2021年06月21日
日本の主要都市で総合ディスカウントストアを展開するドン・キホーテへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
1989年3月に東京都府中市に第一号店をオープンしたドン・キホーテ。親会社に総合ディスカウントストアなどの企業集団を展開する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下:PPIH)を持ち、ユニー株式会社、株式会社長崎屋とともに連結子会社となっています。
同社はコンビニが普及する前からナイトマーケットの先がけとなり、圧縮陳列という独自のスタイルで小売業界を牽引。総合スーパー事業への参入やグローバル展開などフットワーク軽く事業を拡大し、業績を伸ばし続けます。今回の決算では、30期連続増収営業増益を達成し、その勢いはとどまるところを知りません。
ドン・キホーテで実際に働いた人からは、「結果さえ残していれば評価が得られる会社」「人間性や政治力が高い人は昇給しやすい」といった、能力重視の風土がうかがえる口コミが多数見られました。そのため自分の能力を存分に発揮したい人に向いていると言えそうです。
一昔前は「拘束時間が長い」「サービス残業が当たり前」という声もあり、勤務体制に不満を感じ退職する人も多かったようです。しかし2015年以降の口コミには「現場はホワイト化に成功している」「休日出勤はほぼない。休日出勤した時は、代休を取得できる。」といった内容のものが多く、労働環境の改善がはかられていることがうかがえます。
顧客を第一に考えながらも、自由にアイデアを出し合う風土を大切にしている同社。”売り場をエンターテインメントにする自由演技”という理念のもと「顧客最優先主義」を掲げています。そのため面接では、「お客様の暮らしを支え、お買い物の楽しみを提供する」という社風にマッチする人材かどうかが見極められます。
ドン・キホーテの中途採用の選考では、書類選考と3回の面接がおこなわれます。面接は1次面接から順に、人事担当→直属の上司→支社長との面談が設定されます。最終面接の前に店舗見学がおこなわれることもあるようです。
選考期間は1~2週間と短期間です。中には内定まで1週間ほどだったという口コミも見られました。面接のプロセスも多いため、対策不足だったということがないように、万全の準備を整えた上で選考に臨みましょう。
募集職種は営業サポート本部・間接サポート本部・管理部門の3種類。各部門からさらに細かく職種が分かれるため、事前にどんな職種があるのか把握しておきましょう。また常時求人が出ている職種もあれば、ポストが空いた時のみ募集がかかる職種もあります。応募の前にはコーポレートサイトからキャリア求人の有無を確認しておくことをおすすめします。
同社の選考では、面接官によって質問の傾向が大きく違ってくるようです。面接官は答えた内容よりも、回答したときの態度やしぐさをチェックしてます。そのため想定外の質問をされても、動揺せず落ち着いて自分の考えを回答するように心がけてください。
また積極的な人材を好むドン・キホーテでは、学歴や経歴よりも、その人の体力、気力、根性が最優先されます。同社の基本姿勢である”攻め”のスタイルにマッチする、自身の強みをアピールできた人が内定に繋がっているようです。
面接経験者の口コミには「入社後何をしたいのか」という質問をされた人が多く、入社後の具体的なビジョンを明確にしておくことが重要と言えるでしょう。自分の努力次第で昇給・昇進が叶う企業態勢を意識し、同社で何を創り上げていきたいのか、何を成し遂げたいのかを面接官に伝えることで、入社の意欲を強くアピールすることができます。
ドン・キホーテの面接を受ける際は、必ずPPIHのPassion 2030に目を通しておくようにしましょう。Passion 2030を読み解くことで、同社がどのような人材を求めているのか予測することができます。自分なりにしっかり咀嚼し、自己分析に落とし込みましょう。
PPIHコーポレートサイトより
今回の経営計画では、売上高3兆円、営業利益2000億円達成を目指しています。 目標達成のため「プライベートブランドを強化した商品戦略」「デジタル施策の強化」を戦略の根幹に置いています。
商品戦略ではドン・キホーテのスケールメリットを活かすため、プライベートブランド開発に力を入れています。ナショナルブランドでは開発できない幅広いカテゴリーを武器に、より地域の需要にマッチした販売を実現中です。またデジタル施策の足がかりとして、AIと人の経験による勘を組み合わせた値づけを取り入れるとしています。店舗ごとにAIまたは人、どちらかの値づけを選択させ、店舗間の競争を盛り上げるドン・キホーテらしいユニークな施策が進められています。
東南アジア地域においては食に関する製造小売業態開発を強化。国内同様プライベートブランド物流の強化を図ります。北米でも日本食を中心としたプライベートブランドを盛り込み現地のニーズにマッチしたドン・キホーテの基盤を創ります。
このことから 顧客の要望に応えつつも低コスト・高収益の構造改革へシフトする動きが読み取れます。そのため顧客の要望と収益のバランスを考え、同社の売上に寄与できる人材を求めていることが予想されます。 経営計画を実現するためにできることは何か。入社後の具体的な行動や即戦力としてアピールできる経験などをまとめておくと、面接もスムーズに進むでしょう。
同社の選考では「なぜドン・キホーテなのか」という質問に対して、面接官が納得できる説得力のある回答を用意しておくことがポイントです。同じ業界の他企業についても研究し、それぞれの企業の違いを理解した上で面接に臨みましょう。
小売業界では、総合ストアとして多様性に富んだ商品を販売する傾向がみられます。また、コストパフォーマンスの高い商品や需要の高い商品を低価格で販売できるよう、仕入れもそれぞれ独自のルートを確保しています。
同じ小売業でも販売している商品はそれぞれ違います。そのためここでは独自の手法で業績拡大している小売企業に注目することをおすすめします。例えば、ニトリホールディングスやイオン株式会社の場合は、プライベートブランド販売を強化し業績を伸ばしています。また株式会社トライアルカンパニーにおいては、ディスカウント業態を中心に事業展開しており、低価格イメージを持つドン・キホーテとの違いを明確にしておくのも良いでしょう。
このように小売業界で業績が好調な他企業を分析することで、ドン・キホーテの強みや戦略を理解することができるでしょう。
●ニトリホールディングス
●株式会社トライアルカンパニー
●イオン株式会社
企業研究を通して、ドン・キホーテの社風や求める人物像が見えてきたのではないでしょうか。同社の場合、攻めの姿勢が歓迎される環境を活かしてアクティブに挑戦できる人材が求められるでしょう。
面接では、志望動機や自己PRのようなベーシックな質問のほか、自分の強み・弱みを聞かれます。この質問からは、自身の長所を理解し自発的に活躍できる人材なのかを見極められます。以下、面接経験者が実際に聞かれた質問です。これらを参考に面接までに具体的な回答を用意しておきましょう。
ドン・キホーテの採用面接を受けるにあたり、押さえておきたいポイントをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「お客様の暮らしを支え、お買い物の楽しみを提供する」という社風を意識して、積極性を盛り込んだベンチャーな社風にマッチしていることをアピールする。
●PPIHの「Passion 2030」を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●小売業界において成功事例をおさめている企業を研究した上で、「なぜドン・キホーテなのか」という問いに対して、明確な回答を用意しておく。
これらを十分に理解して自己分析をおこない、面接当日はハキハキとした姿勢で入社の意欲を積極的にアピールしましょう。
この記事の執筆者