転職活動において、企業の真の姿を知るための情報は不可欠です。しかし、ネット上の断片的な情報や主観的なイメージだけでキャリアを決めるのは、リスクが伴います。
そこで本記事では、Salesforce, Inc.(以下、セールスフォース)が投資家や規制当局に向けて公表した、法的開示義務のある「公式資料」を分析しました。
- Form 10-K:2025年1月期(FY2025)の米国証券取引委員会(SEC)年次報告書
- Annual Report 2025:経営陣の戦略メッセージ
- Stakeholder Impact Report 2025:人材育成やDEIの実績報告
客観的なデータと、日本国内の最新求人票の職務要件、それに現役・OBOG社員の口コミを照らし合わせることで、セールスフォースが現在どのようなビジネスを追求し、どのような組織システムで従業員を評価・支援しているのかを明らかにします。
1. セールスフォースとはどんな会社か
■1-1 企業の現在地:CRMから「AIエージェント企業」へ
セールスフォースは1999年の創業以来、「カスタマーリレーションシップマネジメント(CRM)テクノロジーの世界的リーダー」として市場を牽引してきました。
同社が掲げるミッションは、「データ、AI、CRM、そして『信頼』の力によって、あらゆる規模・業種の企業が顧客とつながることを可能にする」ための基盤を提供することにあります。
創業26年目を迎えた現在、同社は歴史的な転換点にあります。
2025年1月期第3四半期に発表された自律型AI「Agentforce(エージェントフォース)」の導入により、単なるソフトウェア提供から、人間とAIエージェントが一つのプラットフォーム上で協調して働く「デジタル労働力(Digital Labor)」のプラットフォームへと自らを再定義するフェーズにあります。
■1-2 経営トップとガバナンス:CEOが語る「歴史的転換」
セールスフォースの経営を主導するのは、共同創設者であり会長兼CEOを務めるマーク・ベニオフ(Marc Benioff)氏です。
ベニオフ氏は、2025年1月期の年次報告書(Annual Report 2025)の「ステークホルダーへの手紙」の中で、AIエージェントによる変革について以下のように記しています。
「私はこれまで、クラウド、モバイル、AIの各革命においてセールスフォースを率いてきましたが、今回の変化は、私がこれまで見てきた中で最も深い変革です」
同レポート内ではこれに続けて、「これは単なるテクノロジーの転換ではなく、仕事の進め方そのものの革命である」という趣旨のメッセージも発信されています。
なお、同社の取締役会には、独自の「プライバシー、サイバーセキュリティ、および倫理的使用に関する委員会」が常設されています。これはAIの倫理的利用や安全性が、経営レベルの監督事項として組織に組み込まれていることを示しています。
■1-3 グローバル展開と日本市場
セールスフォースはニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場しており(ティッカー:CRM)、サンフランシスコの本社「セールスフォース・タワー」を拠点に世界中でビジネスを展開しています。2025年1月31日時点での主な規模感は以下の通りです。
- 従業員数:全世界で7万6,453名
- 財務規模:通期売上高 378億9,500万ドル(前年比9%増)
- 将来の収益性:残存パフォーマンス義務(RPO)634億ドル(前年比11%増)
なお、残存パフォーマンス義務(RPO)とは、すでに顧客と契約を締結しているものの、まだ収益として計上されていない「将来の売上予定額(受注残高)」のことです。サブスクリプション型ビジネスにおいて、会社の将来的な成長性や安定性を測る上で極めて重要な指標です。
地域別の成長率では、日本を含むアジア太平洋(Asia Pacific)地域が顕著な勢いを見せています。売上高は38億6,100万ドル(全体の約10%)ですが、その成長率は12%と、米州(8%増)や欧州(9%増)を上回る世界トップの数値を記録しました。日本市場はグローバル戦略における「最重要の成長エンジン」の一つとして確立されています。
2. 事業と組織:何を、どう提供し、どう運営しているか
■2-1 セグメント別業績分析:収益の柱と成長領域
| 会計セグメント | 売上高(FY2025) | 構成比 | 役割と特徴 |
|---|---|---|---|
| Service | 90億5,400万ドル | 約24% | 顧客サポート基盤を提供。現在、全社最大の収益柱。 |
