2021年06月21日
油圧機器メーカー大手のKYBへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。
東証一部上場のKYBは、油圧緩衝器や油圧システム製品等の製造・販売を手がける総合油圧機器メーカーです。中でも、自動車や二輪車用ショックアブソーバに強みを持ち、世界を走る自動車の約20%に同社製のショックアブソーバが採用されています。同社の核となる油圧技術を追求する姿勢は、「エンジニアとしてキャリアアップするのに非常にすばらしい環境」という口コミからもわかるように、社員にとっての大きなやりがいにつながっています。
このように世界有数の油圧機器メーカーとして知られるKYBですが、2018年、同社と同社子会社による建築用免震・制振用オイルダンパーの性能検査データ改ざんが発覚。これを受けて、株価も大きく下落しました。その後、2019年10月に「品質基本方針」を制定し、現在も再発防止に向けた取り組みが続いています。
KYB 2019年度第2四半期決算説明資料より
その社風には、昔ながらの日本企業らしさが強く残っているようです。口コミを見ると、「歴史ある企業のためか、社内のプレゼンテーションが極めて重要」「良くも悪くも堅実な会社」「全体の社風としてはのんびりとした会社」といったコメントが目にとまります。また、「女性が管理職を目指すことは稀」「女性にはあまり厳しくない風土」といったコメントからもわかるように、女性活躍に関しては推進途上にあるようです。一方で、「新卒と中途社員では基本的には何も変わらない」という口コミから、中途採用社員が即戦力として活躍できる環境であることがうかがえます。
同社の面接にあたっては、安定を重視した日本的な社風を理解し、こうした環境の中でしっかりと能力を発揮していける人材であることを伝えられるとよいでしょう。
コーポレートサイトからのエントリーによる一般的なフローは以下のとおりです。
①書類選考(2週間後に合否連絡)
②一次面接・筆記試験・適性試験(最終面接まで2〜3週間)
③最終面接(内定まで1週間)
④内定
現在、コーポレートサイトで中途採用の募集はおこなっていませんが、人材会社を通じて「経営企画」「経理・経理関連業務」「自動車・二輪車向け油圧部品の営業職」「自動車部品のテクニカルライター」など、複数の職種が募集されています。その場合、選考フローはコーポレートサイトからの応募の場合と異なる可能性がありますので、上記フローを参考に、余裕をもってスケジュールを組むようにしてください。
「これまでの経歴」「転職理由」「志望動機」などの一般的な質問は必ず出るようです。誰しも準備をしてくる質問なので、しっかりと自己分析をおこない、具体的なエピソードを交えて答えられるようにしておく必要があります。また、転勤や海外赴任ついての可否を確認される場合がありますので、家族の状況なども踏まえ、端的に伝えられるようにしましょう。
技術部門への応募者に対しては、「非破壊で材料の強度を知るにはどうしたらよいか」という専門的な質問も。専門分野についての知識をまとめておくことも重要ですが、たとえわからない分野であっても、仮説を持って論理展開できることが評価の対象となるようです。そのほか、営業部門に応募した面接経験者からは、「英語力についてかなり厳しく質問された」という口コミもあります。
面接の雰囲気は、和やかだと感じた人から圧迫的だと感じた人までさまざまです。面接官によって面接の雰囲気は変わりますので、どんな面接官であっても落ち着いて対応できるようにシミュレーションしておくとよいでしょう。
KYBでは、2017年度から2019年度を対象とする中期経営計画を実行中です。そのスローガンは、「A GLOBAL KYB -CHALLENGE & INNOVATION-」。
「持続的な成長」「収益基盤の安定化」「経営課題の解決」を戦略の柱に据え、グループ売上高5000億円を目指す考えです。
KYB コーポレートサイトより
中期重点方策として、事業ごとに具体的な取り組みをあげています。中でも、同社の主力であるオートモーティブコンポーネンツ(AC)事業とハイドロリックコンポーネンツ(HC)事業においては、以下のような方策を掲げ、集約再編や競争力強化につなげたいとしています。これらの取り組みを通じて収益基盤を安定化させ、次期中期経営計画では高収益体質を目指す考えです。
〜中期重点方策〜
1.オートモーティブコンポーネンツ(AC)事業
顧客の需要地シフトに合わせた拠点統廃合と高付加価値品の開発・拡販により成長軌道を描く
2.ハイドロリックコンポーネンツ(HC)事業
市場変動に左右されない安定した売上高、利益の確保(ショベルを基盤としながら、攻めきれていない成長市場への拡販を強化)
KYB 2019年度第2四半期決算説明資料より
面接にあたっては、中期経営計画をしっかりと理解し、自分にどんな貢献ができるのかを意識しながら自己分析を進める必要があるでしょう。
面接でよく聞かれる質問のひとつに「なぜKYBなのか」というものがあります。面接官がこの質問を通して知りたいのは、「応募者のやりたいことは何か」「それがここで可能なのか」といった点はもちろん、「カルチャーフィットする人材なのか」という点です。
そのためには、業界や職種の枠を超えてKYBについて理解する必要があります。競合となりやすい企業についても調べておき、他社との違いを明らかにしたうえで、「なぜKYBなのか」説得力をもって答えられるようにしておきましょう。一例として、以下に同業他社をご紹介しますので、研究の参考にしてみてください。
KYBが目指している方向性や、どういった人材が求められているのか、企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。
KYBは、歴史ある日本企業に見られがちな、変化やスピードよりも安定を重視した社風と言えるかもしれません。また、免震・制振用オイルダンパー問題への対応が続く中、企業の社会的責任について社員一人ひとりが考えなければならない局面にあるといえます。そのような状況にある同社で、「確実に自分の役割を果たせる人材」だと印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策をしておきましょう。
KYBの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
安定を重視した日本的な社風の中で、しっかりと能力を発揮できる人材であることを具体的なエピソードを交えて伝える。この記事の執筆者