他社研究」の項目を参考に準備しておきましょう。自分の考えを交えながら、会社の進む方向性に賛同する姿勢を見せるのが望ましいと考えられます。
同社のような「転職理由を深堀り」する面接の準備のためには、経営戦略の確認が欠かせません。同社の経営戦略をよく理解しておきましょう。
出典:富士フィルムホールディングスのサイトより
同社の経営戦略を読むことで、どの事業を自社の強みと捉えていて、何を伸ばしたいと思っているのかを理解することができます。採用活動においても、それらの方向性に貢献してくれる人材が歓迎されます。経営戦略をしっかりと理解した上で、その戦略の実現に貢献できる人材であることを示せるよう、自己PRの内容を精査しておきましょう。
富士フィルムホールディングスの中期経営計画によると、メディカルシステムとバイオCDMOは「売り上げ成長をけん引」する存在。
システム部門では他社にない医療機器ラインアップにより競争優位性を確保しつつ、国内では提案力の強化に努めるとしています。そのうえで新興国市場向けの製品・サービス開発に力を入れ、年率7%の売り上げ成長実現を目指しています。
同社ではこれらのシステムを受注・販売することになります。対人面では「お客様への提案力」や「新興国の人々とのかかわり」を示すエピソードがあれば準備しておくと役立つかもしれません。
また、グループ全体の目指す方向性としては「オープン、フェア、クリアな企業風土」や「勇気ある挑戦」といった精神面が挙げられていることから、社風に対する対策に加えて、今までの仕事の中で「勇気ある挑戦」を行った経験についても、準備しておくとよさそうです。
同社の面接では「なぜ当社を選んだのか」といった志望動機を掘り下げて問われます。面接官にとっては、「この応募者はどんな仕事がしたいと思っているのか」「それが当社で実現可能か」を確認し、長く勤めてもらえる人材かどうかを見極めています。しかし、それ以上に「この面接のためにどれだけ企業研究をしてきたか」という努力の面を審査するという目的もあります。
同じ業界や職種の中で同社を選んだ理由をロジカルに説明する。そのためには競合他社を研究し、企業理念や戦略を見比べ、同社に強く共感できる部分や自分が貢献できると思える部分を見つけておくことが不可欠です。
具体的には次のような企業について、研究しておきましょう。「時事問題を問われた」という口コミもあることから、経済や業界ニュースもチェックし、業界全体の動向を掴んでおくことも大切です。また、コロナウィルス問題により方針転換を余儀なくされている企業も多いため、最新の情報を得るように気をつけましょう。
このように、同社の面接を突破するためには経営戦略に基づいて自己分析を行い、他社研究に基づいて志望動機を掘り下げる質問への対策を整えておくことが不可欠です。
自分自身だけでなく会社の強みや今後の方向性についても理解し、自分自身の思い描くキャリアプランとマッチする部分について、論理的に説明できるようにしておきましょう。
面接当日は「『医療のいちばん近くから、次代を見つめる』ために、個人の裁量で成果を出していく」という社風にマッチすることをアピールし、医療分野が「グループの成長をけん引」する存在となるために、どのように会社に貢献できるのかを具体的に伝えられるよう、念入りに準備をしておくと安心です。
実際に面接で問われた質問を紹介します。志望動機や会社への理解に対して深堀する質問をされ、答えに窮する受験者が続出している様子が伝わってきます。これらの質問にしっかりと答えられるようにシミュレーションしておきましょう。
同社の面接対策として、重要なことをまとめてご紹介してきました。押さえておきたいポイントは以下の4つです。
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