| Sales | 83億2,200万ドル | 約22% | 営業活動の自動化・効率化を支援。創業以来の主力製品。 |
| Platform and Other | 72億4,700万ドル | 約19% | 開発基盤および Slack を含む成長領域。 |
| Data | 57億7,500万ドル | 約15% | MuleSoft と Tableau で構成。AIの精度を左右する。 |
| Marketing & Commerce | 52億8,100万ドル | 約14% | 顧客接点のパーソナライズとEC基盤を統合提供。 |
| Professional Services & Other | 22億1,600万ドル | 約6% | 導入支援、コンサルティング、教育・トレーニングを提供。 |
出典:年次報告書(Form 10-K)
- 最大の稼ぎ頭は「サービス」:現在の筆頭セグメントは「Service」であり、既存顧客の維持やカスタマーサクセスへの市場ニーズの高さが、新規営業支援(Sales)の規模を凌駕しています。
- プロフェッショナルサービスの介在価値:22億ドルを超える規模を持つこのセグメントは、製品導入時のコンサルティングや教育を担う専門組織であり、ソフトウェア(サブスクリプション)とは別枠の重要な収益源です。
■2-2 主要製品ラインと統合プラットフォーム:共通基盤上の6つのアプリ
前述の各セグメントには、以下の「6つの主要製品ライン」が紐付いています。これらはすべて共通基盤 「Salesforce Platform」上で動作しており、全部署のデータがリアルタイムで統合される仕組みです。
- Service Cloud (Serviceセグメント):コンタクトセンターから現場でのフィールドサービスまでを統合し、AIによるケースの自動要約機能などを備えます。
- Sales Cloud (Salesセグメント):見込み客の発掘から見積もり、成約、注文管理まで、あらゆる営業プロセスを自動化します。
- Marketing Cloud (Marketing & Commerceセグメント):顧客一人ひとりの行動に基づき、最適なタイミングでパーソナライズされたエンゲージメントを実現します。
- Commerce Cloud (Marketing & Commerceセグメント):B2CおよびB2Bのあらゆるチャネルにおいて、シームレスな購買体験を提供します。
- MuleSoft (Dataセグメント):社内外のあらゆるシステム、データ、APIを接続し、IT環境全体のガバナンスとセキュリティを強化します。
- Tableau (Dataセグメント):ビジネスデータを高度に可視化・分析し、AIエージェントによるアクションや経営の意思決定を支援します。
これらに加え、コミュニケーション基盤の Slack も「Platform and Other」セグメントの一部として、このエコシステムに深く統合されています。
■2-3 「デジタル労働力」の核心:AgentforceとData Cloud
現在、同社が最優先で投資し、中途採用の現場でも戦略的中核として位置づけられているのが以下の2点です。
- Agentforce:人間の介入なしに顧客の問い合わせを理解し、アクションを実行する自律型AIエージェントです。同社自らが「Customer Zero」として導入した結果、サポートケースの84%を人間を介さずに解決し、見積もり速度を75%向上させています。
- Data Cloud:50兆件以上のレコードを管理するデータ統合エンジンで、AIエージェントが正確な判断を行うための「単一の真実(Single source of truth)」を提供します。日本の求人現場でも、技術職だけでなく営業職の募集要項においても「データ基盤の提案」が頻出しており、AI時代に必須の武器となっています。
なお、同社の戦略の特徴は、自社製品に閉じない「プラットフォーム中立」という方針にあります。AWS、Azure、Google Cloud、Snowflake、Databricksといった他社インフラとの積極的な統合を推進しています。
また、1,900万人の学習者による「Trailblazerコミュニティ」のエコシステムが、顧客の既存投資を活かしたAI導入を技術面から支えています。
■2-5 組織の設計思想:分業モデル「The Model」と目標管理
効率的な事業運営と「信頼」の担保を実現するため、組織は以下の仕組みによって統制されています。
