2021年06月21日
国内製薬メーカー大手である第一三共への転職。中途採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、一緒に仕事をする仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しておきましょう。
第一三共は、三共と第一製薬の共同持株会社として2005年に設立され、2007年に両社を吸収合併して事業持株会社となりました。イノベーティブ医薬品(新薬)を中心に、ジェネリック医薬品、ワクチン、OTC医薬品の4つの事業を推進しており、豊富な製品ラインナップでもって多様な医療ニーズに貢献しています。
現在は、「2025年ビジョン」として「がんに強みを持つ先進的グローバル創薬企業」を目指すことを掲げている第一三共。仕事の進め方としては、「仕事の過程よりも、結果を重視する」という社風で、口コミでも「自分の行動が業績に直結していくので、やりがいがある」「営業中はかなり自分の裁量に任されるので、どのように時間を使うかが重要」といった声が見られます。
MR職を中心に、チームワークというよりは個人の成果達成に取り組む風土のようで、「会社が販売している全品目を一人で担当するので、ライン制をひいている会社と比較し知識が豊富」「製品ラインナップが豊富であり、医療関係者に対して様々なアプローチができる。そのため、医療関係者から様々な場面で声をかけてもらえ、仕事のやりがいも大きい」「単に物を売るだけではなく、情報や人間力も要求される」という声が多いです。そのため「製品が多いので覚えるのが大変」「様々な領域の知識が求められるので、勉強が欠かせない」という口コミもあり、主体的かつ積極的に取り組むことで、スキルアップにもつながる環境だと言えます。
一方、2つの会社が合併して誕生した会社ならではの側面もあります。口コミでも「第一三共になってから入ってきた新人はわだかまりなくやっていますが、それ以前からの30代後半以降の世代では、結構、お互いの会社の文化をひきずっています」「縄張り争いも正直ある」「年次の高い人は、三共、第一出身で未だにバチバチしていたりするケースも」という声もあり、ひとつの会社として発展していくうえで、大切な過渡期にあると言えそうです。
個人ごとの成果主義という風土の中で、常に学びスキルアップしていく精神を大切にし、医薬品のプロフェッショナルとしてキャリアや人間力を磨いていく。面接でももちろん、こういった社風とマッチする人材であるかが見極められます。
第一三共の選考プロセスは、書類選考と2回以上の面接です。面接官は、人事部、応募部署の担当者、本社の部長クラスが担当します。選考期間は約1ヵ月です。
募集職種は「MR」「臨床研究」「開発研究」「CMCプロジェクトマネジメント」「データアーキテクト」など多岐にわたり、その中でも領域等がさらに細分化されています。
自分の経歴や専門分野とマッチする職種を明確にし、なぜその職種を希望するかを自分の言葉で説明できるようにしましょう。また、面接の最初に数分程度の自己PRプレゼンテーションを求められることもあるようですので、合わせて準備をしておきましょう。
第一三共の面接では、「個人ごとの成果主義という風土の中で、常に学びスキルアップしていく精神を大切にし、医薬品のプロフェッショナルとしてキャリアや人間力を磨いていく」という社風が大いに反映されています。
志望動機などのオーソドックスな質問に加えて、「前職で頑張ったこと」のようなキャリア上の成果を問うものや、「高い倫理観とはなにか」のような人間力にも通じる問いかけもあります。また、「第一三共の製品を10個言ってください」「医師から見た第一三共の評価は?」のような質問もあるため、しっかりと業界研究・企業研究をしてから面接にのぞみましょう。
第一三共の面接対策についてもっと具体的な情報を知りたい場合は、引き続きこの記事をお読みください。面接攻略法や、過去の面接で実際に聞かれた質問内容とその回答例をご紹介します。
第一三共の面接を受ける上では、企業理念のうち、行動指針にあたる「コアバリューとコミットメント」を理解しておくことが不可欠です。「コアバリューとコミットメント」は以下の要素で構成されています。
コア・バリュー
Innovation・・・社会や人々の生活に大きな変化を与える新しい仕組みや発明などを創造すること
Integrity・・・法令、規則、個人行動原則などを遵守し、誠実さと高い規範を保つこと
Accountability・・・行動の結果に責任を持ち、その結果に至ったプロセスに対して、充分な説明ができることコミットメント
1.SOCを変革する先進的医薬品の創出
2.グローバルな視野とリージョナルバリューの尊重
3.アカデミックな探求心と先見性のある洞察力
4.高品質な医療情報の提供
5.高品質な医薬品の安定供給
6.信頼される医療パートナー
7.目標実現への強い意志
8.プロフェッショナルな個人と強いチームワーク
これは第一三共の企業カルチャーの土台となる価値観。しっかりと理解した上で自己分析に落とし込み、面接でこの理念に合致する人材であることをアピールしましょう。
例えば、コアバリューの3つの要素は、社会人としての仕事への取り組み方に直結しています。既存のやり方にとらわれず、新しい発想を持って変革にチャレンジした経験があれば、「Innovation」のアピールにつながります。また、受け持った仕事に責任を持って取り組み、最後までやり遂げたことや、その過程で工夫したことなどがあれば、「Integrity」「Accountability」のアピールとして具体的に説明すると良いでしょう。
また、コミットメントの8つの要素は、医薬品を扱うプロフェッショナルとして問われる視点が多く含まれています。これまでのキャリアの中で医療情報や医薬品とどう向き合い、どのようなことを心がけていたのか。そして取引先とどのようなパートナーシップを築いて信頼関係を作り上げてきたのかなど、できるだけ具体的なエピソードと合わせて紹介するようにしましょう。
第一三共の面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜ第一三共か」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「この人は何をやりたいのか」「それが当社で可能なのか」「この人の経歴が当社でどう活かされるか」といった視点ももちろんですが、「本当に当社のことを理解しているか」という側面も合わせて見ています。
業界理解や職種理解の枠を超えて、第一三共という企業についてしっかり理解する。そのためには、競合となりやすい企業の他社研究も忘れないようにしましょう。具体的には、以下のような企業について調べておくことがおすすめです。
●武田薬品工業株式会社
●アステラス製薬株式会社
●エーザイ株式会社
●中外製薬株式会社
このように、第一三共の採用面接を受ける前には、企業理念に基づいた自己分析や他社研究を踏まえた志望動機の整理が大切です。そして面接の場では、「個人ごとの成果主義という風土の中で、常に学びスキルアップしていく精神を大切にし、医薬品のプロフェッショナルとしてキャリアや人間力を磨いていく」という社風を意識して、常に変化する業界環境の中で、堅実で先見性のある研究姿勢や向上心を持って行動できる人材であると印象付けられるよう、様々なエピソードを準備しておくと良いでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
第一三共の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●「個人ごとの成果主義という風土の中で、常に学びスキルアップしていく精神を大切にし、医薬品のプロフェッショナルとしてキャリアや人間力を磨いていく」という社風を理解して、これに合致する人材であることをアピールする。
●企業理念、コア・バリューとコミットメントを理解して、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても研究し、「なぜ第一三共か」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするように心がけましょう。
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