0 編集部が注目した重点ポイント
① 国内事業基盤の再構築に向け432名が退職する
2025年9月末、日本の事業基盤をより持続可能な姿へ転換するため、特別希望退職制度により432名が退職します。これは「Vision 2030」実現に向けた組織能力の強化を目的としたもので、2025年10月1日からは新たな体制へと移行します。国内の営業・本社部門を含めた幅広いファンクションで人員構成が刷新され、キャリア開発の選択肢を広げる大きな変革期を迎えています。
② グローバル戦略品の北米成長率が12%に達する
北米市場において、主力製品のCrysvitaが前年同期比11%増、Poteligeoが15%増と力強い成長を継続しています。為替影響を除いた実質ベースでも北米リージョンは12%の増収を記録しており、海外売上比率は73%まで上昇しました。AI技術を用いたプロモーションの進化など、最新のコマーシャル戦略が現地での市場浸透を加速させており、グローバル展開を担う人材の重要性が高まっています。
③ 血液がん領域の新薬候補が11月にFDA審査完了へ
急性骨髄性白血病(AML)を対象とした経口メニン阻害剤「ziftomenib」の承認申請が米国FDAに受理され、優先審査に指定されました。審査終了目標日は2025年11月30日に設定されており、年内の米国承認が期待されています。血液がん領域におけるLife-changingな価値の提供に向け、上市準備費用(ローンチ費用)が販管費に計上されるなど、新製品投入に向けた動きが本格化しています。
1 連結業績ハイライト
出典:2025年12月期 第2四半期 決算説明資料 P.5
※コア営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費 - 研究開発費 + 持分法による投資損益(事業の経常的な収益性を測る指標)
2025年度第2四半期の売上収益は、北米およびEMEAでのグローバル戦略品の力強い成長により2,307億円を確保しましたが、日本での薬価改定やAPAC事業再編の影響で微減となりました。利益面では、研究開発費が前年比7%増加の525億円となったほか、特別希望退職制度に伴う割増退職金等94億円を「その他の費用」に計上したことで、中間利益は前年比56.8%減となりました。
通期予想に対する進捗率は、売上収益が48%、コア営業利益が44%となっています。例年、業績は年度後半にかけて伸びる傾向にあり、会社側は「概ね計画線(ターゲット通り)」と評価しています。中間利益の進捗率は29%に留まっていますが、構造改革費用を織り込み済みであり、年初目標の達成を目指す方針に変更はありません。
2 事業別分析:転職者が活躍できるフィールド
出典:2025年12月期 第2四半期 決算説明資料 P.7
北米リージョン
事業内容:米国・カナダ市場における「Crysvita」「Poteligeo」などのグローバル戦略品の販売・開発を主導。
業績推移:売上収益は884億円(前年比+10.6%)。戦略品の市場浸透により、グループ全体の成長を牽引しています。
注目ポイント:AI・機械学習技術を活用したプロモーションが本格化。投薬可能性が高い医療施設を特定するデータ分析に基づき、効率的な営業活動を展開しています。デジタルトランスフォーメーションを武器に、市場シェアを最大化できるテック志向の商用人材にチャンスがあります。
日本リージョン
事業内容:国内における医療用医薬品の研究・開発・製造および販売。腎疾患、骨・ミネラル、がん領域に注力。
業績推移:売上収益は584億円(前年比 △10.6%)。ドボベットの提携終了や薬価改定が響いたものの、新薬は堅調です。
注目ポイント:高リン血症治療剤「フォゼベル」が前年比119%増と爆発的に伸長。人員削減と並行し、新薬にリソースを集中させる構造改革を断行しています。効率的な情報提供を担う「専任担当者」による活動が定着しており、専門性の高いMRの価値が高まっています。
EMEAリージョン
事業内容:欧州、中東、アフリカ地域における戦略品の展開。Orchard社の買収により遺伝子治療基盤を強化。
業績推移:売上収益は370億円(前年比+0.4%)。一時収益の減少を除けば、戦略品は10%前後の増収と堅調です。