- 分業体制「The Model」:インサイドセールス、外勤営業(AE)、カスタマーサクセス(CSM)、コンサルタントといった職種が明確に分担されています。これにより、新規獲得から導入後の定着支援、解約率の抑制までをリレー形式で繋ぐ体制が構築されています。
- 目標管理システム「V2MOM」:会長から新入社員まで、全社員の99%が「V2MOM」で自身の目標を公開し、組織全体のベクトルを合わせています。また、92%の社員がマネージャーとの「四半期チェックイン(定期面談)」を実施しており、81%の社員が自身の評価に納得感を持っています。
3. 業績と事業ポートフォリオ:収益性への構造転換
財務データからは、セールスフォースが売上の拡大だけでなく、「収益性の最大化」と「株主還元」を重視するフェーズに入ったことが読み取れます。
■3-1 売上・利益のトレンド:過去最高の業績と効率化の結実
2025年1月期(FY2025)は、通期売上高が前年比9%増の378億9,500万ドルに達し、さらに第4四半期には同社史上初となる100億ドルクォーター(3か月間の売上高。日本円で約1.5兆円)を達成しました。
| 指標 | 2023年1月期(FY2023) | 2024年1月期(FY2024) | 2025年1月期(FY2025) |
|---|---|---|---|
| 売上高(Revenues) | 313億5200万ドル | 348億5700万ドル | 378億9500万ドル |
| 営業利益(GAAP) | 10億3000万ドル | 50億1100万ドル | 72億500万ドル |
| 営業利益率(GAAP) | 3% | 14% | 19% |
| 純利益(Net Income) | 2億800万ドル | 41億3600万ドル | 61億9700万ドル |
出典:年次報告書(Form 10-K)
■3-2 セグメント別収益:アジア太平洋(日本含む)の躍進
地域別で見ると、日本を含むアジア太平洋地域がグローバルの成長を牽引しています。
- 米州 (Americas):251億4,300万ドル(前年比8%増)
- 欧州 (Europe):88億9,100万ドル(前年比9%増)
- アジア太平洋 (Asia Pacific):38億6,100万ドル(前年比12%増)
アジア太平洋地域は、売上規模こそ全体の約10%ですが、全地域で唯一2桁成長を維持しています。この事実は、グローバル戦略における日本市場の重要性を裏付ける強力なデータです。
■3-3 キャッシュフローと投資:株主還元と構造改革の現在
セールスフォースは潤沢なキャッシュ(営業キャッシュフロー 131億ドル)を背景に、成長投資と株主還元の両輪を回しています。
- 株主還元:FY2025において、約78億ドルの自社株買いを実施したほか、同社初となる計約15億ドルの配当支払いを行いました。
- 構造改革の継続:2023年に開始された大規模なリストラ計画は、人員面ではほぼ完了したものの、オフィス削減等の不動産関連のアクションは2026年1月期末まで継続される予定です。2025年1月期末時点で、今後約3億ドル〜3.25億ドルの関連支出が見込まれています。
セールスフォースのリストラ
2023年1月に発表された「全従業員の約10%削減」を含む人員整理のアクションは、FY2024末までに実質的に完了しています。オフィススペースの削減や賃貸借契約の終了などは現在も進行中であり、2026年度(FY2026)末までに完了する予定です。
2025年度(FY2025)には「ターゲットを絞った人員およびオフィススペースの削減」を新たに開始し、約4億6,100万ドル(約700億円規模)の構造改革費用を計上しています。
経営陣は、特に「セールス&マーケティング」および「一般管理費(人事・財務などのバックオフィス)」の分野において、コスト改善の余地が最も大きいと指摘。将来的にさらなる効率化が必要になった場合、追加の構造改革を実施する可能性も記されています。
4. 評価と報酬:成果を最大化するシステム
セールスフォースでの働き方を理解する上で、最も重要なのが「独自の目標管理システム」と、それに基づいた「報酬体系」です。これらは仕組み(システム)として世界共通の枠組みで運用されています。
■4-1 独自の目標管理システム「V2MOM」
セールスフォースの全社員は、会長のベニオフ氏から新入社員まで「V2MOM(ブイツーマム)」と呼ばれる共通のツールで目標を管理しています。
- 組織の整合性:対象となる従業員の99%がV2MOMで自身の目標を公開しており、組織全体のベクトルを合わせています。
