2021年06月21日
輸送用照明機器のトップブランド、小糸製作所への転職。採用面接は新卒の場合と違い、仕事への取り組み方やこれまでの成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策しましょう。
2015年に創業100周年を迎えた小糸製作所。1915年の創業以来、企業メッセージ「安全を光に託して」を掲げ、自動車用ランプメーカーとして業界をけん引してきました。取り引き先はトヨタや日産をはじめとする国内自動車メーカーにとどまらず、世界の主要自動車メーカーまでグローバルに展開。ヘッドランプにおいては世界トップシェアを誇っています。
口コミを見ると、「自分が開発に携わった製品を街中で見かけることが多く、働きがいを感じる」「開発される前の最先端技術に触れることができる」など、トップブランドで働くことに醍醐味を感じている社員が多いようです。また「中途採用でもある程度のスキルがあれば、どんどん仕事を任せてもらえる」「1人に割りあてられる仕事の責任が大きいので、実務を経験しながら成長できる」といった声も聞かれ、社員一人ひとりに与えられる仕事の裁量が大きい点もやりがいにつながっているようです。
そんな同社の社風は、トップダウン型で年功序列。部署によっては体育会系の色が濃く、「良くも悪くも昔ながらの古い体質が残る日本企業」と感じている社員も少なくないようです。その一方で「プライベートも会社の人と遊ぶ社員が多い。いざとなったら手を差し伸べてくれたり、一緒にがんばってくれるアットホームな社風」であるとの声もあり、チームワークの良さや社員同士の距離の近さが伝わってきます。
古い体質は残っているものの、安定した経営基盤の中で仕事に集中でき、世界最先端の技術に触れながらスキルアップできる環境は、技術者冥利に尽きるでしょう。
面接ではこうした社風にフィットする人材かどうかを見極められます。口コミには社風をはじめ、年収やワークライフバランスなどの情報も数多く掲載されていますので、そちらも事前に目を通しておきましょう。
コーポレートサイトの採用ページを見ると、選考手順は、書類選考→2次試験(応募職種の専門家による面接)→最終面接(個人面接)→内定となっています。
合否の連絡は2次試験は2週間以内、最終面接は1週間以内に連絡。面接したその日に合格の連絡が届いたという口コミもあります。
同社では現在、〈事務・管理〉〈研究・開発・設計〉〈生産技術〉といった職種の募集を行っています。〈事務・管理〉に関しては、東京や静岡などの国内拠点と海外拠点があります。〈研究・開発・設計〉〈生産技術〉に関しては、技術センターのある静岡が主な勤務地となっています。詳細は採用ページを確認してください。
志望動機や「入社後なにをしたいか?」など一般的な質問内容が多いようです。「なぜサプライヤーに入りたいと思ったか?」「なぜ照明部品なのか?」といった一歩踏み込んだ質問をされることも。これらの理由について深堀りし、自分の言葉で伝えられように準備しておくことをおすすめします。コーポレートサイトの採用ページに社員インタビューが数多く掲載されています。そこからキーワードを拾ってみるのもよいかもしれません。
また、前職について具体的な仕事内容を質問された面接経験者から「今までの経歴をプレゼンできる準備をしていくことが大事」とのアドバイスもあります。単に経歴を並べるだけでは熱意が伝わりません。自分の強みや即戦力となりうることをアピールするために、これまで積み上げてきた経験や成果を最大限に活かしたエピソードを準備しておきましょう。
小糸製作所 「Annual Report 2019」より
小糸製作所の面接を受けるにあたっては、コーポレートサイトのIR情報やトップメッセージに目を通しておく必要があります。2019年8月に発表された「Annual Report 2019」の中に、中期的な会社の経営戦略が明記されています。
なかでも留意すべきは、以下の内容です。
●自動車産業の世界最適生産の拡大に対応すべく、世界5極(日本・北米・欧州・中国・アジア)における生産能力の強化。
実際、同社では2019年7月にNALメキシコの工場を拡張。さらに12月にはマレーシアで生産開始、2020年にはコイト・チェコの工場拡張やインド西部グジャラート地区における新工場稼働を予定しています。
●モビリティ変化に対応すべく、コネクティッド・自動運転・シェアリング・電動化など、お客さまや市場ニーズを先取りした製品開発力の強化。
同社の研究開発は、小糸製作所技術センター(日本)を中心に、NAL技術センター(北米)、KCZ技術セクション(欧州)、広州小糸技術セクション(中国)、タイ・コイト技術センター(アジア)といった世界5極体制で展開。グループ全体の研究開発スタッフは2981名(2019年3月時点)、研究開発費の総額は340億円(2019年3月期)と連結売上高の4.1%を占めています。
また、2020年2月には、先進運転支援システム(ADAS)・自動運転向け LiDAR の製造・販売企業である米国のベンチャー企業、セプトン社の株式を取得。同社の自動車照明器技術と組み合わせたランプの実用化に向け、共同開発に取り組む意向を示しています。
さらに、トップメッセージには「企業メッセージ『安全を光に託して』のもと、自動車照明器、電気機器メーカーとして、お客さまの求める新しい価値を創造。安全・安心、そして信頼できる製品・サービスの提供を通じて、自動車産業や社会の発展に貢献すべく事業展開しております」とあります。
100年に一度の大変革期を迎えている自動車業界において、世界を舞台に新しい価値を創造していく。こうしたビジョンに今までの自分の経験やスキルを結びつけて、どのように活躍できるかを、自分の言葉で具体的に答えられるように準備しておきましょう。
面接でよく聞かれる質問に「なぜ小糸製作所なのか」があります。この質問の意図は「入社後なにをしたいのか」、「これまでの経験やスキルをどのように活かしたいのか」といった本人のビジョンに加え、「業界や職種、会社についてどの程度理解しているのか」、「募集しているポジションにマッチした人材か」といった点を見極めることです。
前述の通り、同社の場合は「なぜメーカーではなく、サプライヤーなのか」、さらには「なぜ照明器なのか」について、自分なりの明確な答えを準備しておく必要があります。
面接に際しては、採用担当者の質問の意図を考えてから答えるようにしましょう。同時に、会社の理解を深めるためには、競合他社も含めた業界研究が不可欠です。ここでは近い業界に属する企業を3社あげますので、研究の参考にしてみてください。
スタンレー電気株式会社
ボッシュ株式会社
株式会社デンソー
小糸製作所が目指している方向性や、どういった人材を欲しがっているのかが企業研究を通じて分かってきたのではないでしょうか。小糸製作所の採用面接を受ける前には、IR情報などを参考に中長期的な経営戦略を読み解き、自己分析や他社研究を踏まえて志望動機を整理することが大切です。そして面接の場では「世界最先端の技術に触れながらスキルアップできる」という社風や、「世界を舞台に新しい価値を創造していく」というビジョンにマッチした人材と印象づけられるよう、さまざまなエピソードを準備しておくとよいでしょう。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
小糸製作所の採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
世界最先端の技術に触れながらスキルアップできる環境のもと、自分の経験や情熱をどのように発揮できるかをアピールする。
中長期的な会社の経営戦略を理解し、それに沿った自己分析を行い、自己PRにつなげる。
競合他社についての理解を深め、「なぜ小糸製作所なのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
この記事の執筆者