2023年02月27日
日本銀行法に基づき、日本の中央として設立された認可法人である日本銀行。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので事前にしっかり対策をすすめましょう。
1882年、日本銀行法に基づき設立された日本銀行は、日本で唯一の中央銀行として、金融政策や信用秩序維持政策、銀行券の発券業務などをはじめ、様々な政策・業務を役割として担っています。
同行の行員からの社風に関する口コミを見てみると、金融インフラという「世の中にならなくてはならない」ものを支える機関であるため、「非常に保守的」「ルールから逸脱することを嫌う」「事務ミスには厳しく、常に緊張感がある」といった口コミが目立ちます。また独自の文化があることも特徴で、「文言の端々で意図を表現する」と言われる「日銀文学」をはじめとした、「日銀スキル」が必要とされます。
日本の根幹を支える機関であるため、行員の業務に対するモチベーション・やりがいは総じて高いものがあり、「日本を支える仕事」「唯一の発券銀行としての仕事に自分が携われていること」に誇りを持ち、「日本経済のインフラを支えている」という自負を感じながら仕事に取り組んでいます。また、同行の存在目的が「物価の安定」と「金融システムの安定」の二つであることが明示されているため、「自分が『何のために働いているのか』はわかりやすい」という声も。環境としても、「周りの職員も優秀な人が多い」「基本的に優秀な人が多く、論理だてて話せば伝わる」と人材面で恵まれた環境であることが分かります。さらに、人材育成に対しても充実しており、「他者に教える文化がしっかりと根付いている」とともに、「勉強を奨励する組織、実際に留学制度など、長期的な人材育成には非常に力を入れている」と、制度面でも充実しているようです。しかし、与えられる教育機会だけでなく、「自力で勉強することが求められる」ため、「勉強する人が苦痛な人にとっては向かない職場」だとも言われています。
「日本経済を支える仕事に大きな誇りとやりがいを感じながら、常に自らのスキルを磨き続ける」、こうした社風にフィットする人材かどうかを、採用面接では見極められます。
日本銀行の職種(コースは)、以下4つに分類されています。
●総合職:日本銀行の政策・業務運営の全般にわたって、高度な分析力、企画力、折衝力などが必要とされるポジションで幅広く活躍するコース
●特定職(業務分野特定タイプ):入社後一定期間の勤務経験を経て、決済業務、発券業務、考査・調査業務、文書業務 の中から、各人の適性等を勘案して業務分野を特定、その分野のエキスパートとして活躍するコース
●特定職(専門分野特定タイプ):あらかじめ特定した分野の専門知識やスキル(システムエンジニアリング、経済、法律、語学)を駆使しつつ、担当領域に関するエキスパートとして活躍するコース
●一般職:中央銀行業務の円滑な遂行を支える実務のエキスパート、また総合職と特定職のサポート役として活躍するコース
現時点で募集されているキャリア採用の職種は、総合職と特定職(専門分野特定タイプ<SE>)の2つです。いずれについても募集時期は「随時」であり、「採用予定人数に達し次第募集終了」と公表されています。
選考のプロセスとしては、応募書類を提出したのち、書類選考合格者のみが面接選考と適性検査を受検します。応募書類は、総合職の場合は、職務履歴書・志望動機書および小論文(金融・経済に関する課題を取り上げそれに関する処方箋を述べるもの)、SEの場合は履歴書・職務経歴書・志望動機書の3点です。
面接の回数については、応募者の口コミによると「3回」であることが多いようです。「一次面接は人事担当、二次面接は部長クラス、最終面接は役員クラス」だったという口コミも見られます。また一次面接では、「面接官が途中で交代した」と、二名の面接官に担当されたり、「とにかく面接重視、何名もの面接官に会う」という口コミもあり、スキル面はもちろん、人物確認に重点を置いていることが分かります。
日本銀行での面接では、「金融の今後の在り方について」「日本経済について、あなたの見解は?」「あなたが思う日本経済の健全化について」など、日本経済に関する洞察と、それに対する見解を問う質問が多く投げかけられます。質問の問題数について「多くはない」とのことですが、「一つの内容について複数の視点から深堀される」とのこと。「ロジックをしっかりと立てて明瞭に伝えることが求められる」と、地頭の良さ、論理的思考力も重要な評価ポイントです。
また、「今日の新聞で気になった記事は?」といった、時事問題を問う質問をされるケースも多く見られます。日ごろからのアンテナの高さ、それに対する問題意識の高さを確認していることが分かります。
面接の雰囲気としては、「厳格な雰囲気」ではあるものの、「圧迫されるというわけではない」「思ったよりも面接官が気さくで話しやすい」とのこと。「特に人柄を見られているように感じた」といった口コミや、「選考に進むにつれて、経済に関する知識よりも人柄についての質問が多くなっていく」というものも見られます。
日本銀行の行動原則
●公益の実現
日本銀行法に定められた目的と理念を達成することにより、公益の実現を図る。
●透明性の確保
外部との様々なネットワークを通じて、制作や業務についての説明責任を適切に果たす。
●業務の質の向上
環境変化を適切に捉え、中央銀行サービスの質を高めていく。
●公正な職務の遂行
役職員一人一人が、高いモラルを維持しつつ、公正に職務を遂行する。
日本銀行の面接を受ける前に、行動原則を理解しておきましょう。
上記の行動原則は、日本銀行の全行員に求められるものであり、業務遂行にあたり最も重要であると位置づけられている価値観です。
また、日本銀行の新卒採用サイトでは、求める人材像について、以下の資質を備えている人材であると明記されています。
●パブリックマインド
●チャレンジ精神
●知的好奇心とバランス感覚
日本経済を支えるという「人々が安心して生活できる環境を守る」仕事に対して責任感と「人々の役に立ちたい」という気持ちと「公正さ」、そして大きな課題に対する「チャレンジ精神」、常に勉強し続ける好奇心と人々の生活に思いを馳せられる想像力を持っていること、こうした要素を面接ではアピールすることが大切です。過去の職務経験について、こうした視点でエピソードを整理して、ロジカルに伝えられるように準備しておきましょう。
面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ日本銀行なのか」というものがあります。面接官はこの質問を通して、「それまでの経験を同行で生かせるのか」といった点はもちろん、「本当に同行の特色を理解しているのか」ということを見極めます。
業界や職種の枠を超えて日本銀行について理解するためには、競合となりやすい企業についても調べておく必要があります。他社との違いを明らかにした上で、「なぜ日本銀行なのか」について、説得力のある答えを用意しておきましょう。例として、以下のような企業と日本銀行との違いを調べてみてください。
日本銀行が目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。日本銀行の場合「日本経済を支える仕事に大きな誇りとやりがいを感じながら、常に自らのスキルを磨き続ける」という社風を意識して、「使命感と公正さ、知的好奇心と想像力を持って、大きな課題に果敢にチャレンジできる人材」と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
日本銀行の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
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