2021年06月21日
キリンホールディングス傘下で医療用医薬品事業を手がける協和キリンへの転職。採用面接は新卒の場合と違い、これまでの仕事への取り組み方や成果を具体的に問われるほか、キャリアシートだけでは見えてこない「人間性」も評価されます。即戦力として、ともに働く仲間として多角的に評価されるので、事前にしっかり対策をすすめましょう。
協和キリンは、2008年にキリンファーマと協和醱酵工業の合併により協和発酵キリンとして誕生した製薬会社です。2019年7月1日付で現在の協和キリンに社名を変更しました。
バイオテクノロジーや抗体医薬を強みとし、「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献する」ことを経営理念としています。
企業の合併では、組織文化や風土の融合に時間がかかることが一般的です。ところが、同社の口コミには「旧社がどちらかについて気にする人はいない」「どこ出身とか関係なくフランクな関係」「いろんな文化がいい意味で入り乱れている」といったコメントが並び、融合が成功していることがうかがえます。そうしたフラットな気風はあらゆる場面で見られるようで、「誰が中途入社か、誰も気にも留めていない」「女性に対しては非常にフェア」といった声が多いのが印象的です。
また、職場の雰囲気については、「和気あいあいとしている」「静かで落ち着いている」などの声があがっています。同時に、社内イベントやプライベートでの交流も盛んな様子からは、明るく朗らかな社風がうかがえます。
一方で、近年、急速にグローバル化が進んでいる製薬業界。同社でも「まったりした社風が急激に変わりつつある」「英語ができない人は相手にされなくなりつつある」「今はスペシャリストよりもジェネラリストの方が出世に有利だが、今後はグローバル化に伴い変わっていくと思う」といった口コミが多く見られ、社風にも影響を及ぼしているようです。
総じて、フラットで落ち着いた社風が特徴の協和キリン。しかし、近年はグローバル化の流れを受けて、その社風にも変化の兆しも見られます。そのなかで、周囲と協力しながら変化に対応していける人材であることをアピールできるとよいでしょう。
協和キリンでは、さまざまな職種で中途採用がおこなわれています。選考フローは、ポジションにより多少の違いはありますが、一般的には以下のようになります。
書類選考→1次面接→SPI適性検査→最終面接
応募に際して、必要な能力や優遇されるスキル・経験についてはコーポレートサイトに設けられた採用ページに詳しく記載されていますので、事前に確認しておきましょう。
なお、同社グループでは「社員一人ひとりの健康で質の高い豊かな人生の実現」を目指して健康経営に取り組んでおり、その一環として、中途採用の必須条件に「非喫煙者」であることを挙げています。喫煙者の場合には、すべての職種で応募ができませんので注意してください。
志望動機やキャリアビジョン、自己PRなどのオーソドックスな質問が中心となります。「自分の5年後10年後までのキャリアパスを聞かれた」という面接経験者は、「自分のことをどう思っているのかを問われる質問が多かった」と当時を振り返ります。こうした質問に明確に答えるためには、自己分析を通じて自分の強みや弱みに向き合うことが大切です。
中途採用の場合には必要とされる能力や経験がはっきりしているため、それに対してどうアピールするかが鍵となります。その意味でも、採用ページに掲載されている「必要な能力・ 経験」や「語学」についてしっかり把握し、自己分析に落とし込む必要があるでしょう。
また、研究者志望の場合には、「研究に対する熱意」や「大学での研究内容」などについて聞かれることが多いとのこと。この質問を受けた経験者からは、「研究内容のパワーポイントの用意と、伝わりやすい説明をできるように準備しておいた方がよい」というアドバイスの声があがっていますので、参考にしてみてください。
2016年から2020年を対象とした中期経営計画では、「グローバル・スペシャリティファーマへの飛躍」に向けた取り組みが掲げられています。戦略の柱として、「グローバル競争力の向上」「イノベーションへの挑戦」「卓越した業務プロセスの追及」「健康と豊かさの実現」の4つを打ち出し、「1000億円以上のコア利益」「海外売上高比率50%」「ROE10%以上」を目指す方針です。
協和キリン 中期経営計画資料より
協和キリン 中期経営計画資料より
具体的に見ていきましょう。
(1)グローバル競争力の向上
優れた医薬品の継続的な創出や、バイオケミカル事業・診断薬事業の海外展開強化を通じ、欧米市場における飛躍的な成長の実現を目指します。これにより、海外売上高比率を50%程度に高めたい考えです。
(2)イノベーションへの挑戦
4つの重点カテゴリー(腎、がん、免疫・アレルギー、中枢神経)への理解を深めると同時に、先端技術との結びつきにより、新たな価値の創造に挑戦します。
(3)卓越した業務プロセスの追及
継続的な業務効率の改善に加え、国内事業環境に則した組織機能の強化を目指します。また、コンプライアンスの徹底とリスク感性の高い組織風土を醸成する考えです。
(4)健康と豊かさの実現
グループが有する事業基盤を生かして、CSV経営を推進する方針です。特に、予防医療や未病への貢献に向けた取り組みが進められています。
以上のように、この中期経営計画では「グローバル」がキーワードになっていることがわかるでしょう。面接にあたっては、これらの戦略を自己分析に落とし込み、自分の価値を出せる領域はどこなのかという視点を持ちながら自己PRをおこなう必要があります。
選考を通じて聞かれる質問のひとつに「なぜ協和キリンなのか」というものがあります。面接官はこの質問により、「入社への熱意」「社風にフィットした人材か」「経営戦略に合致した人材か」といった点を判断しています。
同社の事業内容や経営計画などを理解するとともに、競合他社についても情報収集をおこなわなければなりません。そうすることで、事業展開についてはもちろん、組織文化や風土、目指す姿にそれぞれの違いがあることがわかるでしょう。多数の製薬会社が存在するなかで、「なぜ協和キリンを選ぶのか」についての考えを明快に語れるように準備を進めてください。
●武田薬品工業株式会社
●アステラス製薬株式会社
●中外製薬株式会社
●田辺三菱製薬株式会社
協和キリンが目指している方向性や、どういった人材が求められているが分かってきたのではないでしょうか。
同社では合併後の組織風土の融合がうまくいき、フラットな社風のなかで落ち着いて仕事に取り組める環境があるといいます。しかし、同時にグローバル化の流れによって、その社風にも変化の兆しが見られます。グローバル化による変化は中期経営計画でも示されており、もはや避けて通ることはできません。この変化に対応できる能力を持ち合わせた人材と印象づけられるよう、熱意を持って面接に臨みたいところです。
面接経験者が実際に聞かれた質問をご紹介します。これらの質問をされたらどのように答えるか、しっかりと考えながら面接対策しておきましょう。
協和キリンの採用面接を受けるにあたって、ぜひ押さえておきたい重要なことをご紹介してきました。面接対策として準備しておきたいのは、以下の3つです。
●グローバル化の流れを受け、和気あいあいとした社風に変化の兆しが見られるなかで、周囲と協力しながら変化に対応していける人材であることをアピールする。
●中期経営計画を理解し、これに沿った自己分析をして自己PRにつなげる。
●競合他社についても情報収集をし、「なぜ協和キリンなのか」に対する答えを明確にしておく。
これらについてしっかりと準備して、面接当日は自分の言葉でアピールするよう心がけましょう。
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