2021年07月06日

【平均年収682万円】トッパン・フォームズの給与・ボーナスが高いのはなぜなのか

【年収研究シリーズ】トッパン・フォームズ社員の平均年収は高いのか?実際はいくらもらっている人が多い?給与制度は年俸・月給どっち?ボーナスは年何回で合計いくらもらえるのか?年収額だけでは見えてこないデメリットはあるのか?など、年収に関する話題をデータや口コミから明らかにします。就職・転職の判断にご活用ください。


トッパン・フォームズの平均年収は682万円

それでは、はじめにトッパン・フォームズの平均年収について見ていきます。トッパン・フォームズの平均年収は、2021年3月期の有価証券報告書によると、682万円です。キャリコネに寄せられた給与明細から算出したトッパン・フォームズ年代別年収レンジは、20歳代で350〜450万円、30歳代で480〜580万円、40歳代で600〜700万円となっています。男女あわせた民間の正規雇用者の平均年収は503.5万円(国税庁・平成30年分民間給与実態統計調査結果)ですから、それと比較しておよそ1.36倍の額です。

トッパン・フォームズの平均年収推移

減少傾向が続いていたが、2021年3月期からは復調

トッパン・フォームズ・5年間の平均年収・平均年齢・従業員数(単体)の推移

決算月平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数
2021年3月期682万円45.4歳17.3年2612人
2020年3月期670.7万円44.6歳18.2年2618人
2019年3月期672.9万円44.2歳18.6年2005人
2018年3月期686.9万円43.4歳19年1910人
2017年3月期713.9万円43.4歳19.1年1897人

出典:トッパン・フォームズ・有価証券報告書

トッパン・フォームズの過去5年間の平均年収を見てみると、2017年3月期は713.9万円ですが、翌年以降徐々に減少、2020年3月期には670.7万円と4年間で約43万円減少しています。2021年3月期はやや持ち直し、682万円にまで復調してきています。

同社の過去の業績を見ると、マイナンバー関連をはじめとした大型案件の売上減少が影響し、減収減益となることが連続しています。しかし2019年3月期以降は徐々に上向きとなっており、さらに2022年3月期業績も「増収増益」が見込まれています。平均年収についても、再び以前の水準にまで戻ることが期待できるでしょう。

トッパン・フォームズの年代別平均年収と中央値

トッパン・フォームズの年収中央値は30代で471.2万円

平均年収は収入における目安のひとつですが、実際にもらえる額とは大幅に違うこともしばしばです。年収実態により近いトッパン・フォームズの年収中央値を世代別に見ていきます。下の表はトッパン・フォームズの20代から60代までの平均年収・平均月収・平均ボーナス・年収中央値一覧です。

トッパン・フォームズの年収実態

年代平均年収平均月収平均ボーナス年収中央値
20代399.3万円24.9万円51.9万円359.37万円
30代523.5万円32.7万円83.7万円471.2万円
40代646.5万円40.4万円129.3万円581.85万円
50代751万円46.9万円150.2万円675.9万円
60代476.5万円29.7万円76.2万円428.85万円

※キャリコネの口コミ、有価証券報告書、厚労省・経産省・国税庁発表の調査資料を元に、編集部で独自に算出

凸版印刷の連結子会社であり、データプリントサービスでは首位のポジションを誇る同社は、業種でいうと「製造業」に分類されます。この業種の平均年収は、全業種平均に比較すると、やや低いことが特徴です。例えば30代の場合、全業種平均は320.6万円ですが、製造業平均は288.2万円、といった具合です。

こうした製造業において、トッパン・フォームズの年収中央値は、業種別平均を大きく上回ります。同じく30代の年収中央値は471.2万円と、業種別平均の約1.6倍です。この傾向はすべての年代において当てはまるものであり、いかに同社の年収水準が高いかが伺えます。

トッパン・フォームズの年収が高い理由

賞与は年4ヶ月分

トッパン・フォームズの年収が高い理由として、まず大きいのは賞与のボリュームの大きさです。社員の口コミによると、平均的な支給月数としては「年2回それぞれ2ヶ月分ずつ」とのこと。「業績によって多少変動する」そうですが、安定してこの高水準を保っているようです。

もう一つの理由としては、住宅関連の福利厚生の充実です。住宅手当の支給対象は、「転勤者のみ」であるものの、その支給額は、「転勤になった当初は関東圏であれば6万程度」であり、「その後毎年1万円ずつ減っていく」という仕組みであるようです。また、若手社員は独身寮に入居することができることも魅力。「月2万円以下の家賃で、7~8万円のマンションに住める」とのことで、住宅手当ではないものの、可処分所得を押し上げるという意味では、実質的な年収をアップさせていると言えます。

トッパン・フォームズの給与体系・内訳

福利厚生の充実には満足の声多数

トッパン・フォームズの給与体系は、基本給と諸手当からなる月給と、年2回(6月・12月)の賞与で構成されています。諸手当としては、地域手当(東京都区内の場合 7,000円)、家族手当、営業業績手当、超過労働手当、通勤手当など、多くの手当が整備されています。それ以外に福利厚生として、財形貯蓄制度、持株制度、厚生施設(独身寮/保養所/診療所)など充実した内容で、「保養所や施設の割引はもちろん、寮制度や自社グループ健保等いたせりつくせり」と満足の声が多く寄せられます。