注目ポイント:成人XLH(X染色体連鎖性低リン血症)の欧州ガイドライン制定が追い風となり、成人患者への浸透が前年比30%増と加速。造血幹細胞遺伝子治療「Libmeldy」などの革新的なモダリティの展開も本格化しており、最先端治療の普及を担う機会が広がっています。
その他(APAC・技術収入等)
事業内容:ロイヤリティ収入、APAC市場、Orchard社による遺伝子治療ビジネス、受託製造など。
業績推移:売上収益は469億円(前年比 △7.9%)。APACの事業再編による減収影響(65億円)が主な要因です。
注目ポイント:AstraZeneca社から受領する「ファセンラ」のロイヤリティが前年比9%増と伸びています。また、Orchard社の新規連結により米国での遺伝子治療売上が計上され始めるなど、ポートフォリオの多角化が進展。事業開発(BD)や技術提携管理の重要性が増しています。
3 今後の見通しと採用の注目点
出典:2025年12月期 第2四半期 決算説明資料 P.14
今後の成長を決定づける最重要トピックは、後期の開発パイプラインです。血液がん領域の「ziftomenib」は11月の米国承認を皮切りに、1次治療に向けた第III相試験を2025年下期に開始予定。また、アトピー性皮膚炎を対象とした「rocatinlimab」も、中長期の有効性を評価するROCKET-ASCEND試験のトップラインデータが下期に発表される予定です。
質疑応答では、日本国内の特別希望退職後の体制について言及されました。9月末で432名が退職し、10月1日からは「日本の事業基盤をより持続可能な姿へ」変えるための新体制が始動します。同時に、不足する後期パイプラインを補完するため、事業開発(BD)活動を加速させており、外部からのアセット導入も積極的に検討されています。組織が若返り、グローバル基準のマネジメントが強化される中で、変革を推進できる人材への期待がさらに高まっています。
4 求職者へのアドバイス
志望動機のヒント
同社は現在、国内市場の効率化とグローバル新薬への投資シフトという「両利きの経営」を加速させています。「日本の事業基盤の持続可能性を高め、グローバル発のLife-changingな価値を創出する」という変革ストーリーに共感できるかが鍵です。特に、AIを活用した商用戦略や、Orchard社買収後の遺伝子治療領域の立ち上げなど、「既存の製薬ビジネスの枠組みを超えた挑戦」に意欲を示すことで、採用ニーズに合致したアピールが可能になります。
面接での逆質問例
- 「10月から始まる日本の新体制において、組織能力の一層の強化に向けて現場社員に最も求められている意識変化は何ですか?」
- 「北米で成果を上げているAIや機械学習を活用したプロモーションを、今後日本市場や他のリージョンへどのように横展開していく計画でしょうか?」
- 「Orchard社の買収により、造血幹細胞遺伝子治療という新しい武器を得ましたが、この基盤を他領域へどのように応用していく展望をお持ちですか?」
5 転職者が知っておきたい現場のリアル(口コミ)
プライベートの時間を大切にできる環境
有給休暇の取得がしやすく、会社としても積極的に消化を推奨しているため、プライベートの時間を大切にできる環境です。
(30代後半・システムエンジニア・女性) [キャリコネの口コミを読む]※本記事は、公開されている決算短信、決算説明資料等の公開資料、および社員・元社員の口コミ情報をもとに、編集部の責任において作成しています。
使用した主な公開資料
- 協和キリン株式会社 2025年12月期 第2四半期決算説明資料
- 協和キリン株式会社 2025年12月期 第2四半期決算説明会トランスクリプト
- 協和キリン株式会社 2025年12月期 第2四半期決算短信〔IFRS〕(連結)



2019年より企業口コミサイト「キャリコネ」担当として、数多くの企業の口コミ情報、決算資料、中期経営計画を横断的に分析。現在はリサコ編集部長として、一次情報と現場の声を突き合わせた企業研究コンテンツの企画・編集・品質管理を統括し、転職希望者の意思決定に資する情報提供を行っている。