- 評価の納得感:年に一度の目標設定に加え、92%の社員がマネージャーとの「四半期チェックイン(定期面談)」を実施しています。81%の社員が、自身の評価がこのチェックインでのフィードバックと一致していると回答しており、評価の透明性を高める仕組みが機能しています。
■4-2 報酬体系の実態:OTEと資産形成支援
報酬は、「現金の給与」(固定+変動)と「株式」を組み合わせた多層的な構成です。
- OTE(On Target Earnings)制度:営業職などを中心に、基本給(Base)と100%目標達成時のインセンティブ(Variable)で構成される報酬体系が適用されます。
- 株式報酬(RSU/PSU):制限付き株式ユニット(RSU)や業績連動型RSUが授与され、社員が「株主」としての視点を持つことが期待されています。
- 従業員株式購入プラン(ESPP):従業員が自社株を「15%割引」で購入できる権利があり、資産形成の強力な手段となっています。
【現場の声】 給与水準はインサイドセールスとしては割と高い方です。KPIの達成率が100%を超えたときには、インセンティブ率が通常貰える1件の有効商談に2倍されます。目標達成をすればするほどその分のリターンが大きくなるシステムです。 [キャリコネで口コミを見る]
■4-3 公平性の担保と福利厚生
セールスフォースは「平等(Equality)」をコアバリューの一つに掲げ、それを制度として具体化しています 。
- 同一労働同一賃金:2015年から毎年、賃金格差のアセスメントを実施し、全世界で性別や人種による不当な格差を排除し続けています 。
- 実利的なサポート:全従業員の95%が、現地の税制等に詳しい専門家による「1対1の財務ガイダンス」を無料で受けることが可能です 。
- 1-1-1モデルと寄付:個人が行った寄付に対し、会社が年間最大1万ドル(約150万円)まで同額をマッチングして寄付する制度が運用されています 。
5. 人材・キャリア:社内マーケットプレイスと育成への投資
■5-1 高い内部流動性を支える「Career Connect」
セールスフォースは、全社の空きポジションの31%が社内の候補者によって埋められており、極めて高い内部流動性を実現しています。
- AIによるプロジェクトマッチング:AI搭載の社内タレントマーケットプレイス「Career Connect」が導入されています。社員が自身のスキルや経歴を登録することで、社内の新しい役割や一時的なプロジェクト、学習機会との最適なマッチングを受けることができます。
- 主体的なキャリア形成:この仕組みにより、組織の壁を越えて新しい領域へ挑戦することが、制度として日常的に行われています。
【現場の声】 アップ・オア・アウト(昇格できなければ退職)の考えはあまり強くない。売れない社員がいても配置を適正に変えて成果を出せるようにしている。顧客育成の概念が強く、お客さんとの関係構築を重視するため、インサイドセールスの経験がある人の方が成果が出やすい傾向がある。 [キャリコネで口コミを見る]
■5-2 「AIエージェント革命」のためのリスキリング投資
AI時代において社員のスキルを陳腐化させないための投資額は、他社の追随を許さない規模です。
- 「AI for All」プログラム:AIスキルのギャップを埋めるため、5,000万ドル(約75億円以上)を投じるイニシアチブを推進しています。2025年末まで、全従業員およびコミュニティに対して、プレミアムなAIコースや認定資格を無料で提供し、10万人の学習者への普及を目指しています。
- 学習の可視化:オンライン学習プラットフォーム「Trailhead」では、累計9,900万個以上のバッジ(スキル証明)が獲得されています。ここでの学びは単なる自己啓発ではなく、社内での評価や異動の際の客観的なエビデンスとして機能します。
■5-3 従業員を支える「ウェルビーイング」の仕組み
従業員へのベネフィットは、パフォーマンスを最大化するための「生活基盤の安定」に重点が置かれています。
- 経済的自立の支援:全従業員の95%が、現地の税制や家計に詳しい専門家による「無制限の1対1財務ガイダンス」を無料で受けることが可能です。
- 1-1-1モデルとVTO:年間7日の有給ボランティア休暇(VTO)が付与され、さらに個人が行った寄付に対して、年間最大1万ドル(約150万円)まで会社が同額をマッチングして寄付する制度が運用されています。
6. リスクと課題:10-Kが語る現実
■6-1 継続的な構造改革と生産性の追求