上記諸手当のうち、「営業業績手当」は、営業職を限定とした、いわゆるインセンティブです。内容としては、「個人ではなく所属する組織が数字を達成すれば報奨金が出る」というもので、組織単位で支給有無・金額が決定されるようです。支給金額の幅としては、「0~10万円程度」で、「3ヶ月に1度支給される」とのこと。しかし直近では、「インセンティブが年々なくなっている」「享受できる人はまれ」と、条件が厳格化しているようです。

トッパン・フォームズ社員の給与明細(キャリコネ)

20代から30代で約150万円アップ

20代営業(非管理職)の 給与明細

30代営業(非管理職)の 給与明細

20代から30代で約2倍となることも!

20代技術(非管理職)の 給与明細

30代技術(非管理職)の 給与明細

トッパン・フォームズの職種別年収

営業職にはインセンティブあり

トッパン・フォームズの職種は、営業、研究開発、SE(システムエンジニア)、販売促進、企画、生産技術、管理、国際など、幅広く細分化しています。しかしこれらの職種は総称して「総合職」と呼ばれ、賃金制度についても、基本的には同一の制度が適用されます。初任給についても、以下の通り、全職種共通で、学歴別に設定されています。
<初任給>
●修士了(技術系):月給239,000円
●学部卒:月給221,500円
※2020年度初任給実績
※東京都区内地域手当7,000円(入社後研修期間中は東京勤務)、トレーニー手当3,500円を含む(一律)

基本給は同一制度ですが、前項の「営業業績手当」は営業職限定であることや、口コミによると、超過勤務手当についても、「営業職はみなし残業」「スタッフ部門は残業代は出る」と職種によって扱いが異なるようです。「営業職の方が同年代のスタッフに比べて年間50~100万円年収が高い印象」という口コミも見られます。
こうした違いはあるものの、大まかな年代別・職位別の年収目安としては、20代が450~600万円、30代主任クラスが650~700万円、課長クラスになると800~900万円といった当たりになります。

トッパン・フォームズ社員の給与明細(キャリコネ)

同じ20代でも100万円以上の差がつくことも

20代カスタマーサポート(非管理職)の 給与明細

20代営業(非管理職)の 給与明細

30代前半で600万円超

30代カスタマーサポート(非管理職)の 給与明細

30代営業(非管理職)の 給与明細

トッパン・フォームズで年収を上げる方法

主任・マネージャーには昇格試験あり

トッパン・フォームズの年収は、社内の職位・資格に紐づいて設定されているため、年収をあげるためには昇格することが必要です。同社の昇格制度について、口コミを見てみると、主任・マネージャークラスへの昇格のためには昇格試験を突破することが必要とのこと。受験できる年齢としては、「32歳頃に主任試験、36~37歳ぐらいからマネージャー試験」というのが目安としてあるものの、「試験を受けるためには昇格のポイントが必要」で、ポイントさえ獲得できれば「若くてポンポン出世していく人も」いるようです。試験内容としては、「就業規則、漢字、国語、算数、英語、一般常識、論文など」と幅広く、この試験を突破するために、「テスト日近辺になると丸1週間有給をもらう」人や、「塾に通う者も多い」ようです。

トッパン・フォームズ社員の口コミ(キャリコネ)

印刷業界ではトップ水準を誇る

「印刷関連業種では比較的上位の給与体系 査定については実質相対評価で安定的……

営業インセンティブは年々減少?

「営業は基本的に残業代が付きません 報奨インセンティブの項目も毎年ころころと変わる……

トッパン・フォームズのライバル企業と比較

印刷業界においてはトップクラス

トッパン・フォームズのライバル企業として、凸版印刷(同社の親会社)、共同印刷(総合印刷3位)、共立印刷(商業印刷と情報誌等の出版印刷が2本柱)の3社を取り上げます。トッパン・フォームズの平均年収が682万円であるのに対し、凸版印刷は677.6万円、共同印刷が555.2万円、共立印刷が409.5万円であり、4社中トップのポジションを誇ります。社員の口コミを見ても、「基本給は印刷業界ではトップクラス」という声が多く見られ、このデータからもその通りであることが分かります。

社名平均年収平均年齢平均勤続年数従業員数(単体)売上高
トッパン・フォームズ682万円45.4歳17.3年2612人1791.2億円
凸版印刷677.6万円42.8歳13.5年10730人8166.2億円
共同印刷555.2万円43歳16.6年1821人1891.1億円
共立印刷409.5万円39.5歳14.3年393人304.9億円

出典・参考
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」「2019年国民生活基礎調査」
経済産業省「2019年企業活動基本調査速報-2018年度実績-」
国税庁「平成30年分民間給与実態統計調査」
マイナビ「2020年版 業種別 モデル年収平均ランキング」

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この記事の執筆者

東京大学卒業後、大手自動車メーカー入社。人事部門に配属。女性の働き方プロジェクトリーダーを担当。