同社は、収益性を重視した組織への転換を今なお進めています。
- オフィス削減の継続:2023年に始まった構造改革のうち、不動産関連(オフィスの縮小・再編)のアクションは2026年1月期末まで続く予定です。
- 効率化へのコスト:2025年1月期末時点で、リストラ関連の将来的なキャッシュ支出として、主に退職金などで約3億ドル〜3.25億ドルの支払いを見込んでいます。
■6-2 熾烈な人材獲得競争とリテンション
「AIエージェント企業」への変革を支える人材の確保は、経営上の大きな不確実性として挙げられています。
- 専門人材の不足:高度なエンジニア、データサイエンティスト、そして経営層に食い込める提案力を持つセールスエグゼクティブの獲得において、業界全体で極めて激しい競争に晒されています。
- 報酬の魅力維持:競合他社からの引き抜きに対し、現在の報酬体系やベネフィットが常に優位性を保ち続けられるかどうかが、成長維持の鍵でありリスクでもあると認めています。
■6-3 AI技術と規制に伴うレピュテーションリスク
事業の核であるAIが、ブランドの根幹である「信頼」を損なう可能性について注意喚起されています。
- 出力の安全性:AIが不正確な情報を生成(ハルシネーション)したり、有害なバイアスを拡散したりするリスクに対し多額の投資を続けていますが、完全な回避は保証されていません。
- 法規制への適応:EUのAI法(EU AI Act)やデジタル運用レジリエンス法(DORA)など、世界中で急速に整備される規制への対応が、コスト増大や提供サービスの制限に繋がる懸念が示されています。
【現場の声】 面接担当者からは「うまく商談が進まないときは、どのように突破するか」と尋ねられた。そこで、キーマンを見極めて直接働きかける方法と、キーマンに影響を与えることができる人物を見つけてアプローチを行う方法を、実例を交えて具体的に答えたところ、年収アップの転職が実現した。 [キャリコネで口コミを見る]
7. 日本法人の求人分析:グローバル戦略の「着地点」
■7-1 職種別の重点:「大規模顧客」と「定着支援」への注力
10-Kに掲げられた「エンタープライズ顧客への浸透」と「複数製品の採用促進」という戦略は、日本の募集職種の内訳に反映されています。
- 大手企業担当(Enterprise AE)の厚い布陣:営業系の求人の約4割が大手企業担当のアカウントエグゼクティブ(AE)です。 CxOクラスの経営層と対峙し、企業のビジネス変革を提案する高度なコンサルティング能力が必須要件となっています。
- 「売って終わり」にしないサクセス部隊:全体の約28%を占めるのがカスタマーサクセスマネージャー(CSM)やコンサルタントです。 10-Kに記された「解約率の抑制」を現場で担う部隊が、営業と並ぶ主役として位置づけられています。
■7-2 職務要件(JD)に現れる「AIシフト」の強制力
「Agentforce」や「Data Cloud」は、日本の現場ではすでに「今日から使うべき武器」として職務要件に組み込まれています。
- Data Cloudの必須要件化:以前は技術専門職向けのキーワードだった「Data Cloud」が、今では営業職の募集要項においても「データ基盤の提案」として頻出しています。
- V2MOMによる「自律性」の確認:ほぼ全ての求人で、V2MOMを通じて自ら目標を設定し実行することが求められる旨が記されており、指示待ちではない自律的な姿勢が採用段階で厳しくチェックされています。
■7-3 日本独自のベネフィットと共通の仕組み
インパクトレポートに記された理念は、日本の求人票では「具体的な働くメリット」として明文化されています。
- 共通のインセンティブと資産形成:全ての営業職に「OTE制度」が適用され、「ESPP(従業員株式購入プラン)」がフルタイム採用枠で共通のベネフィットとして提示されています。
- 実利的なサポートの明記:年間7日のボランティア休暇(VTO)やウェルネス手当が、社員の権利として全ての職務要件に並んでいます。
【現場の声】 セールスフォースの営業の難しさは、他社に比べて商材単価が高く、十分な価値提供が前提となるため、単なるツール販売では成果につながらない点だ。また、カスタマーサクセスの考え方に基づき、顧客の成功を見据えた長期的な提案や課題特定が求められる。高額なライセンス費用に見合う価値を的確に伝え、実際に提供することが不可欠となる。 [キャリコネで口コミを見る]



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。